2017年7月16日日曜日

台原小学校土鈴づくり窯出しワークショップ

2017711日(火)
 今日は台原小学校3年生104名の土鈴づくりの2回目の活動(1回目は621日)、佐藤吉夫師匠に堤町まちかど博物館の体験窯で焼いてもらった土鈴を窯から出す日です。朝の9時半、もう29度を超える暑さの中、子どもたちが水筒と生活科バッグを持って博物館にやってきました。
 はじめに、博物館前の通りは奥州街道といって江戸日本橋から青森三厩まで続く大きな道だったこと、堤町では江戸の昔からここに住んでいた足軽たちが堤焼きという焼物を作っていたこと、2011年の大震災で登り窯の半分が壊れたけれど、子どもと大人が一緒に直したことなど、堤町と堤焼の歴史、そして震災後の復興活動について話しました。
吉夫師匠からは、登り窯や職人たちや焼いた土管が一緒に写っている写真を見せながら、活気あふれた焼物づくりのようすについて話しがありました。
 その後、3クラスに分かれ、登り窯、2階展示室、堤人形工房「つつみのおひなっこや」を順番にまわりました。
吉夫師匠の話を聞く
 登り窯では、ふたり一組になり、足で踏ん張り手で押し合ってアーチを作り、窯に働く力を自分の体で感じてもらいました。次に窯の中に入って、「①ピカピカしたレンガをさがそう」「②熱が通る四角い穴をさがそうという」というクイズに挑戦。①は、あちらこちらから「あった!」「いっぱいある!」との声があがり、焼かれてレンガが溶け、ガラスのようにツルツルになったレンガの表面の感触を確かめていました。②は、窯の一番下なので少し時間がかかったものの発見。下から上に火が登っていくために必要な穴であることを聞くと熱心にのぞき込んでいました。
窯に働く力を体で感じてみよう

ツルツルしてる!

 堤焼展示室では、大きなカメは何のために使われていたかを質問すると、「酒を入れる」「味噌を入れる」中には「お風呂」と言う子も。水道のないころ、井戸から水を汲んできてこのカメに溜めて台所で使っていたことを種明かし。隣の部屋では、底に小さい穴がいっぱいあるカメが何に使われたか聞くと、「植木鉢」「花びん」などの答えがあがりましたが、冷めたご飯を入れて上からお湯をかけて温めていた「湯通し」という道具であることを教えると驚いたようすでした。便利なものがない時代、昔の人はいろいろな工夫をして暮らしていたことをわかってもらえたでしょうか。

こんな大きなカメ、何に使ったんだろう
人形展示室では、この部屋で一番の宝物は何かをたずねたところ、すぐに棚に飾られた箱入りの堤人形「谷風」を指さしました。谷風は仙台出身の大横綱で、この人形は1879年に作られ、この博物館で一番古い人形であることを話しました。また、「谷風」の後ろの壁にある手形が気になったようで、「おばけの手」などと言っていましたが、昔ここで働いていた職人さんの手形であることを聞くと興味深げに見入っていました。
「谷風」と職人さんの手形に見入る
おひなっこやさんでは、店内に並べられた堤人形、松川ダルマに囲まれて、佐藤明彦師匠から、「このあたりではいい土が採れたので昔から堤焼や堤人形を作ってきた。堤人形は型と粘土を使って作り、乾いたら焼いて絵付けして完成するけれど、ダルマは型に紙を張って作り、紙なので焼くと燃えてしまうので、そのまま絵付けする」など、堤人形の歴史や堤人形とダルマの作り方について教えてもらいました。
堤人形やダルマの作り方について聞く

 最後は窯出しです。登り窯の前に並び、体験窯からひとり一つずつ焼きあがった土鈴を受け取りカゴへ。お友達の土鈴、割れたら大変とみんな鈴を鳴らしたいのもがまんして大事に運びました。例年数個は割れることもある窯出しですが、今年はひとつも割れず、笑顔で窯出しを終了。暑さにもめげず元気に学校に戻っていきました。
体験窯の蓋を開けたところ
窯から出した土鈴、ちょっとドキドキしながら受け取る
 できあがった土鈴は、後ほど学校で絵付けするそうです。どんな作品ができあがるのか楽しみです。




2017年7月10日月曜日

六郷小学校3年生総合学習「六郷の音をデザインしよう〜気になる音を拾ってこよう〜」

201775日(水)

 六郷小学校3年生137名は、六郷の音をデザインする学習に取り組むことになりました。今日は授業の初回、六郷地域をたんけんして、気になる音を拾ってくる活動です。
 たんけんに出かける前に音を描く視覚言語の練習を行いました。拍手(手を叩く音)や、ウインドチャイムやことりの笛を鳴らしてその音を図形や線で描いていきます。
ことりの笛はどんな音?
上から、拍手、ウインドチャイム、ことりの笛の音
 その後、まちたんけんスタート。小学校から 西側〔今泉・上飯田(梅塚公園〜馬洗場公園〜佐藤さんの田んぼ)〕と、東側〔下飯田(用水路〜高橋さん宅〜薬師堂)〕の  2コースに分かれました。

 西側のコース(2組・4組)の子どもたちが、最初に向かったのは梅塚公園。仙台市教育局文化財課の大友さんから説明を受けました。公園の中心には小高く盛り上がった場所があり、それが公園の名前の由来となっている「梅塚」です。てっぺんに梅の木が植えられています。これは古墳(円墳)であること、豪農だった大友氏が武士だったころ、戦いに敗れて武具などをここに埋めたことで「埋塚」と呼ばれ、やがて「梅塚」となったことなど、興味深い歴史を知ることができました。そして、鳥の鳴き声や風の音を聴いたり、聴診器を使って、木の中の音、滑り台の金属の中を響く音などを聴いてその場でスケッチしていきました。梅塚公園の近くに馬洗場公園という細長い公園があり、この公園に沿って今泉用水路という堀があります。昔、この堀で農耕馬の体を洗ったのだそうです。

「梅塚」は古墳だった!

馬の体を洗った堀の音を聴く
 次に向かったのは5年生が借りている佐藤さんの田んぼ。佐藤さんに事前に承諾を得て、田んぼの中に入らせてもらいました。
 今日は晴天ですが、昨日まで雨が降っていたので田んぼの中は泥んこ状態、子どもたちはすっかり泥だらけになりました。大はしゃぎしながらも、ずぼずぼ、ぬるっといった田んぼに入ったときの音や、脇の水路に足を入れたときのざばざばとした水の音など思い思いの音を拾えたようです。
泥の感触を味わいながら音を拾う


東側のコース(1組・3組)は、はじめに門暮橋(もんくればし)という小さな橋の袂を流れる用水路に向かいました。水路の中には小魚やザリガニも見えて子どもたちは大喜び。さっそく水音を聴いたり、鳥の鳴き声に耳を澄ましたりと、1か所目から積極的に音を探しました。
 次に高橋さんの家へ。高橋さんから「この地域では、イグネといって家の周りに木を植えてその木で自分の家を造り、畑や田んぼで作物を作って自分で食べる暮らしをしていた。作業場は昭和8年の建物で85歳。いまはトラクターなど耕運機が入っているけれど、昔は牛や馬を飼っていたところ。もう一つの建物は鶏や牛馬の糞とワラや草で堆肥を作る場所だった。お天道様は神様みたいで、手を合わせて作業している」と聞き、昔の暮らしや農家の人の想いを聞くことができました。
 ネットワーク仙台からは、作業場の太い梁のおかげで軒が深く、皆が入れるくらいの日陰ができていることを話しました。子どもたちはここで、作業場の柱や壁の中の音や、田んぼの稲の上を渡る風の音など、気になる音をスケッチしていました。
高橋さんのお話を聞きました

昔の建物の音は?

 おひさまは容赦なく、汗を拭きながら3ヵ所目に向かいました。
田んぼの真中に立つ薬師堂
 田んぼの真ん中に木立に囲まれて立っている薬師堂。到着すると海からの風が心地よくほっと一息。文化財課の及川さんから説明を聞きました。「180年前の江戸時代に海を渡ってきた仏像が、いまの国分寺の薬師堂に向かう途中この場所に立ち寄ったことから、ここにもお堂が建てられた。仏像は薬師如来で左手には『何でも治す薬』を持っている。当時は災害、病気などが蔓延していたが、薬師如来のおかげで六郷が平和になったという言い伝えがある」ということでした。お堂は70年前、古墳(高さ約2Mの円墳)の上に建てられたものだそうです。 古墳の中はまだ調査されていませんが、ここから200M先にはコップのような形をした埴輪が出てきたので、この下にもあるかも知れないと話していました。
子どもたちは、順番に並んで鰐口を鳴らしたり、鐘楼の中や外、木、地面と聴診器を当て聴きいってメモを走らせていました。

鰐口を鳴らしてみよう

 たんけんを終えて学校に戻ると、忘れないうちに拾ってきた音の整理しました。どこで拾った音か、それは何の音か、どのような感じに聞こえたか、メモを見て思い出しながらスケッチを完成させていきました。次回は今回拾ってきた音を元にして、デザインを進めていきます。
スケッチを完成させよう