2014年12月7日(日)
「デザインウィークinせんだい」は、東北のデザイン団体が集結して2004年から実施しているデザイン啓蒙活動で、毎年さまざまなイベントが行われています。建築と子供たちネットワーク仙台は、このイベントのひとつとして開催された日本建築家協会(JIA)東北支部宮城地域会主催の市民講座「メディアテークのひみつを知ろう!-探検ワークショップ-」(会場:せんだいメディアテーク)に協力しました。
強風が定禅寺通を駆け抜ける寒い日曜日。定員30名の予定に39名の参加をいただき、急遽2班に分かれての探検になりました。
集合場所は5階スタジオ。探検する上でのお約束として「五感を使って見ること、気に入ったものと気になるものを4つ集めること」などをお伝えし、白いヘルメットを被り、探検ガイドマップ「メディアテークのひみつ 虎の巻」を片手に探検開始です。
この建物は、柱や梁で造られる普通の建物とは違い、鋼管トラス構造のチューブと呼ばれる13本のシャフトが、鋼板サンドイッチ構造のプレートと呼ばれる薄い床を支えています。チューブは曲がりくねりながらプレートを貫いて上へ上へと伸びています。この構造は、設計者で建築家の伊東豊雄氏が、海の中で海藻がゆらゆらと揺れているイメージをデザインしたもので、建築構造家の佐々木睦朗氏とのコラボで産み出されました。伊東氏のアイデアスケッチはガイドマップの正面に描かれています。
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天井を見上げるといろいろな発見が! |
まずは1階に移動して、チューブやプレートを眺めながらそのユニークなデザインのひみつにせまりました。これらの13本のチューブのうち4本が地震や風から建物を守っていて、残り9本は上からの重さを支えているのだそうです。よく見るとチューブのなかにエレベーターや階段、火事の時の排煙口もありました。プレートはそのまま天井になっているのですが、現場で苦労して溶接したそうでその跡があちらこちらに見えます。そのほか、目の見えないひとのための“さわる”模型案内板や音声誘導システム、定禅寺通に面して開く大型ガラス壁や、動く大型壁など、発見もたくさんありました。皆さん天井の高い空間を見上げたり、走るように移動したり、興味津々でした。
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代わりばんこにさわります・・ |
次はチューブ内の階段を上りながら、火事のとき、チューブを造っている鉄のパイプに塗られた塗装が膨らんで、熱に弱い鉄を守るという耐火被覆の仕組みを知りました。
2階ではたくさんの人が本を読み、パソコンに向かっていますので静かに見学。ここでは、南側の二重になったガラス窓の間に空気を溜めたり排気したりして断熱効果を高めていること、チューブの一つには空調のダクトがあり地下で温度調整された空気が出てくること、屋上にある太陽光採光装置で取り込んだ光をチューブを通して下の階まで届けていることなどを学びました。そして、そっとクローバー型の椅子(デザイン:妹島和世)のすわり心地を代わる代わる確かめたり、事務スペースを壁代わりに仕切った透けるカーテンを触ってみたりしました。
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たくさんの工夫を知りました |
6階では、広い空間に柱のようなレールが立っていて、火事の時にはこのレールを伝って幅20mの燃えない布が降りてきて炎や煙を防いでくれることや、火事で照明が消えて真っ暗になっても、床に埋め込まれた誘導サインの光が動いて避難先を教えてくれることも知りました。
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花のようにも見える可愛いデザイン |
7階には、緑色のハッパのようなベンチ(デザイン:ロス・ラグローブ)があります。もう一つ、とても個性的だったランダム配置の蛍光灯が、震災後になくなってしまったのは残念でした・・。
最後は地下の探検です。2班合同でメディアテークのスタッフより説明を受けました。「メディアテークは、建物と地下の構造の揺れ方が違うように設計してあるため、先の震災では、このシステムが地震の揺れを吸収して建物を守りました。」とおっしゃっていました。
1時間の見学を終えて5階に戻りまとめ作業です。用紙に「気にいったもの、気になるもの」を書き込んでもらいました。今年、何度もワークショップを一緒に行った吉成小学校の子どもたちの参加も多く、皆さんとても上手に仕上げていました。斬新なデザインで心地よい空間が、実はよく考えられ、新しい技術に支えられた建築だということを感じることのできた楽しいワークショップでした。
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たくさんの気に入ったものや発見したことを発表して頂きました |
ご協力頂いた皆様ありがとうございました。