2021年11月18日木曜日

禅タングルでパターンをデザインしよう!|建築と子供たちオンラインワークショップ

 <禅タングルでパターンをデザインしよう!>

2021年10月10日(日) 10:30~12:00 

デザインパターンの2回目は、「禅タングルでパターンをデザインしよう」です。

禅タングルは、小さい紙の上にペンで線画を描いていくアート技法で、無心に描いていくうちに禅の瞑想の世界が広がるのだそうです。

ここでは禅タングルの手法を用いて、10㎝四方の白い紙の上にお気に入りのパターンを使ってデザインすることにしました。

参加者は、仙台、大阪、名古屋、シンガポールからの大人14名、小学2年生1名の計15名。全員、葉っぱや小枝などの自然物の実物か写真を持ってくることが宿題として出されていました。

それらをルーペや虫メガネなどで拡大してよく観察し、いろいろなパターンを見つけ出すことにしましたが、すでに多くの方が、放射、分岐、リズムと繰り返し、蛇状直線などのパターンを見つけてきた様子です。

いよいよそれらのパターンを使って禅タングルでデザインするときがきました。まず、端から1㎝内側の四隅に点をうちます。次に点と点を結んで線で囲み、その中に描いていきます。

ペンはマーカー1本ですが、描き方によって太くしたり細くしたり、実線にしたり点線にするなど様々な線を使いわけることができます。さっそく順調に描いていきましたが、途中「線を描いたら、ポシェを使って明暗や陰影をつけてみてください」という天の声が。「えーっ」と驚きの声を上げながらも慣れた手つきでペンを走らせる方もいました。

静寂の時間が過ぎていよいよ発表の時間。出来上がった作品はポシェを使ったことで立体感が出ていました。また、2種類のパターンを組み合わせたものや、点々などで飾りをつけたものなど様々な工夫がみられました。

ポシェのいろいろ

放射

放射・分岐

対称・繰り返し

リズムと繰り返し
準備物
10㎝四方の白い紙2枚、葉っぱなどの自然物か写真、黒マーカー(細目)orサインペン

参加者のアンケートから(抜粋)
  • まじまじと葉っぱを見て観察したのはおそらく初めてかも。よく見たらいろんなパターンが隠れているという発見もありました。パターンを決めたあとはひたすら線を描きました。自分でもまあまあ描けたつもりですが、誰かが言っていたようにもう一段階上に登るにはちょっと時間がかかりそうです。
  • デザインすること、手を動かすこと自体は楽しかったのですが、アイデアをカタチにする作業は、やはり訓練が必要なんだな、と実感しました。でも植物のフォルムまたはディテールからデザインアイデアの種を見つけてくるのは楽しいです。
  • 今の今まで、稲というものをよく見たことが無かったことに気づかされました。このプログラムには、物を見る目を育てる、自然物から何らかのパターンをさぐりあてる、それを使って二次元の限られた範囲を美しく構成する、さらにそれらを装飾して自分の世界を表現する、というすごい内容が詰まっていると思いました。
  • ひとつの物体のなかに、いろいろなパターンが発見できたのが面白かったとともに、そのパターンをどう展開するのか?なかなか右脳を刺激される感じでした。
  • 初心者からデザインの専門家まで気軽に楽しめる作業だと思いました。ただ、できる人とできない人の差が表れやすいので、レベルに応じた対応が必要だと感じました。
  • 遅刻にて要領がよく解っていなく直訳になってしまいました。他の皆様の素敵なパターン抽出と組み合わせに驚きました。
  • 純粋に楽しかったし夢中になりました。絵を描くというのとは違った感覚が良いですね。ただ「パターン」というものをどのように考えると良いのか、パターンをどう生かすのか、なんとなく分かったようで分からないところもあり迷いました。曖昧でいいのであればそれで良いのですが若干気がかりでした。
  • 小学2年生の息子と3度目の受講になります。前日に落ち葉やどんぐりなどを公園で拾いました。前回のパターンを思い出して話しながら、考えながら探すのが楽しかったようです。木の葉をモチーフにデザインに取り組みました。 葉の周囲のギザギザを感じ取りスケッチ。 そこから作品に応用するのが難しかったようで、こちらでパターンを描きました。 その際の声掛けがうまくできれば、もっと子どもが主体的に最後まで自分で仕上げられたのではと反省しました。作品については、子供が気付いた葉のギザギザを活かしました。 形や葉脈ではなく、触覚で読み取ったイメージに注目したのが面白いと感じました。 自分の方は、葉脈を簡略化してパターンとしました。 四角の底辺中央をスタート地点としましたが、角から始めたり角度を持たせたりしてみても面白そうだと思いました。

デザインパターンのいろいろ ~自然の中のパターンを使ってデザインしてみよう~|建築と子供たちオンラインワークショップ

 <デザインパターンのいろいろ
 ~自然の中のパターンを使ってデザインしてみよう~>

オンラインワークショップの第二弾は、デザインの構成的原理(ここではデザインパターン)を使った、「デザインパターンってなあに?」と、「禅タングルでパターンをデザインしよう!」の2回の連続講座(指導:永野ますみさん)です。

自然にあるものをよく見ると、らせん、放射、分岐、対称、格子、直線(垂直、水平、対角、平行、蛇状を含む)、ランダム、リズムと繰り返し、ポジティブフォームとネガティブスペースなどのパターンを見つけることができます。このワークショップでは、自然のなかにいろいろなパターンがあることや、それが建築にもインスピレーションを与えていることに気づくこと、そして、これらのパターンを使ったデザインを体験します。

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デザインの構成的原理とは(by酒井敦子さん)
デザインの構成的原理(Organizing Principles of Design)は、物事の秩序や仕組み、デザインの形や構成を“整理整頓する(organize)”ための原理のことです。
一見ランダムで適当に思いつくままにデザインされているように思われがちですが、実際は、組織的、または体系的に考えることが大切で、その多くが自然に由来しています。
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<デザインパターンってなあに?>
 2021年9月23日(木)10:30~12:00

1回目は、仙台、大阪、名古屋、新潟から、大人14名、小学2年生1名、小学6年生1名、中学2年生1名の計17名が参加しました。
はじめに自然物にある様々なパターンとそれらがどのように建築に使われているかを動画やパワポで視聴しました。その後、5㎝四方の黒い紙を使って、A3の白い紙の上に3種類のパターン(らせん、放射、分岐)でデザインしていく活動を行いました。黒い紙は、2次元の平面でも、折って3次元の立体にしてもよいことにしました。
まずは、らせん、放射、分岐の形に順に黒い紙を並べてみる練習から。練習が終わると今度は気に入ったものを選んでノリで貼っていく作業です。最初は戸惑いながら、しかしやっているうちに段々と面白くなり。そうこうするうちに出来上がってきました。そして、一人ひとり工夫した点、気に入った点など作品を掲げながら発表しました。

分岐

放射

らせん

準備物
5㎝四方の黒い紙30枚、A3サイズの白い紙1枚、スティックのり、黒マーカー(細目)orサインペン

参加者のアンケートから(抜粋)
  • 繰り返しのパターンにも、向きや折り方でいろいろ変化がつけられるし、それが感じるままに表現していいことがよかったです!
  • 身近な自然が、デザインパターンを学んで見ると細かいところまで気になるのが面白かったです!
  • 放射など色々なデザインを学べて勉強になったし楽しかったです。
  • 回を追うごとに自分の思考のクセが見えてきて、それもまた楽しいです。でもやはり、子どもの発想は楽しい。
  • 最初は放射にしようと思ったが、並べているうちにらせんに変更。貼っていくうちに白い部分の形も気になり出した。前回のポジティブフォームとネガティブスペースのこと思い出しました。白い部分の形も意外と気に入ってます。
  • 自然界からパターンを読みとって、デザインを考えるって面白い発想ですね。また、自然界は有機的な形状なのに正方形の紙で表現するというところが、また面白かったです。
  • デザインと想像力は無限だなと毎回、実感させられます。年齢を問わず、デザインの基礎を学習するよい課題だと思いましたが、やはり子どもたちに体験してもらいたいなと思いました。
  • 前回に引き続き、小学2年生の息子と参加しました。動画でデザインパターンの例を見た時に、自然物など身近な形でしたので、実感し易かったようです。受講後も生活の中でパターンを見つけては教えてくれるようになりました。息子は、沢山のパーツを並べていく作業が楽しかったそうです。絵や線を描くのは難しいけれど、並べることで簡単に形や連続性などを表現できるのが良かったのかなと思います。
  • 久しぶりにデザインのワークショップに参加し、子供たちと取り組んでいた頃を思い出しました。オンラインでもできるんだと分かったことが収穫です。そして、建築と子供たちのカリキュラムがSTEAM教育だと改めて気付くことができたのも収穫でした。手を動かして作品をつくるのは理屈抜きで楽しいです。
  • 建築の「形態操作」をいくつかの単純なルールで置き換えて、その繰り返し方や組み合わせ方法で過去の現代建築を分析し、どのようにできているかを修士論文でやったことを思い出しました。当時はパターンランゲージや、ウィリアムミッチェルの形態生成論にはまっていまして。 今更ながら、テイラーさんの子どもの感性を引き出すプログラムの中に、非常に論理的な方法論がベースにあるのだろうと推測しました。

2021年11月9日火曜日

建築と子供たちオンラインワークショップの開催(2021年7月~10月)| 概要・ポジティブフォームとネガティブスペース

 建築と子供たちオンラインワークショップの開催

2021年7月~10月

建築と子供たち提唱者のアン・テイラー博士(ニューメキシコ大学名誉教授)が主宰するNPOスクールゾーンインスティテュート(School Zone Institute:SZI)では、コロナ禍においてオンラインで建築と子供たちのデザインを体験できる動画を制作しました。

動画は、建築と子供たち定番の8本のプログラムにより構成され、各動画にはその目的や教育的効果、具体的な手法等が掲載されています。

ネットワーク仙台と建築と子どもたちデザインLABO関西は、多くの日本の人たちにこの動画を見てもらおうと、動画に日本語字幕を入れることになりました。制作にあたっては、SZIメンバーの、酒井敦子さん(南フロリダ大学ジュディゲンシャフトオーナーズカレッジ専任インストラクター)、メリンダ・ワルシュさん、カタリーナ・サリナスさんと、ネットワーク仙台の永野ますみさん(ニューヨーク州登録建築家)に多大なご協力をいただき、英語の文字起しからはじまり、日本語への翻訳、そして字幕入れを行うまで1年がかりで完成にこぎつけました。日本語字幕入り動画の公開予定は未定ですが、ネットワーク仙台とデザインLABO関西が共催して、字幕完成を記念したオンラインワークショップを2021年7月から10月まで4回にわたって実施いたしました。その概要について報告いたします。

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建築と子供たちデザイン体験動画プログラムリスト
  • 視覚言語と概略図
  • ポジティブフォームとネガティブスペース
  • デザインの構成的原理
  • 建築公園-動機づけと筋書き
  • 植物の断面図と抽象化
  • 紙で作る自分の部屋
  • ネズミの家
  • 地域や小さな町のプランニングと模型作り
*英語版動画はhttp://architectureandchildren.com/で視聴可能です
*版権はスクールゾーンインスティテュートが所有しています
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<ポジティブフォームとネガティブスペース>
2021年7月25日(日)10:30~12:00
2021年8月22日(日)10:30~12:00

 7月と8月の2回にわたり、デザイン体験動画のうちポジティブフォームとネガティブスペースを実施しました。
 参加者は、7月25日が大人8名(仙台、大阪)、8月22日が大人11名、小学2年生1名(仙台、大阪、名古屋)の計12名、指導はいずれも永野ますみさんです。
ポジティブフォームは、建築で言えば壁や床や天井などの固体で、手で触れるものです。
ネガティブスペースは、ポジティブフォームに囲まれた何もない空間で、建物の外にもあります。壁の一部を窓にすると、建物の内外のネガティブスペースがつながります。
 このワークショップでは、ポジティブフォームとネガティブスペースを2次元で表現してみようというもので、円と三角と四角の黒い紙を刻んで、白い紙の上に、拡張したようにあるいは爆発したように隙間をあけて並べて貼り付けます。ここでは黒い紙がポジティブフォーム、背景の白い紙がネガティブスペースになります。
 説明のあと取り組みはじめましたが、さてどのように切ろうかハサミを持った手が止まります。あれこれ悩みながらも思い切ってハサミを入れていくと思いがけない形に変化。皆さん顔も上げずに夢中で手を動かしていました。最後に全員で作品を披露。はじめはみんな同じ形だったのに、それぞれ全く違うユニークな作品の数々が出来上がっていました。

円の拡張

三角の拡張

四角の拡張

準備物
円、三角、四角の黒い紙各1枚(各辺15㎝の正方形と正三角形、直径15㎝の円形)、A3サイズの白い1枚、ハサミ、スティックノリ、黒マーカー(細目)orサインペン

参加者のアンケートから(抜粋)
  • 小学2年生の息子と参加いたしました。お話を聞くだけではなく、実際に手を動かして作品を作るのが面白いと感じました。作業自体が難しくないので、デザインをするという体験が手軽にできる点が良いと思います。子どもは、ゼロから絵を描いたり創造するのが難しいです。特に手先が不器用な子は、描画などのテクニックが無いので、アイデアを作品にまで仕上げるのが難しい。そういった子どもも、今回のような手法であれば、【切る】【並べる】【貼る】などの単純作業により、デザインを体感できます。材料も情報も少ないので、デザインに集中して取り組み易かったと思います。色々な子どもが、それぞれの個性を持って取り組めば、面白い作品ができそうですね。
  • 自由に考えられること、偶然にできる形の面白さがよかったです!疲れた大人の脳みそのストレッチになると思います。
  • 丸、三角、四角の紙を切って貼るだけで、二次元の紙の上で、立体と空間の関係を想像することができる、優れた教育方法だとあらためて思った。また、子どもだけでなく、大人にも大変役に立つと思った。
  • 決まった形を好きなように切って、貼るだけで出来上がる作品はこんなに違うんだ!と、びっくりでした。そしてそれが建築デザインに繋がっていることにも。