「牧場の景観を大切にしています」とテッドさん |
私たちが案内されたマスコット家の入り口は、まるで牧場のようでした。それもそのはず、以前牧場だったのでその景観をそのまま生かそうと考えたのだそうです。門の代わりに樹が一本のシンプルな植え込みがあり、ところどころに石を積み上げた野積灯篭のようなものがありました。ご主人のテッドさんの説明によると、それらの石のデザインは、先住民の歓迎の意味を込めたスタイルなのだそうです。見渡す限り自然につつまれた、のびのびとした庭園。アン先生は、「この庭園は“Land Art”です」とおっしゃっていました。
周り中の草むらから虫の音が聞こえています。私たちの一人がテッドさんにそのことを告げました。「すごい虫の声ですね。」「え?」「ほら、虫の鳴き声がこんなに聞こえますよ。」「え?え?あー、これですか、なるほど聞こえます。」実はテッドさん、虫の音に耳を傾けたことがないということでした。やはりここはUSA!でした。
3分ほど歩いて邸宅が見えてきました。車寄せの手前に何か遺跡のようなものがありました。テッドさん自身も、何だか分からないが何かすごいものだとは思う、とおっしゃっていました。みんなで祭壇のような所まで進んでみると、厳かな気分と語りかけられているような気分が同時にやってきました。きっと何か先住民の魂のよりどころだったに違いないと思われました。
日本手拭がよくお似合いです |
玄関の前では奥さんのメリーさんがにこにこして出迎えてくれました。みんなでにぎやかにご挨拶して、お土産を渡しました。テッドさんには日本手拭を被ってもらい、記念の写真を撮らせてもらいました。すごく恥ずかしそうに喜んでいらしたのが印象的でした。
テッドさんの家は、クレイトンで四半世紀の実績があるという建築設計事務所、グレーターアーキテクツがデザインしたもので、1000アイランズが望めるセントローレンス川沿いの崖をうまく使った設計です。以前は個室に分かれた家に住んでいましたが、ワンフロアで川の眺めはもちろん、すべてが見渡せるようにしたい、というのがご夫妻の希望だったそうです。地上2階、地下1階の3層、総床面積300坪もあろうかと思われる、大きな邸宅の中に招き入れられた私たちは、あらゆるものに驚きの声をあげながら、広ーいリビングでコックさんの作った昼食をごちそうになりました。
1000アイランズを一望できるリビングで |
お食事の後は、邸宅の中を見学させていただきました。地下には6畳ほどのワインセラーがありました。空調された室内の棚には、たくさんのワインが国ごとにキチンと並べられていました。もし、その整然とした様子を名探偵ポアロが見たら、絶賛したに違いありません!
地下階から岸辺に降りていく遊歩道がありました。かなり長い階段を下りていくと、そこはプライベートの船着場でした。広大なセントローレンス川に浮かぶ桟橋には船が2艘はゆうに停泊できます。後で分かったことですが、お友達同士食事に招待されると、船でこの桟橋にやって来て、楽しい食事と会話を楽しんだ後、一杯機嫌で船を操縦士し我が家に帰るというのだそうです。羨ましい限りの豊かな暮らしです。
しかし、テッドさんたちは単なるお金持ちではありません。前日に行ったクレイトンオペラハウスを運営、維持する団体に多額の寄付をするなど、他にも歴史的建築を守る事に尽力されています。そのことを知った私たちは、アン先生やその仲間たちがどのようにまちづくりに貢献し、それぞれの活動を続けているかを垣間見た気がいたしました。
それも、年齢に関係なく!
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