2016年9月27日火曜日

堤町まちかど博物館見学&登り窯カフェ開催への協力

201697日(水)・913日(火)

(公財)仙台ひと・まち交流財団  仙台市三本松市民センター主催の市民講座「堤町再発見」のなかで、堤町まちかど博物館を見学し、登り窯カフェを楽しもうというワークショップに協力しました。

<堤町まちかど博物館の見学:97日>
この日参加した12名の方々は六連の登り窯の前で、堤人形作家の佐藤吉夫師匠(つつみのおひなっこや)と建築と子供たちネットワーク仙台のメンバーから、「昔、堤町は堤焼という焼物をつくる町で、町のあちらこちらにこのような窯があったこと」や、「目の前の窯は堤町に唯一残る登り窯で、東日本大震災により半壊してしまったが、博物館館長の佐藤はつみさん(登り窯所有者・佐大商店店主)と協働で、延べ450名(子どもたち60名含む)の方々が登り窯を復興させたこと」など話を聞きました。

 その後、積み直した窯の中で、再利用した古いレンガのつるつるした表面に触れてもらい、90年を超える時間の流れを感じてもらいました。展示室では、カメ、どんぶり、流し台、電柱に被せたトキンなど生活に欠かせない焼物がずらりと並んでいる様子を見てもらいましたが、年配の参加者からは「これ、懐かしいね」といった声も聞こえてきました。震災時、吉夫師匠が文化財関係の取材で訪れていた仙台市職員とカメラマンに対応中だったそうですが、揺れの激しい中、三人でカメが転がらないように必死に押さえていたことや、この博物館で最も古い江戸期の堤人形「谷風」も吉夫師匠がとっさに展示棚から床に置いて事なきを得たという逸話に皆さん感激していました。

震災を生き抜いたカメに見入る
積み直された窯の中に入ってみる
はつみさんから、故関善内さん(堤人形作家)が描いた昔の堤町の絵図も閲覧させていただきました。茅葺の建物が街道の両側に立ち並び、それぞれの敷地内には大小さまざまな窯がある風景に皆さん釘付けになっていました。
昔の堤町のまちなみに釘づけ

それから博物館の周辺を散策。まずは博物館北側の道路向かいにある御仲下改所(おすあいどころ)跡へ。御仲下改所は藩政時代に城下に入る荷駄に税をかけていたところで、2001年、老朽化したため取り壊されるまでここにその建物が建っていました。近所の方も知らなかったという御仲下改所。解体された部材を使って2003年に設置された記念版の前に立ち当時を偲びました。次に向かったのは天神社。吉夫師匠の話では、昔、焼物用の粘土を掘っていたところ土の中から天神様が出てきたそうで、その天神様を祀るために建てられたのが天神社ということでした。神社の隣には聖徳太子を祀っている太子堂がありました。焼物職人の守り神として今でも大切に守られているそうです。
右:天神社 左:太子堂

<登り窯カフェ:913日>
朝からしとしとと雨が降るなか、修復された2房が開放されて行われました。参加した13名の方々は、ロウソクのほのかな灯りのもとコーヒーとそば粉のスコーンを味わいながら、「素敵なカフェだね」「レンガがきれいだね」などと話を弾ませていました。カフェのあとは登り窯の焚口の前で吉夫師匠の昔話を聞きました。「“色見”(外から火の色を見て温度を測るために登り窯の壁に開けられた穴)に子どもたちがジャガイモを入れて焼いて食べたのしゃ」「粘土掘りは2か月ぐらいかかるからね、働いている人たちの疲れがとれるように途中窯元が鍋をふるまったんだよ」など次々に出てくる興味深い話に参加者は熱心に耳を傾けていました。

終了後のアンケートには、「知っているつもりでも本当は知らないことを詳しく知ることができて楽しかった」「ふだん知らずに通り過ぎたり、興味を惹かれながら足を運ばなかったところを実際に見られて説明が聞けて良かった」「堤焼、堤人形、登り窯についてその奥深さを知った」「来年も参加したい」などの感想がありました。参加された方々が地域の焼き物の歴史を改めて見つめ直す良い機会になったのではないかと思います。


ロウソクの灯りに浮かび上がるレンガが美しい

吉夫師匠の昔話がおもしろい

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