2023年7月4日(火)
今年も、台原小学校3年生の堤町まちかど博物館の見学が行われました。この活動は、JIA宮城とネットワーク仙台が連携して、台原小学校に協力して実施されたものです。
今年の3年生は3クラス106名。3年生は、密をさけるため、クラスごとに時間をずらして堤町にやってきました。そして、各クラス3グループに分かれて、登り窯、堤人形展示室、堤焼展示室を巡りました。
グループに分かれる前に、登り窯の前に全員集まって渋谷セツコさん(JIA宮城・ネットワーク仙台)から、堤町まちかど博物館館長の佐藤くに子さんやネットワーク仙台メンバーの紹介がありました。また、博物館前の道路は、昔、江戸から青森の三厩(みんまや)まで通っていた奥州街道という重要な道だったこと、目の前にある窯で堤焼という焼物が作られていたことなどについてお話を聞きました。
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「この窯で堤焼が作られました」と渋谷さん |
登り窯にはどんなひみつがあるのかな?
1か所目の登り窯では、永野ますみさん(JIA宮城・ネットワーク仙台)から、6つの窯が連なって階段状に登る形なので、六連の登り窯と呼んでいること、坂を利用して作られた窯は、坂の下に焚き口があり、熱い火は上に登っていく効率的な構造になっていること、東日本大震災では、上から3つの窯が壊れ、大勢の人が協力して復興したことなど、窯の構造や仕組み、震災後の復興活動などについて説明を受けました。
登り窯は、レンガをアーチ状に組み立ててトンネル状にしたボールトという形をしていて、とても丈夫な建築構造になっています。子供たちはアーチの構造はどこに力がかかっているか、二人一組でアーチをつくってみることに。すると、足と腕に力がかかって、足が折れたらアーチも崩れてしまうことを体で感じることができました。
子供たちは、窯の壁の下のほうに開いているいくつもの小さい穴を発見。これは、この穴から火が上の窯に登っていく仕組みであることを聞きました。焚口には、お供え棚があり、昔は火入れをする前に神様にお祈りしていたことも知りました。
東日本大震災で壊れて直した3つの窯では、何回も焼かれたために黒く光っている古いレンガと、全く焼かれていない赤い新しいレンガが混ざっていることを見て触って確かめることができました。
窯を見ていろいろ疑問に思ったことを、永野さんから教えていただきました。
- 焼き物を作るのにどのくらい時間がかかったの?→7日間ぐらい
- どうやって温度を調整していたの?→色見というのぞき穴から笹竹を投げ入れ、その炎の色で1000度から1200度ぐらいになっているかを確認。温度が低いと感じたら焚口に薪を足して燃やした
- どうやって登り窯をつくるの?→アーチ部分は、窯の上にのっているアーチ状の木製型枠を使ってレンガを積んでいた
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二人一組になってアーチを作ってみよう |
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焚口から薪を入れて火をつけたことを永野さんから聞きました |
堤人形はどう作るの?
堤人形展示室に集まった子供たち。この部屋は、以前ここをお店に使っていた「つつみのおひなっこや」が別の場所に移転したため、新たに堤人形の展示室として生まれ変わったばかりです。
展示の整備は、佐藤くに子館長、ボランティアの青木さんと鹿戸さんによって行われました。
ここに入るとたくさんの堤人形が目に飛び込んできて、興味津々の子供たち。
さっそく、堤人形の作り方について、「つつみのおひなっこや」の佐藤明彦師匠から教えていただきました。
- 堤人形は江戸時代から伝えられてきた型を使って作る
- 表と裏の2つの型のそれぞれに粘土を押し付けてから2つを合わせて両方の粘土をくっつける
- しばらく置いてから型をはずすと人形が現れる
- 人形を乾かしてから窯で焼いたあと、人形に胡粉という白い粉を塗り、その上に色をつけて堤人形が出来上がる
ここで、明彦師匠から「堤人形を焼くときの温度はどのくらいだと思う?」と聞かれた子供たち。100度ぐらいと低い温度を言った子が多かったのですが、師匠の答えは、800度から1000度。意外に高い温度に驚いていました。
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明彦師匠(右端)から堤人形は型を使って作ることを教わりました |
堤焼クイズに挑戦しよう!
最後に回ったのは堤焼の展示室です。子供たちは台の上に乗っているたくさんの堤焼を見て、クイズの堤焼がどこにあるのかを探し、その使い方を当てていきました。
クイズは次の3つです。
A:鬼瓦は家のどこに置かれましたか
① キッチンのかべ
② 屋根の上
③ トイレのかべ
B:大がめは何をいれて使いましたか
① 水
② お酒
③ お風呂のお湯
C:これは何に使うものですか
① 植木ばち
② 花びん
③ 冷たいごはんをあたためる
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Cのクイズ 底に穴が開いたこの焼物は何に使うんだろう? |
鬼瓦はすぐに発見。おかれた場所は、屋根の上が一番多くて、トイレやキッチンの壁という答えが少数ながらありました。大がめは、「酒」や「お風呂のお湯」という答える子もいましたが、多かったのが「水」。水道がなかった昔は、井戸から水を汲んできてかめに溜めて料理や洗い物に使ったことや、水汲みは子供たちの仕事だったことを聞いてびっくり。Cでは、「花びん」や「植木鉢」という答えに混じって、「冷たいご飯を温める」と本当の使い方を当てる子も結構いました。電気も電子レンジもない時代、この中に冷たいご飯を入れ、湯を張った器のなかにざぶざぶとつけて、引き上げるとご飯が温まる「湯通し」という道具であることを知りました。
クイズにはなかったのですが、台の上に置かれた「帽子のようなものは何?」と質問が出ました。それは「ときん」と言って、小さいものは電柱用、大きいものは門柱用で、昔はどちらも木で出来ていたので雨があたっても腐らないようにするため被せていたことを聞き、焼物がのった木の電柱や門柱にイメージを膨らませていました。
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堤焼クイズに挑戦する子供たち |
メモをとりながら熱心に博物館を見学した子供たち、「また来るね!」と言って元気に学校へと戻っていきました。