2018年6月23日土曜日

台原小学校3年生総合学習「台原の達人になろう~土鈴をつくろう~」

2018619日(火)
 今年も台原小学校3年生99名は土鈴づくりワークショップを体験しました。ネットワーク仙台は日本建築家協会東北支部宮城地域会との連携にてお手伝いをしました。
 今日は3〜4校時を使って体育館での作品づくりです。子どもたちは粘土板、粘土ベラ、新聞紙、タオルを持ちエプロンをキリッと締めて集まりました。指導は堤人形作家の佐藤吉夫師匠と佐藤明彦師匠です。
 はじめにネットワーク仙台から「学校の近くの奥州街道は、昔、たくさんの人が行き交う大切な道でした。街道の両側には堤町という町があり、江戸時代から昭和まで続いた焼物の町でした。ここでは、堤焼という生活陶器や、冬の間には堤人形という土人形が作られてきました。今、この町で堤焼は作られていませんが、堤人形が佐藤吉夫師匠と佐藤明彦師匠の手で作られています」と、堤町と堤人形について紹介しました。
 次に明彦師匠から土鈴の作り方について話を聞きました。「土鈴の中に入れる土の玉を新聞に包んで丸くします。粘土は5回叩いたらひっくり返してまた5回・・を繰り返すと粘土板に粘土がくっつきません。厚さが7ミリくらいになったら新聞玉を包み、紐を通す穴をつけるため上の方をつまんでください。形は自由に作っていいけど、尖った形のものや、余った粘土をあとから付けたりすると取れてしまうので注意してね。あとは自由に絵を描いてください。」見本を作りながらの説明に、子どもたちは師匠の手の動きを見つめながら真剣に耳を傾けていました。
 6つのグループに分かれて作業開始。四角いものや、角や耳がついているもの、お花模様や点々などで飾ったものなど、いろいろな作品が仕上がりました。最後にクラスと名前を書いたあと、師匠たちに点検してもらい、紐通しのための穴と、音が鳴るように底に穴を開けてもらいました。
静かに集中します
 子どもたちの感想は、「楽しかった」「最初は難しいと思ったけど、スイスイと良いのができた」「傷を直すところが難しかった」(表面のザラザラをなめらかにしたかったそうです)等、笑顔で話してくれました。
完成した作品は1週間程度学校で乾燥したのち、堤町まちかど博物館の窯にて焼いてもらいます。そして、次回は7月3日(火)窯出しです。
一生懸命デザインしています
出来栄えをチェックしてもらいました
ぽってりとした土鈴。今年も完成度が高いです


2018年6月16日土曜日

立町小学校5年総合学習「西公園遊びひろばをデザインしよう~バブルダイアグラムを描こう~」

2018612日(火)
今日から、本格的な西公園遊び広場のデザイン開始。まずは遊び広場のデザインに入る前に、517日のUSF交流のときに作ったスタディ模型を思い出してもらいました。子どもたちはそれぞれの作品を手に、「階段を作って高さをあげ、上から広場を見るようにした」「アーチを作ってその下を誰でも通れるようにした。アーチの上から花などきれいなものを見ることができる」「ゆっくり休める場所を作った」など工夫したところを発表しました。
 そして、遊び広場のデザイン活動へ。はじめに、ネットワーク仙台から、「公園は誰が使うの?」と尋ねると「小さい子からお年寄りまで」「外国人」「障害を持っている人」「鳥や犬」などの声があがりました。そこで「そうした様々な人や動物が利用するのでその立場に立って考えること、安全性や耐久性も考えること」を、デザインで大切なこととして伝えました。この活動では、バブルダイアグラムという方法を使って一人ひとりが図(ダイアグラム)を描いていきます。遊び広場にほしい空間(自由に使えるところ、遊具で遊ぶところ、木を植えるところ、リラックスできるところなど)をバブル(泡ぶく)の形で描き、空間と空間を行き来する動線(人や動物)を線と矢印で描いていく図法です。大きい空間は大きいバブルで、小さい空間は小さいバブルで表し、形は丸いもの、細長いもの、波型のものなど空間のイメージに合わせて様々な形で表現してよいこととしました。動線を表す線や矢印も、「空間と空間を何度も行き来するようなときは線を太くするなどいろいろな線を使ってみよう」とアドバイス。
バブルダイアグラムは、1300の遊び広場の実測図の上に描いていくのですが、マーカーを使うので消しゴムで消すことができません。鉛筆に慣れている子どもたちにとってマーカーで描くのは勇気がいるらしく、最初はとまどっていましたが、「直したいときや別のアイデアが浮かんできたときはトレーシングペーパーを被せてその上に描いてね」と言うと手がどんどん動き出しました。
こうしてバブルダイアグラムが完成。何人かに発表してもらいました。広場の周りにランニングスペースを設けた子、小さい子でも遊べる野原を描いた子、などいろいろなアイデアが出てきました。なかには、遊び広場の外側まで考えた子もいました。時間の関係で全員の発表はできませんでしたが、友達の発表を聞いて人によって様々な考えがあることに気づいたのではないかと思います。

次回は7月10日、グループで図面を描くことになります。この場所が広瀬川や青葉山に囲まれた自然豊かな場所であることも考えてくるようにとの宿題を出して今日の活動を終えました。
直したいときはトレーシングペーパーを使おう
引き出し線でバブルを説明し、バブル間の往来の頻度を線の強弱で表現
バブルダイアグラムの特徴について発表

立町小学校ワークショップ「Imagining Adventure Land: 冒険広場を想像しよう」+ワークショップ「堤人形七夕土鈴に絵付けしよう」

517日(木)
<立町小学校ワークショップ「Imagining Adventure Land: 冒険広場を想像しよう」>

立町小学校5年生31名は、4月から西公園遊びひろばをデザインしよう」という総合学習に取り組んでいます。
今回の交流学習では、6月から本格的なデザイン学習をはじめるにあたって、USFオーナーズカレッジの大学生20名と、同カレッジ講師の酒井敦子さんの指導のもとデザインの練習に挑戦しました。会場の視聴覚室には、子どもたち、USF大学生、USF講師の酒井さんとベンジャミン・ヤングさんのほか、通訳のボアー・ネイトさん、山形大学の3年生・留学生7名、仙台市公園課の職員2名、ネットワーク仙台とJIA宮城地域会のメンバー6名などが集まりました。はじめは立町小の子どもたちから。土井晩翠や伊達政宗のことや、学習発表会、運動会、山登り、クラブ活動などの学校生活について、通訳のネイトさんに助けてもらいながら発表し、最後は「Let’s take a chance」を合唱して締めくくりました。

■世界のいろいろな遊び場を知る
USFの大学生たちは世界の様々な遊び場について調べそれをパワーポイントにまとめて紹介していきました。
最初は、南フロリダ大学の紹介。
いくつもの街区にまたがる広大な敷地はまるで一つの都市のよう。ヤシの木など南国の緑や花に囲まれ、池や湖などの水辺もあり、自然豊かなこのキャンパスの中には、寝そべることができるベンチ、ブランコになっているベンチ、ハンモックなどがあり、学生たちの憩いの場になっているそうです。これを見た子どもたちから「移民になりたい」という声があがりました。
そのほか、ニューヨークの建築家トム・オッタ―ネスがデザインした、人が寝そべって手を差しのべている形のすべり台や、オーストリアにある垂直ネットなどで遊べる多層式のプレイタワー、どこにでも持ち運びができる折りたたみ式のウッドブロックなど、世界中のいろいろな遊具が紹介されました。遊具だけではなく、ストリートスタイルとボールスタイルの二種類があるスケートボードの遊び場や、簡単なループ状のものから複雑な形状のラビリンスまで様々ある迷路まで。また、転がったり、すべったり、障害物競争をしたりと多様な遊びができる連続した小さい丘や、スペインの建築家がデザインしたお洒落な休憩所、釣りやカヌー・カヤック遊びができる川など、遊び場のヒントが次々に出てきました。
広大な南フロリダ大学キャンパス
迷路のいろいろ

■視覚言語の練習
酒井さんの指導で、いくつかデザインの基礎を学んでいくことになりました。はじめは視覚言語の練習。視覚言語とは、視覚的に物事を考え、それを図に表現してアイデアを人に伝えていく建築デザインの手法ですが、図は言葉の代わりに使われるので視覚言語と呼ばれています。
それが実際どういうものなのか、シャボン玉と風船の動きを図に表現することによって体験します。最初はシャボン玉が生まれてから弾けてなくなるまでの一生を描きます。学生たちが吹くシャボン玉のゆっくりとした動きをよく見てシャボン玉が生まれ丸い形になって、最後はポンと弾けてなくなるまでの様子を描いていきました。こうした図によって時間の流れがわかるということでした。次は、3つの風船を同時に飛ばして、その一瞬の動きを描いていく課題です。ここで酒井さんから、「描く道具は黒マーカーだけ。3つの風船の色の違いは、風船の表面の処理を変えることで表現できます。風船の動きは、線を使って描きますが、線は、細い線、太い線、破線、一点鎖線などいろいろな線の描き方があるので、それらを使って風船の動きを描いてね。風船の中の空気の量でスピードが違うことも線を変えることで表現できますよ。矢印を使えば動く方向がわかります。」というアドバイスがありました。風船飛ばしは2回だけなので子どもたちは集中して観察し、それを図に表していきました。
シャボン玉の動きを描こう
シャボン玉が生まれてからはじけるまでの図
「いろいろな線と矢印をつかって書いてね」と酒井さん
「3つの風船を飛ばすからよく見てね」
風船の色のちがいを異なる線で表現

■点から空間へ、ポジティブとネガティブ、光と陰と影
酒井さんから、空間とは何かということについて以下のように説明がありました。
①空間のはじまりは点であり、点をのばしていくと線になり、線で囲んでいくと面になり、面を立ち上げると形(立体)になり、形を組み合わせていくと空間になる。
②空間は、ポジティブ(物体)とネガティブ(物体と物体の間の何もないスペース)でできていて、私たちはネガティブなスペースで暮らしている。
③空間に光が当たると、光が当たっている部分、光が当たらない陰の部分、光が当たって物体の影ができている部分ができる。
④安藤忠雄は、ある教会の設計において、ポジティブな物体でデザインするのが一般的な十字架を、壁に十字に穴を開けてネガティブなスペースをつくり、そこから差し込む光が十字架に見えるようにデザインした。ここでは、ポジティブ(壁)とネガティブ(十字形の穴)、光と陰(壁)を組み合わせて斬新な空間を生み出している。
このあと、ポジティブとネガティブ、光と陰と影を組み合わせて不思議な空間をつくった模型の実例がいくつか紹介されたところで、いよいよ冒険広場のスタディ模型づくりにチャレンジです。
はじめに作り方として、「いろいろな形の穴が開いたカラー台紙(22㎝×22㎝)の上に、白画用紙と細長くカットされたカラー紙を折ったり切ったり丸めたりして模型をつくること。模型は紙で埋めようとせず、真ん中に握りこぶしくらいのネガティブスペースを作ることを意識すること」との注意がありました。
ここからは、子どもたち、USF大学生、山形大学生合わせて58名が6グループに分かれ、視聴覚室隣の会議室と多目的室に移動して模型づくりに励みました。
完成した子どもたちの作品には、「スケボーのコース」「アスレティックのロープウェイ」「日陰になる屋根」など冒険広場にほしいものが表現されていました。その後、再び視聴覚室に集まり、お互いの作品を見せあいながら発表しました。発表の最後に穴のあいた台紙の下からスポットライトを当てて鑑賞。天井に模型の影が映ると歓声があがりました。この日は時間切れになったため、後日学校で全作品に光を当てる活動をしたところ、「光を当てたときと当てないときでずいぶん模型の印象が違う」など、光がもたらす不思議な造形に見とれていたそうです。
光と陰と影のリズムを楽しもう
不思議な冒険広場をイメージして
いろいろな模型ができたよ

スタディ模型づくりのあとはお待ちかねの給食です。立町小学校では1年から6年まで全学年の子どもたちと一緒に各クラスに分かれて給食を摂ることになりました。2年生のクラスでは、大学生に興味津々で「Nice to meet you!」と握手を求めに来たり、自分のノートを持ってきてサインをせがんだりしていました。そんな楽しいひとときも時間が来てしまい、せかされるように帰りのバスへと向かう学生たちに、子どもたちは窓から身を乗り出すようにして「さようなら!」といつまでも叫んでいました。

<ワークショップ「堤人形七夕土鈴に絵付けしよう」>
立町小を離れたUSF一行は、仙台城跡で市内を一望したあと、堤町まちかど博物館へ。博物館では、震災で被災した登り窯が、アン・テーラー博士や酒井さんはじめアメリカの建築と子供たち関係者の方々の寄付など大勢の人たちの協力で復活した話に聞き入っていました。博物館2階の人形展示室とおひなっこやの店内にわかれ、佐藤吉夫師匠の手ほどきで堤人形の七夕土鈴に絵付けをしました。白く胡粉が塗られた土鈴には竹と3つの吹き流しが浮かんで見えます。そこに、竹は緑、吹き流しは青と朱と黄の3色を基調にところどころ白で模様も付けるなどして絵付けしていきました。なかには朱と白を混ぜてピンクをつくり、七夕飾りの脇に桜の木を描いたりして独自の作品をつくる学生もいました。
出来あがった土鈴に名前を入れて終了。みなさん、良いおみやげになったようです。
登り窯の復活にアメリカ人も協力したことを知る
仙台の伝統工芸堤人形の絵付けを体験する

518日、USFオーナーズカレッジ一行は次の訪問地京都に向けて旅立っていきました。
 仙台の子どもたちのために、世界の遊び場や公園を調べ、教材(六郷小のマシュマロやスパゲッティ、立町小のスタディ模型の台紙など)を準備し、日本語を覚えて授業に臨んでいただいたみなさん、本当にありがとうございました。
そして、授業の企画から指導までこの交流の実現にご尽力いただいた酒井敦子さんとベンジャミン・ヤングさん、心より感謝申し上げます。仙台の子どもたちはみなさんと過ごした楽しい時間をいつまでも忘れることはないでしょう。
仙台の旅を終えて


2018年6月3日日曜日

六郷小学校ワークショップ「国際宇宙ステーションをデザインしよう」+旧荒浜小学校震災遺構見学


516日(水)
 <六郷小学校ワークショップ「国際宇宙ステーションをデザインしよう」>
六郷小学校6年生126名は、昨年度「つながる小道をデザインしよう」と題して校庭の一角にある散歩道と学校菜園をデザインする学習に取り組みました。 この学習について、昨年11月と今年2月に行われたUSFとのスカイプ交流で経過を報告していましたが、今回、この学習の成果と完成模型をUSF大学生の方々に披露することになりました。また、USFが企画した「国際宇宙ステーションをデザインしよう」というワークショップにも挑戦しました。会場の体育館には、USF大学生20名、USF講師の酒井さんとベンジャミン・ヤングさんのほか、通訳のボアー・ネイトさん、山形大学の3年生・留学生7名、ネットワーク仙台と日本建築家協会(JIA)東北支部宮城地域会のメンバー7名などが集合。子どもたちは、津波で被災し六郷小学校に統合された東六郷小学校から受け継いだ「開宴太鼓」の迫力ある演奏で出迎えました。
開宴太鼓で歓迎しました

次は、「つながる小道」の発表です。体育館に並べられた模型を前に、「自分自身につながる小道」グループでは、自分の好きなものをみつけ、自分がリフレッシュできるよう作ったこと、「自然につながる小道」グループでは、ベンチを木にするなどエコを意識して作ったことを発表しました。
つながる小道を発表

ワークショップの指導はオーナーズカレッジ講師の酒井敦子さんです。はじめに紹介されたのが、フロリダ州にあるケネディ宇宙センターの展示施設の写真。これまで打ち上げられた数々のロケットや着陸船などが展示されていて壮観です。そして、鳥が羽を広げたように宇宙に浮かぶ国際宇宙ステーション(ISS)の姿とISSから見た青い地球の写真が映し出されました。いろいろな国の人たちが協力して建設と運用をしているISS。宇宙を身近に感じた子どもたちに出された課題は、見たこともないISSをデザインしようというもの。子どもたち、USF大学生、山形大学生の計153名が20グループにわかれて活動することに。はじめに酒井さんから、「ISSには、研究スペース、住居スペース、集合スペースの3つが必要です。まず、小さいマシュマロと爪楊枝をつかい、立体(部屋)を作りますが、はじめは中の機能はあまり考えずに形を楽しんで下さい。平面ではなく立体に組み上げてね」との話がありました。体育館の壁沿いに設けられた作業拠点で各グループ活動開始。
酒井さんからISSについて話を聞く
ISSに必要なスペースは?


1本の楊枝に団子のようにマシュマロを差していく子が結構いて、酒井さんから「マシュマロ1個に楊枝を何本か差すのよ」と声掛けがありました。また、四角形の組み合わせでつくって倒れてしまうケースが多く見受けられました。「三角形をつくると強いよ」とアドバイスすると、筋交いのように楊枝を足そうとしましたが、短くてうまくいかず、結局全部壊して最初から三角形の組み合わせで再挑戦する子もいました。四苦八苦しながらもどうにか各部屋は出来上がり、さっそく大きいサイズのマシュマロとスパゲッティを使って合体していきました。また、アルミホイルや1セントコインをソーラーパネルや電池や装飾などに使いました。
グループごとに活動開始
合体させよう
完成したみんなのISS

こうしてみんなのISSが完成。最後に、ポストイットを使ってどんな部屋を作ったのかを書いて貼っていきました。ワークショップの後は「ソーラン節」。これ、ものすごい運動量。アップテンポのソーラン節に、「ドッコイショ、ドッコイショ」の掛け声とともに、手も足も体も上下左右に動かし飛んだり跳ねたりの激しい振付け。これは、北海道稚内南中学校が考案したもので今や「南中ソーラン」として全国の学校に広がり、六郷小でも運動会に向けて練習しているのだそうです。見ていた学生たちは目を丸くしていました。
南中ソーラン、「構え」のポーズからスタート。奥のほうで学生さんも構えています


そして給食の時間。学生たちも4クラスに分かれて配膳活動から参加しました。メニューは「とりにくの香味焼」「シャキシャキポテトサラダ」「はるさめスープ」など。学生たちは残ったおかずも分けてもらって、おいしそうに食べていました。給食が終わると子どもたちは、机や椅子を後ろに片付けて「南中ソーラン」の練習開始。これを見た学生たちも子どもたちの後ろで見よう見まねで踊りに参加。子どもと学生が一緒になって飛び跳ねるので床が抜けそう。ひとしきり汗を流した学生たちは、子どもたちに別れを告げて次の旧荒浜小学校震災遺構へと向かいました。

<旧荒浜小学校震災遺構見学>
荒浜小では、校舎の2階まで津波が押し寄せたことを聞きました。学生たちは、倒れたままになっているコンクリート製のバルコニー手すり、 天井材がなくなり天井を支える部材がむき出しになった廊下、天井の蛍光灯が垂れさがったままの教室など、津波の威力を目の当たりにして息をのんでいました。展示室「3.11荒浜の記憶」では、地震発生から、津波が襲い、救助されるまでを映像と学校関係者や地元の方々の証言でまとめたビデオを食い入るように見ていました。廊下の東端にいくと、何本か残った防風林の松の木が見え、そのすぐそばで海が白波をたてています。これを見たベンジャミンさんと学生が「So close…..」とぽつり、海がこんなに近いことに驚いていました。その後、震災前の荒浜地区を1500で復元した模型の前で、約800戸の家々が立ち並んでいたという街並みを見ました。学生たちは、何もない野原に荒浜小学校だけがぽつんと立っている今の光景とのギャップに津波の恐ろしさを噛みしめているようでした。
津波の痕跡が残る荒浜小学校の前で

賑やかだった街の暮らしに想いを馳せる


最後は、屋上に上がり、植えられた防風林の苗が緑の絨毯のようになっているようすを見ることができました。また、JIA宮城地域会の方が取り組んでいる、がれきを使った盛土の上に植林して防潮堤と防風林を再生しようという活動についても話を聞くことができました。市民、行政、企業、専門家、そして全国のボランティアの方々など多くの人たちが協力して活動していることで、津波被災からの復興が進んでいることをわかっていただけたのではないかと思います。