2016年3月14日月曜日

上杉公園をデザインしよう~発表会~

2016224日(水)

上杉山通小学校5年生が総合的な学習の時間で6月から取り組んできた上杉公園デザインプロジェクト。そのデザインの集大成である模型がついに完成しました。この日は授業参観日。完成した模型とデザインを披露する発表会が体育館で行われました。ゲストとして招かれたのは上杉地区連合町内会副会長の池田文彦さん、仙台市青葉区公園課、ネットワーク仙台のメンバーです。

模型を映しながらの発表
12チームが、それぞれ考えた公園を発表してくれました。PowerPoint によるスクリーンでの説明に合わせ、模型をiPadでテレビモニターに映しながら臨場感のあるプレゼンテーションが行われました。

10月に森山雅幸先生(宮城大学名誉教授)に教わったように、公園全体を役割と機能のエリア毎(球技エリア、休憩エリア、遊具エリア等)に分け、特に球技エリアでは遊んだボールが他のエリアに飛んで行かないように安全面で柵を設けたチームが多くみられました。公園の中には、花時計、ツリーハウス、噴水(冬場はクリスマスツリーを設置)、足湯、花畑等の独自のアイディアが盛り込まれています。又、高齢者や障がい者の方のための休憩スペースなどそれぞれの立場を考えたアイディアや、備蓄倉庫や避難経路といった災害に関する考えも発表されました。1チーム5分程度で、生き生きとした様子で発表してくれました。

模型説明書
花時計やツリーハウスが置かれた公園
[これまでの活動を通しての子供たちの感想の一部]
「いろいろな人の立場で考えることが重要であり、意見をまとめるのが大変だった。」「立場によって公園の見方が変わることがわかった。」「環境を守ることが良い公園づくりの第一歩だと気付いた。」「現状の公園には、良いところと改善すべきところがあることに気付いた。」

[ゲストからの講評(抜粋)]
上杉地区連合町内会副会長の池田さん「私達が町内会で公園を考えたとき苦労したように皆さんもいろいろな立場で考え苦労して作ったことがわかった。発表にはとても感動した。」

公園課の土田さん「大人であれば、球技ができるスペースというと1つのスペースで1つの球技しか考えないが、1つのスペースで3つの球技をできるスペースなど子供ながらの発想に驚いた。」

ネットワーク仙台「デザインをするのにみんなの意見を戦わせたり今まで大変な苦労や努力をして作ってきたことをみてきた。発表はわかりやすく素晴らしかった。」


2016年3月2日水曜日

LAST INABAR~稲葉先生の思い出を語る会~

2016221日(日)
201614日、建築と子供たちネットワークジャパン代表幹事の稲葉武司先生が永眠されました。四十九日にあたる221日、東京上野の精養軒に稲葉先生にゆかりのある90名を超える方々(ネットワーク仙台から3名参加)が集まりました。会場には、ビール片手ににこやかにほほ笑んでいる先生の遺影があり、白いカーネーションを献花してご冥福を祈りました。

会場では、ネットワーク新潟の木原さん、共立女子大学稲葉ゼミ助手の皆さんなど懐かしい方々にもお会いでき、建築と子供たちに情熱を注いだ先生の思い出話しを語り合いました。

仙台で建築と子供たちの活動がはじまったのは、199011月、ある新聞記事が目にとまったことがきっかけでした。その記事には、先生が横浜市立新治小学校でアン・テーラー先生の建築と子供たちを使った実験授業をされたということと、これから日本に建築と子供たちを普及させていきたいという先生のコメントが紹介されていました。そこで是非活動に参加させてほしいと先生にお手紙を差し上げたことから私たちの活動がスタートしたのです。

それから稲葉先生にはアメリカの研修旅行に連れて行っていただいたり、シンポジウムで講演していただいたりと、様々なご指導をいただきながら今日まで活動を続けることができました。

今、建築と子供たちの活動は、東京、新潟、上越、仙台にネットワークの拠点ができています。そして、全国各地でこども建築教育が盛んに行われています。長年、先生が思い描いてきた夢がやっと現実のものになってきたばかりで、そんなときに先生がお亡くなりになったのは本当に残念で仕方ありません。
稲葉先生、今まで本当にありがとうございました。私たちは先生のご遺志をついでこれからもこの運動を未来につないでいきたいと思います。

<テーラー先生のメッセージ>
For Tak:
I will never forget Tak pacing back and forth at my office in Seattle patiently waiting to invite
me to Japan to talk to the AIJ in Tokyo about Architecture and Children. He was a gifted man,
architect and humanitarian who loved good works and we in the American Design Education
business will never forget his tireless efforts to spread this program and link us to Japanese
architects and educators who are now are dear friends. We love you Tak!!!
Anne Taylor !
Tak(愛称)へ
稲葉先生との最初の出会いは忘れがたいものです。稲葉先生が私のシアトルの事務所のあたりを何度も行ったり来たりするので、(気になっていると)実は、私を日本に招待したいとのこと。建築と子供たちについて東京AIJ(日本建築学会)で講演をお願いするのに辛抱強くお待ちになっていらっしゃったのですね。
稲葉先生は素晴らしい才能を持ち、よい仕事を愛した建築家でも人道主義者でもあります。
私たちアメリカのデザイン教育関係者は、その教育を普及するために稲葉先生の費やしたたゆみない努力を決して忘れないでしょう。そうしてつながった日本の建築家や教育者の皆さんは、今や貴重な友と言えるでしょう。
私たちの親愛なるTak、稲葉先生へ! 
稲葉先生、アン先生、酒井敦子さん、ブラストスさん


<酒井敦子さんのメッセージ>
日本の皆様
2009年、アン先生の本出版のお祝いに、アン先生に内緒で稲葉先生がひょっこりニューメキシコにいらっしゃいました。サプライズは大成功で、さらに懐かしのジョージ・ブラストスさん(建築と子供たちポスターのイラストを担当)もワイオミング州から参加され、アン先生は大喜び。かけがえのない思い出となりました。その時の写真を記念に送ります。稲葉先生のおかげで、日本の子ども建築教育はアジアの中で最もはやくスタートしました。寂しいですが、今後も稲葉先生の意思を継ぎ、ともに団結を固めましょう。

<稲葉先生プロフィール>
19382月 中国生まれ
東京芸術大学卒業・米国 ワシントン州立大学卒業
東京芸術大学講師、法政大学講師、共立女子大学助教授などを経て19942005年まで共立女子大学教授
1991年より 建築と子供たちネットワークジャパン代表幹事
退官後も国際会議などで建築と子供たち普及や空間認知と脳科学についての研究などをライフワークとして精力的に活動

INABARとは>
仕事仲間や卒業生やゼミ生が稲葉邸にうかがって奥様の美味しい手料理と、とっておきのお酒をいただきながら楽しいひとときを過ごす場。マスターのおすすめは、庭先で採れたフレッシュミントでつくるモヒートでした。

2016年3月1日火曜日

アーキテクツウィーク2015<市民講座2>建築と子どもワークショップ 「復興を応援しよう!《だれでもできる》視覚デザイン/空間デザイン~禅タングルからミニスタディモデルへ~」

2015126日(日)
このワークショップは、JIA(日本建築家協会)東北支部宮城地域会主催の“アーキテクツウィーク2015<市民講座2>”にネットワーク仙台が協力する形で行われました。

 仙台の冬の風物詩―光のページェントが始まる日の午前中、せんだいメディアテーク1Fオープンスクエアには2歳~12歳の子ども達14名と大人8名が集まりました。JIA正会員でもあるメンバーの指導のもと、復興応援をデザインコンセプトに、ケント紙やカラーマーカー、はさみ、のり等の簡単な材料を使って、二次元での視覚デザインを“禅タングル”の手法で行った後、それをもとに“ポジティブシェイプ/ネガティブスペース”で構成される三次元空間デザインに立ち上げて行きました。

禅タングルで楽しくデザイン
こう言うととても難しそうに聞こえますが、最初にみんなが耳にしたのは、震災前から東六郷小の子どもたちが取り組んでいた"黒潮太鼓"の映像から流れる太鼓の音でした。その音からイメージを膨らませ、ガイドブックを見ながら教えてもらったパターンを応用して、自分が決めた好きな形を自由に描いていきます。描いた線や白い部分を、違う線や点で好きなように装飾していくと、白と黒の芸術的な世界が現れました。最後はそれをもとにケント紙でドーム状の立体を思いおもいに作り上げて行きました。そして、出来上がったものを暗いところに持って行き、光をあてて、その白く見えるところと陰になるところを他の参加者に見てもらい、どんなところを工夫したかを発表しました。

会場には大パネル4枚分のスペースに、吉成小学校6年生64名が総合的な学習の時間で「復興応援プロジェクト」として、1年間取り組んで創作した絵をコラージュしたパネルや詩、そして「復興の音楽」を奏でた手作りの楽器が展示されていました。

きょうのワークショップに参加した皆さんは、出来上がった“復興を応援するドームの模型”を、会場の入り口近くの吉成小の子どもたちの作品が飾られている場所に、一緒に飾って楽しみました。
復興を応援するドームができあがりました


吉成小の作品が展示されました