2022年8月2日火曜日

建築と子供たちプロジェクト2022「ポジティブフォーム ネガティブスペース ってなあに?」

 2022年5月28日(土)

ハイブリッド型のワークショップの2回目は「ポジティブフォーム ネガティブスペース 
ってなあに?」です。β本町橋には、小学3年生1名、大人5名が集まりました。
オンライン側は、ネットワーク仙台のメンバー含めて大人6名の参加です。
はじめに、進行役の細田牧江さん(建築と子どもたちデザインLABO関西)から、このプロジェクトのコンセプトについて以下のように説明がありました。


建築と子供たちプロジェクト2022のコンセプト
・建築デザイン教育で考える力を養う
建築は、科学(science)、技術(technology)、工学(engineering)、芸術(art)、数学(mathematics)を含んだ総合的なデザインであり、建築デザインを教育に生かすことは、STEAM教育そのものである。建築デザイン教育で子供たちの考える力を養っていきたい。
・コロナ禍における建築デザイン教育の在り方 
2021年に実施した建築家、教員、保護者等を対象にしたオンラインでの建築デザイン教育プロトタイプワークショップを発展させ、オンラインと対面を組み合わせたハイブリッド型のワークショップを行う。このことにより、だれでもいつでも建築デザイン教育へアクセスできるような環境を構築したい


その後、本日の演習に移りました。指導はネットワーク仙台の永野ますみさんです。
はじめに、建築と子供たちデザイン教育体験ビデオ「ポジティブフォーム ネガティブスペース」の前半部分を視聴。指導者のライラ・デウィントさん(スクールゾーンインスティテュート)から、ポジティブフォームとネガティブスペースとは何かについてと、建築デザインはポジティブフォームとネガティブスペースに基づいていることを学ぶことなど演習の目的や必要な材料などについてお話がありました。
ここでビデオを一端止めました。流れていくビデオの字幕を追うだけで内容を理解するのは難しいのではないかということになり、今回ビデオ前半の視聴後に演習内容について、永野さんから改めて説明することにしました。
「ポジティブフォームは形があるものです。建築でいえば、壁や床や天井などで、手で触れるものです。固体なのでポジティブと表現します。ネガティブスペースは、ポジティブフォームに囲まれた何もない空間で、そのなかに私たちはいます。空間は、固体が不在なのでネガティブと表現します。ネガティブスペースは建物の外にもあります」
次に拡張の説明。「拡張というのは、ポジティブフォームの中にネガティブスペースを取り込み、元の形より大きく新しい形を創り出すことです」。ここで黒い紙で覆われた鳥かごを取り出し、「鳥かごを建物とすると、黒い紙が壁でそれをはずすと、中と外のネガティブスペースがつながります。ネガティブスペースが拡張したのです」


鳥かごは壁で囲まれています

壁をはずすと中と外のネガティブスペースがつながります

そして、いよいよ作業開始です。直径15㎝の円形、各辺15㎝の正三角形と正方形の3種類の2次元の形を使ってポジティブフォーム とネガティブスペースを表現します。それぞれハサミで小さく刻んで白い紙の上に隙間を開けながら元の形が拡張したように並べてみて、気に入ったところで止めてノリで貼り付けます。ここでは黒い紙がポジティブフォーム、背景の白い紙がネガティブスペースになります。
制限時間は30分、会場側もオンライン側も黙々と作業。やがて全員の作品ができあがり、順番に発表していただきました。
「円を刻んで並べてみたらアンモナイトのようになった」「洋裁をしているので、すべてが洋裁で使うパターンを開くようになった」「四角を切って横にしていたが縦にしてみたら川の流れのようになった」など、皆さん思わぬ変化に驚いたようです。
発表では、子供代表のT君が、ときどき「ダンゴムシ!」「すべり台!」「ブラボー!」「きれい!」など作品を“講評”、会場側もオンライン側も和やかな雰囲気に包まれました。
発表後は、ビデオの後半部分を視聴。ライラさんの実演と、ライラさんが指導した小学2年生の作品を見て今日の演習を振り返りました。
最後にライラさんが見せてくれたのは、貝や葉っぱなど自然の形に見えるところが好きだというシドニーオペラハウスの、普段は見ることができないシドニー湾からの眺め。実物の建物と水面に反射した建物が対称形になっていることや、大きなガラスの開口部により内部のネガティブスペースが拡張して、外部のネガティブスペースと一体になっていることがわかりました。

2年生の作品を紹介するライラさん

「どんな風に切ろうかな、どんな風に並べようかな」と考えながら作業しました


<T君の感想>
  • 切るのが楽しかった。のりで貼るのが難しかった。英語の動画が難しかった
  • 切った紙を並べると色んな形になるなと気付いた
  • 他の人の(作品)がダンゴムシやお花の形に見えて面白かった

<大人の感想(抜粋)>
  • ワ-クショップはとても楽しかったですが、ネガティブスペ-スとポジティブスペ-スの説明は、抽象的概念が難しい子どもには難しかったかもしれません。でも、その理解とは関係なく、ワークショップは小さな子どもも問題なく参加できると思いました
  • どのくらい切り刻むか、切り刻まないか、試行錯誤したことが、難しくも楽しかった
  • 切った紙を裏表どちらかに統一して並べたいのに、途中で見分けが困難になり、パズルみたいに頭を使い刺激になりました。無心で並びを考える時間が楽しかったです
  • 紙を細かく切って丁寧に配置した作品が印象に残った。作品によって上からの視点に見えたり横からの視点に見えたりするのが面白い。
  • 形と空間という3次元をイメージして、平らな白い紙の上に平らな黒い紙で2次元構成するということは難しく、必然的に黒いポジティブフォームのイメージが強いので、黒い切り紙のグループが何に見えるかということにこだわって、そのすき間の白い“ネガティブスペース”をつい忘れがちになってしまう、ということに改めて気がつきました

作品一覧(抜粋)
黒い形と白い空間がコラボした作品の数々。どれも個性豊かに表現されています。
<円形の拡張>



<三角形の拡張>




<四角形の拡張>




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