2019年7月9日火曜日

<パート2 ニューメキシコ編 69日(日)~614日(金)>
■ サンタフェ/69日(日)
 前夜、ジェンさんに5人分のスーツケースを預かってもらい、手荷物だけを持ち、アルバカーキの空港でレンタカーを借りて、いざ、サンタフェ、タオス、アビキューを巡るニューメキシコの旅へ。
 アルバカーキから北へ約1時間半で、最初の街サンタフェに到着。
サンタフェは、12世紀から14世紀にかけては、アナサジ族(プエブロインディアンの先祖)が住み、16世紀にスペイン人が入植してきたという古い歴史を持つ街です。街には、アメリカ先住民プエブロ族のアドビ建築様式とスペインの建築様式が融合した建築物や、20世紀初頭からのスパニッシュ-プエブロリバイバル様式の建築物などが並んでいます。新しいものは、日干し煉瓦がコンクリートなど現代の建材に置き換えられてはいますが外観は、土色の壁、丸みを帯びた壁のコーナー、波打つパラペット、壁から突き出す木の梁(ビガ)、フラットな屋根などで統一されています。色は、土とトルコ石と空をイメージした、茶、青(緑や黄でもOK)、白以外は使えず、高さも規制されているそうです。1957年にサンタフェ歴史地区デザイン評価委員会が制定した条例以降、今も厳しい規制がかけられているそうですが、そうした条例を受け入れてきた所有者、市民、専門家がいるからこそサンタフェの美しい景観が守られているのだと思いました。

まずは、今宵の宿、プエブロボニートB&Bインにチェックイン。この宿ももちろんアドビスタイル。いくつかの棟が庭を囲むように建っています。私たちが泊まった棟は、この施設の中で最も古く、伝統的なアドビ建築であるというオーナーの話でした。オーナーは部屋を案内しながら、夏なのになぜか暖房設備の使い方について説明。その意味は宿泊してみてわかりました。早朝、窓からヒンヤリとした空気が流れてきて目覚めたのです。ここは標高2100mの高地。昼は暑くても朝方はかなり冷えるようです。
プエブロボニートB&Bイン この棟に宿泊
さて、荷物と車を置いてダウンタウンの散策に。教会をふたつ訪ねました。一つ目はロレットチャペル。チャペルの中に入ると、木製の螺旋階段「奇跡の階段」がありました。支える柱もなく、釘も一本も使われていないのでどうやって持っているのか不思議、というわけでこのように呼ばれているとのこと。

次は、アメリカ建国前の1610年ごろに建築され、1710年に再建されたという歴史がある、アメリカで一番古い教会といわれるサンミゲル教会。教会の前には、アドビ建築の壁に使われている日干し煉瓦の実物が置かれていましたが、思いのほかサイズが大きくてびっくりしました。   
この教会の北側に接してバルガスストリート(19世紀西部開拓ルートとして使われたサンタフェトレイル)があり、その向かい側に、18世紀に建てられた(一説には12世紀ごろ)という「アメリカ最古の家」と伝えられる建物がありました。道に沿ってアドビの壁が長く続くその家には、小さい窓と3か所の入り口があります。そのうち1か所はインディアンアートの店の入り口になっていました。あとで知ったのですが、そこは博物館にもなっていて、家の中が無料で公開されているそうです。入ってみればよかったと後悔。外では日干し煉瓦がむきだしになっているアドビの塀に土を塗る修復工事が行われていました。
ロレットチャペルの螺旋階段
サンミゲル教会
サンミゲル教会に展示?してあった日干し煉瓦
アメリカ最古の家と伝えられる建物
右側にインディアンアートの店が見える
アメリカ最古の家のアドビ塀を修復中
日干し煉瓦が剥きだしになっているのが見える

ヒストリックプラザの南東側にラフォンダホテルがありました。この建物の増築と改修をデザインしたのは、スパニッシュ-プエブロリバイバル様式の普及と、歴史地区デザイン評価委員会の委員長として条例制定に尽力した、ジョン・ゴー・ミームです。
プラザでは、マーケットが開かれていていろいろな手工芸品が販売されていました。また、プラザの北側にある旧総督邸の回廊では、トルコ石や銀を使った手作りのアクセサリーの露店が並んでいました。そのほかにもプラザ周辺には、ジュエリーやアートの店がずらり。あちらこちら眺めては目の保養をしました。

旧総督邸回廊の露店
そして、ジョージア・オキーフ美術館へ。1997年に建設されたというこの美術館は、20世紀アメリカを代表する女性画家ジョージア・オキーフの作品を収蔵しています。ニューメキシコの風景や動物の骨、花などを題材に描いた絵画が展示されていました。花の一部を拡大して抽象的に描いている絵を見ながら、野菜の断面図の一部を拡大して抽象画にしていく建築と子供たちのプログラムを思い出していました。作品の中に見たことがあるなと思った山が。係りの人に聞くと、オキーフが日本を旅したとき、飛行機のなかから見た富士山を小さな紙にスケッチし、それを拡大して描いたのだそうです。スケッチと一緒に展示されていました。
ジョージア・オキーフ美術館エントランス


 

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