前日に宿泊場所のケープヴィンセントに到着した私たち。この13日から16日までの4日間は、車で20分ほど離れたクレイトンの街まで通い、ワークショップ等の様々な体験をさせていただくことになります。
13日はボルト城のデザインサーベイを行いました。
ケープヴィンセントもクレイトンもセントローレンス川に面していますが、そこには1000(サウザンド)アイランズ(8月16日アンティークボートミュージアム参照)と呼ばれる1864もの島々が浮かんでいます。
ボルト城は、1000アイランズのうちの一つの島、ハートアイランドに浮かぶ城。この城は、ニューヨークの有名ホテルオーナーであったジョージ・ボルト氏が、奥さんと3人の子どもたちと過ごすために1900年に建設を始めたのですが、完成前の1904年に奥さんが亡くなってしまいました。愛する奥さんをなくし傷心のボルト氏は全ての建設工事を止めることを命じ、73年もの間放置されていました。1977年、サウザンドアイランズ
ブリッジ オーソリティー(以下TIBA)がここを後世に残すために買い取り、数百万ドルを投じて修復・改修を始めました。現在は内装工事が一部残るものの、多くの人々が訪れる場所になっているほか、結婚式などのイベント会場としても利用されています。TIBAは、アメリカとカナダを結ぶ国際橋を管理する団体ですが、ボルト城の改修後もボルト城の維持管理・運営までを担っています。
この日は、アートセンターでのサマーキャンプに参加している子どもたち(8月14日アートセンターワークショップ参照)が「建築の宝ものさがし」を行う日。私たちにもアン先生から、「ボルト城の空間を構成しているデザインのパターンを、自然や建物の中から見つけ、写真とスケッチを集めてほしい。そして子どもたちが建築たんけんをするときに興味を持ちそうな要素を集める手伝いをしてほしい。」と命題を与えられました。
朝はアートセンターに集合し、子どもたちとご挨拶。もう子どもたちは出発の準備万端の様子でした。その後さっそく、城への船着き場であるアレキサンドリアベイに向かいました。停泊しているアンクルサムボートに子どもたちとともに乗り込みいざ出発。5分ほどであっという間にボルト城が見えてきました。
セントローレンス川からみるボルト城 |
子どもたちには指導にあたっているキャサリン・コルバ先生(ランドスケープアーキテクト)がつき、私たちとは別行動で宝探しを開始しました。私達は島で待っていてくれた、保存・改修に関わった建築家リック・ターグさんから改修の経緯や建物の説明を受けながら、「対称」「波形」「渦」「放射」「繰り返し」などのデザインパターンを探していきます。島内には、寝室等をもつ城の他に、水力発電所、子どもたちが遊ぶための城などがあり、それらの石造りの建物を美しい庭がつないでいます。全てを見て回るのだけでも1時間強かかり、それから短時間でスケッチを描かなければならず、少々焦った私たちでした。
川に浮かぶ水力発電所。白い帽子をかぶっているのがリックさん |
エントランスポーチにあるベンチ(パターン:渦) |
階段の手すり(パターン:繰り返し) |
ボルト城でのデザインサーベイ後は、TIBAが管理する国際橋を見学しました。セントローレンス川の広大さを感じさせるその鉄橋は1938年に完成。全長はアメリカ側で約1.6km、カナダ側で約1km。車は通行する際には車両の種類に応じて課金され、1000アイランズを眺めながら歩いて渡ることもできるようです。以前は帆船が通っていたため相当な高さがあり、常駐していたスタッフの方に「大きなトラックが通ると橋が上下に揺れる」と教えてもらうと、目をこらして眺めていました。…が、その現場は確認できぬまま次に移動しました。
その後は、ジョン・アノットさん、サラ・エレン・スミスさんご夫妻が営むアートギャラリー「セントローレンスポッテリー」を訪れました。ジョンさんは陶芸家、サラさんはガラスのアクセサリーの制作を主としています。ジョンさんは陶芸の勉強をしているなかで日本の焼物についても知っており、サラさんも講師で招かれ日本を訪れたことがあることから、とても日本に親近感を持ってくれていました。そして日本の登り窯の話や、日本滞在時の話をし、また制作の様子を見せていただきました。短時間の滞在でしたが、たくさんのあたたかいもてなしをいただき、心ほっこりした出会いでした。
ガラスをバーナーで溶かしてアクセサリーを制作するサラさん |
0 件のコメント:
コメントを投稿