2018年7月15日日曜日

台原小学校3年生総合学習「台原の達人になろう〜土鈴をつくろうパート2 窯出しをしよう~」

201873日(火)
今日は6月に作った土鈴の窯出しの日です。水筒と生活科バッグを下げた3年生99名が堤町まちかど博物館にやってきました。館長の佐藤はつみさんや前回のワークショップでご指導いただいた「堤人形工房・つつみのおひなっこや」の佐藤吉夫師匠と明彦師匠、日本建築家協会宮城地域会とネットワーク仙台のメンバーが迎えました。はじめにネットワーク仙台から、博物館前の道路は、昔、江戸から青森までを結んでいた奥州街道と呼ばれた道で、行き交う大勢の人で賑わっていたこと、このあたり一帯は、町中で堤焼や堤人形を作る焼物の町だったことなどを話しました。
登り窯の前で、焼き物の町「堤町」の歴史を聞く
窯出しの前に博物館を見学。3クラスに分かれ、六連の登り窯、2階の堤焼・堤人形の展示室、つつみのおひなっこやを回りました。
おひなっこやでは明彦師匠から堤人形の歴史や作り方について聞きました。堤人形は約350年前に始まり、はじめは縁起ものや宗教的なものが作られていましたが、のちに浮世絵や歌舞伎を題材にしたものが作られるようになったそうです。堤人形は、表と裏の2つの型を使い、それぞれの型に粘土を押し付けたあと、型を合わせしばらくしてから型をはずすと人形が現れてくる、それを乾燥させてから800度から1000度で約一日かけて焼き、最後に絵付けをするのだそうです。おひなっこやでは、松川だるまも作っていますが、だるまは、木型に和紙を張り合わせて作るので堤人形と違い、焼かないことを教えられました。
「堤人形は型を使って作ります」と明彦師匠
登り窯の見学では、登り窯は坂を利用して造られている窯で、焚口のある下から上に向かって熱が伝わる工夫がしてあること、アーチ型の入り口は火を点ける時はレンガでふさぎ上に土を塗ること、入り口脇の壁の上にある小さな穴は色見といって火の色で温度を判断していたこと等を聞きました。また、東日本大地震で壊れた窯を修復するとき、古いレンガと新しいレンガを一緒に使っているので、よく観察するようにとの話がありました。古いレンガは釉薬がついて表面がツルツルしているというヒントをもらい、窯の中に入ってレンガを触りながら古いレンガを探しました。
「古いレンガはツルツルだね」
2階の展示室は2つに分かれました。堤焼展示室では焼物クイズに挑戦。帽子のような形の焼物には、「ヘルメット」「どんぶり」という答えがあがりましたが、「これは頭巾(トキン)といって、昔の電柱は木でできていたため雨に当って腐れないように柱の上に被せていたもの」と種明かし。そのほか、底に小さい穴がたくさん開いているカメは、冷たくなったごはんを入れて上から湯をかけて温めた湯通し、大きいすり鉢は仙台名物笹かまのすり身を作ったものなど様々な生活の道具を知り、「昔の人は頭がいいね」と感心しきりでした。隣室にずらりと並ぶ大きなカメを見て、なかをのぞき込みながら「お風呂じゃないの?」。昔は水道がなかったので、このカメに水をためて料理や洗い物に使っていたこと、その水を井戸から汲んで運んでくるのは子どもの仕事だと聞いて「えー、重いよ!」とびっくりしていました。
「大きいね。お風呂みたい」

人形展示室には、「天神様」「お雛様」「鯉かつぎ」などの古い堤人形が部屋の周りにぐるりと飾ってあります。その中で子どもたちの目を引きつけたのは、博物館で一番古い堤人形と伝えられる横綱「谷風」と、その隣に並ぶ「布袋さん」「福助」だったようです。そして、それらの背後の壁に黒く浮かぶ手形を発見。ここで働いていた職人さんたちがイタズラで付けたと聞き、興味深いようすでじっと見つめていました。ひとしきり観察した後は床に座り込み人形たちの絵を描きメモする子どもたち。いくら時間があっても足りないようでした。
右から左に並ぶ、谷風、布袋さん、福助に見入る
 最後はお待ちかねの窯出しです。順番に窯より一つずつ受け取り、落とさないように用心して運びました。無事に焼きあがっているかどうかドキドキしながらの窯出しでしたが、最後までひとつも壊れずに土鈴が出てきてほっと一安心。子どもたちは笑顔で小学校に戻っていきました。焼きあがった土鈴は、後日、学校で絵付けを行う予定になっています。

落とさないように気をつけて受け取ろう

2018年6月23日土曜日

台原小学校3年生総合学習「台原の達人になろう~土鈴をつくろう~」

2018619日(火)
 今年も台原小学校3年生99名は土鈴づくりワークショップを体験しました。ネットワーク仙台は日本建築家協会東北支部宮城地域会との連携にてお手伝いをしました。
 今日は3〜4校時を使って体育館での作品づくりです。子どもたちは粘土板、粘土ベラ、新聞紙、タオルを持ちエプロンをキリッと締めて集まりました。指導は堤人形作家の佐藤吉夫師匠と佐藤明彦師匠です。
 はじめにネットワーク仙台から「学校の近くの奥州街道は、昔、たくさんの人が行き交う大切な道でした。街道の両側には堤町という町があり、江戸時代から昭和まで続いた焼物の町でした。ここでは、堤焼という生活陶器や、冬の間には堤人形という土人形が作られてきました。今、この町で堤焼は作られていませんが、堤人形が佐藤吉夫師匠と佐藤明彦師匠の手で作られています」と、堤町と堤人形について紹介しました。
 次に明彦師匠から土鈴の作り方について話を聞きました。「土鈴の中に入れる土の玉を新聞に包んで丸くします。粘土は5回叩いたらひっくり返してまた5回・・を繰り返すと粘土板に粘土がくっつきません。厚さが7ミリくらいになったら新聞玉を包み、紐を通す穴をつけるため上の方をつまんでください。形は自由に作っていいけど、尖った形のものや、余った粘土をあとから付けたりすると取れてしまうので注意してね。あとは自由に絵を描いてください。」見本を作りながらの説明に、子どもたちは師匠の手の動きを見つめながら真剣に耳を傾けていました。
 6つのグループに分かれて作業開始。四角いものや、角や耳がついているもの、お花模様や点々などで飾ったものなど、いろいろな作品が仕上がりました。最後にクラスと名前を書いたあと、師匠たちに点検してもらい、紐通しのための穴と、音が鳴るように底に穴を開けてもらいました。
静かに集中します
 子どもたちの感想は、「楽しかった」「最初は難しいと思ったけど、スイスイと良いのができた」「傷を直すところが難しかった」(表面のザラザラをなめらかにしたかったそうです)等、笑顔で話してくれました。
完成した作品は1週間程度学校で乾燥したのち、堤町まちかど博物館の窯にて焼いてもらいます。そして、次回は7月3日(火)窯出しです。
一生懸命デザインしています
出来栄えをチェックしてもらいました
ぽってりとした土鈴。今年も完成度が高いです


2018年6月16日土曜日

立町小学校5年総合学習「西公園遊びひろばをデザインしよう~バブルダイアグラムを描こう~」

2018612日(火)
今日から、本格的な西公園遊び広場のデザイン開始。まずは遊び広場のデザインに入る前に、517日のUSF交流のときに作ったスタディ模型を思い出してもらいました。子どもたちはそれぞれの作品を手に、「階段を作って高さをあげ、上から広場を見るようにした」「アーチを作ってその下を誰でも通れるようにした。アーチの上から花などきれいなものを見ることができる」「ゆっくり休める場所を作った」など工夫したところを発表しました。
 そして、遊び広場のデザイン活動へ。はじめに、ネットワーク仙台から、「公園は誰が使うの?」と尋ねると「小さい子からお年寄りまで」「外国人」「障害を持っている人」「鳥や犬」などの声があがりました。そこで「そうした様々な人や動物が利用するのでその立場に立って考えること、安全性や耐久性も考えること」を、デザインで大切なこととして伝えました。この活動では、バブルダイアグラムという方法を使って一人ひとりが図(ダイアグラム)を描いていきます。遊び広場にほしい空間(自由に使えるところ、遊具で遊ぶところ、木を植えるところ、リラックスできるところなど)をバブル(泡ぶく)の形で描き、空間と空間を行き来する動線(人や動物)を線と矢印で描いていく図法です。大きい空間は大きいバブルで、小さい空間は小さいバブルで表し、形は丸いもの、細長いもの、波型のものなど空間のイメージに合わせて様々な形で表現してよいこととしました。動線を表す線や矢印も、「空間と空間を何度も行き来するようなときは線を太くするなどいろいろな線を使ってみよう」とアドバイス。
バブルダイアグラムは、1300の遊び広場の実測図の上に描いていくのですが、マーカーを使うので消しゴムで消すことができません。鉛筆に慣れている子どもたちにとってマーカーで描くのは勇気がいるらしく、最初はとまどっていましたが、「直したいときや別のアイデアが浮かんできたときはトレーシングペーパーを被せてその上に描いてね」と言うと手がどんどん動き出しました。
こうしてバブルダイアグラムが完成。何人かに発表してもらいました。広場の周りにランニングスペースを設けた子、小さい子でも遊べる野原を描いた子、などいろいろなアイデアが出てきました。なかには、遊び広場の外側まで考えた子もいました。時間の関係で全員の発表はできませんでしたが、友達の発表を聞いて人によって様々な考えがあることに気づいたのではないかと思います。

次回は7月10日、グループで図面を描くことになります。この場所が広瀬川や青葉山に囲まれた自然豊かな場所であることも考えてくるようにとの宿題を出して今日の活動を終えました。
直したいときはトレーシングペーパーを使おう
引き出し線でバブルを説明し、バブル間の往来の頻度を線の強弱で表現
バブルダイアグラムの特徴について発表

立町小学校ワークショップ「Imagining Adventure Land: 冒険広場を想像しよう」+ワークショップ「堤人形七夕土鈴に絵付けしよう」

517日(木)
<立町小学校ワークショップ「Imagining Adventure Land: 冒険広場を想像しよう」>

立町小学校5年生31名は、4月から西公園遊びひろばをデザインしよう」という総合学習に取り組んでいます。
今回の交流学習では、6月から本格的なデザイン学習をはじめるにあたって、USFオーナーズカレッジの大学生20名と、同カレッジ講師の酒井敦子さんの指導のもとデザインの練習に挑戦しました。会場の視聴覚室には、子どもたち、USF大学生、USF講師の酒井さんとベンジャミン・ヤングさんのほか、通訳のボアー・ネイトさん、山形大学の3年生・留学生7名、仙台市公園課の職員2名、ネットワーク仙台とJIA宮城地域会のメンバー6名などが集まりました。はじめは立町小の子どもたちから。土井晩翠や伊達政宗のことや、学習発表会、運動会、山登り、クラブ活動などの学校生活について、通訳のネイトさんに助けてもらいながら発表し、最後は「Let’s take a chance」を合唱して締めくくりました。

■世界のいろいろな遊び場を知る
USFの大学生たちは世界の様々な遊び場について調べそれをパワーポイントにまとめて紹介していきました。
最初は、南フロリダ大学の紹介。
いくつもの街区にまたがる広大な敷地はまるで一つの都市のよう。ヤシの木など南国の緑や花に囲まれ、池や湖などの水辺もあり、自然豊かなこのキャンパスの中には、寝そべることができるベンチ、ブランコになっているベンチ、ハンモックなどがあり、学生たちの憩いの場になっているそうです。これを見た子どもたちから「移民になりたい」という声があがりました。
そのほか、ニューヨークの建築家トム・オッタ―ネスがデザインした、人が寝そべって手を差しのべている形のすべり台や、オーストリアにある垂直ネットなどで遊べる多層式のプレイタワー、どこにでも持ち運びができる折りたたみ式のウッドブロックなど、世界中のいろいろな遊具が紹介されました。遊具だけではなく、ストリートスタイルとボールスタイルの二種類があるスケートボードの遊び場や、簡単なループ状のものから複雑な形状のラビリンスまで様々ある迷路まで。また、転がったり、すべったり、障害物競争をしたりと多様な遊びができる連続した小さい丘や、スペインの建築家がデザインしたお洒落な休憩所、釣りやカヌー・カヤック遊びができる川など、遊び場のヒントが次々に出てきました。
広大な南フロリダ大学キャンパス
迷路のいろいろ

■視覚言語の練習
酒井さんの指導で、いくつかデザインの基礎を学んでいくことになりました。はじめは視覚言語の練習。視覚言語とは、視覚的に物事を考え、それを図に表現してアイデアを人に伝えていく建築デザインの手法ですが、図は言葉の代わりに使われるので視覚言語と呼ばれています。
それが実際どういうものなのか、シャボン玉と風船の動きを図に表現することによって体験します。最初はシャボン玉が生まれてから弾けてなくなるまでの一生を描きます。学生たちが吹くシャボン玉のゆっくりとした動きをよく見てシャボン玉が生まれ丸い形になって、最後はポンと弾けてなくなるまでの様子を描いていきました。こうした図によって時間の流れがわかるということでした。次は、3つの風船を同時に飛ばして、その一瞬の動きを描いていく課題です。ここで酒井さんから、「描く道具は黒マーカーだけ。3つの風船の色の違いは、風船の表面の処理を変えることで表現できます。風船の動きは、線を使って描きますが、線は、細い線、太い線、破線、一点鎖線などいろいろな線の描き方があるので、それらを使って風船の動きを描いてね。風船の中の空気の量でスピードが違うことも線を変えることで表現できますよ。矢印を使えば動く方向がわかります。」というアドバイスがありました。風船飛ばしは2回だけなので子どもたちは集中して観察し、それを図に表していきました。
シャボン玉の動きを描こう
シャボン玉が生まれてからはじけるまでの図
「いろいろな線と矢印をつかって書いてね」と酒井さん
「3つの風船を飛ばすからよく見てね」
風船の色のちがいを異なる線で表現

■点から空間へ、ポジティブとネガティブ、光と陰と影
酒井さんから、空間とは何かということについて以下のように説明がありました。
①空間のはじまりは点であり、点をのばしていくと線になり、線で囲んでいくと面になり、面を立ち上げると形(立体)になり、形を組み合わせていくと空間になる。
②空間は、ポジティブ(物体)とネガティブ(物体と物体の間の何もないスペース)でできていて、私たちはネガティブなスペースで暮らしている。
③空間に光が当たると、光が当たっている部分、光が当たらない陰の部分、光が当たって物体の影ができている部分ができる。
④安藤忠雄は、ある教会の設計において、ポジティブな物体でデザインするのが一般的な十字架を、壁に十字に穴を開けてネガティブなスペースをつくり、そこから差し込む光が十字架に見えるようにデザインした。ここでは、ポジティブ(壁)とネガティブ(十字形の穴)、光と陰(壁)を組み合わせて斬新な空間を生み出している。
このあと、ポジティブとネガティブ、光と陰と影を組み合わせて不思議な空間をつくった模型の実例がいくつか紹介されたところで、いよいよ冒険広場のスタディ模型づくりにチャレンジです。
はじめに作り方として、「いろいろな形の穴が開いたカラー台紙(22㎝×22㎝)の上に、白画用紙と細長くカットされたカラー紙を折ったり切ったり丸めたりして模型をつくること。模型は紙で埋めようとせず、真ん中に握りこぶしくらいのネガティブスペースを作ることを意識すること」との注意がありました。
ここからは、子どもたち、USF大学生、山形大学生合わせて58名が6グループに分かれ、視聴覚室隣の会議室と多目的室に移動して模型づくりに励みました。
完成した子どもたちの作品には、「スケボーのコース」「アスレティックのロープウェイ」「日陰になる屋根」など冒険広場にほしいものが表現されていました。その後、再び視聴覚室に集まり、お互いの作品を見せあいながら発表しました。発表の最後に穴のあいた台紙の下からスポットライトを当てて鑑賞。天井に模型の影が映ると歓声があがりました。この日は時間切れになったため、後日学校で全作品に光を当てる活動をしたところ、「光を当てたときと当てないときでずいぶん模型の印象が違う」など、光がもたらす不思議な造形に見とれていたそうです。
光と陰と影のリズムを楽しもう
不思議な冒険広場をイメージして
いろいろな模型ができたよ

スタディ模型づくりのあとはお待ちかねの給食です。立町小学校では1年から6年まで全学年の子どもたちと一緒に各クラスに分かれて給食を摂ることになりました。2年生のクラスでは、大学生に興味津々で「Nice to meet you!」と握手を求めに来たり、自分のノートを持ってきてサインをせがんだりしていました。そんな楽しいひとときも時間が来てしまい、せかされるように帰りのバスへと向かう学生たちに、子どもたちは窓から身を乗り出すようにして「さようなら!」といつまでも叫んでいました。

<ワークショップ「堤人形七夕土鈴に絵付けしよう」>
立町小を離れたUSF一行は、仙台城跡で市内を一望したあと、堤町まちかど博物館へ。博物館では、震災で被災した登り窯が、アン・テーラー博士や酒井さんはじめアメリカの建築と子供たち関係者の方々の寄付など大勢の人たちの協力で復活した話に聞き入っていました。博物館2階の人形展示室とおひなっこやの店内にわかれ、佐藤吉夫師匠の手ほどきで堤人形の七夕土鈴に絵付けをしました。白く胡粉が塗られた土鈴には竹と3つの吹き流しが浮かんで見えます。そこに、竹は緑、吹き流しは青と朱と黄の3色を基調にところどころ白で模様も付けるなどして絵付けしていきました。なかには朱と白を混ぜてピンクをつくり、七夕飾りの脇に桜の木を描いたりして独自の作品をつくる学生もいました。
出来あがった土鈴に名前を入れて終了。みなさん、良いおみやげになったようです。
登り窯の復活にアメリカ人も協力したことを知る
仙台の伝統工芸堤人形の絵付けを体験する

518日、USFオーナーズカレッジ一行は次の訪問地京都に向けて旅立っていきました。
 仙台の子どもたちのために、世界の遊び場や公園を調べ、教材(六郷小のマシュマロやスパゲッティ、立町小のスタディ模型の台紙など)を準備し、日本語を覚えて授業に臨んでいただいたみなさん、本当にありがとうございました。
そして、授業の企画から指導までこの交流の実現にご尽力いただいた酒井敦子さんとベンジャミン・ヤングさん、心より感謝申し上げます。仙台の子どもたちはみなさんと過ごした楽しい時間をいつまでも忘れることはないでしょう。
仙台の旅を終えて