2015年12月16日水曜日

上杉公園をデザインしよう~模型をつくろう~


2015128日(火)
上杉山通小学校5年生4クラス148名は、総合学習「考えよう未来のまち~上杉公園デザインプロジェクト~」6回目の学習として、前回までに描いたバブルダイアグラムをもとに模型づくりに取り組みました。

模型は、縮尺1/80の上杉公園の模型土台(スタイロフォーム40mm)の上に作っていきます。この土台は学校の先生たちとネットワーク仙台が夏休み中に製作しておいたもので、全体をシーナリーパウダーで色づけし、その上に花紙で作った樹木を植えてあります。公園の隣には宮城県建築士会まちづくり部会の皆さんが製作した上杉コミュニティセンターも建っています。

今回は1時限目が音楽室、23時限目は各教室にわかれての活動となりました。
1時限目、音楽室には土台12セットのほかに、花紙と針金でつくった大小様々な樹木、紙粘土、バルサ、楊枝、色紙、シーナリーパウダー、スチレンのりなどの模型材料が用意されています。
はじめに、グループバブルダイアグラムをもとに作ること、縮尺1/80の人型を縮尺の目安として使うこと、少数意見も大事にすること、いろいろな材料を分け合いながら使うこと、自分で集めてきた材料も使ってよいことなど模型の作り方について説明しました。子どもたちははじめて見る土台と模型材料を前に目を輝かせていました。
説明が終ると土台と各種材料を持って3階と4階の各教室に移動。床の上や机の上に土台や材料を広げてさっそく模型づくりにとりかかりました。
みんなで協力して模型をつくろう
右上:遊具スペースを仕切る丘
まずは模型のパーツづくりから。何ができるのかなとしばらく眺めているとやがて子どもたちのアイデアが形になってあらわれてきました。遊具スペースをスポーツ広場や休憩スペースと分けている土手のようなものは丘で、上に登ると公園を眺められるのだそうです。別のグループでは川と噴水で遊具スペースと他のスペースを分けていました。遊具スペースはどのグループもかなりつくりこんでいておもしろいものがたくさんありました。公園を取り囲むように長いローラーボードすべり台あり、遊具スペースの真ん中に屋上緑化の足湯の建物等々。
遊具スペースとスポーツ広場を区切る川と噴水
左端:ローラーボードすべり台
中央:屋上緑化された足湯
奮闘すること90分、だいぶ公園の姿が見えてきました。でももうしばらく時間がかかりそうです。今後は学校独自で今月中に模型を完成させ、来年119日に発表会を行うことになりました。

2015年12月4日金曜日

上杉公園をデザインしよう~バブルダイアグラムを見直そう~


2015121日(火)
今日は、上杉山通小学校5年生4クラス148名の総合学習「考えよう未来のまち~上杉公園デザインプロジェクト~」5回目の学習です。前回1124日にグループバブルダイアグラムを描きましたが、出来上がった図を見るとボール遊びスペース、遊具スペース、休憩スペースなどの大きな空間の配置や、安全柵・ゴミ箱・トイレの設置が主になっていて、学校の先生も私たちもワクワクするようなアイデアが足りないと感じていました。また、活動中にはどのグループにも23人ぐらい話し合いに入れない子がいたことも気になっていました。これは個人で考える時間をとらずにいきなりグループ活動に入ったためではないかと反省。この日グループバブルの発表と模型作りに入る予定をとりやめ、まずは個人でバブルダイアグラムを描き、それを持ち寄ってグループバブルダイアグラムを見直そうということになりました。

授業のはじめに「前回のバブルダイアグラムは楽しさに欠けています。このままでは模型作りに入れません」と駄目だし。そして「ノーベル賞を受賞した山中伸弥先生は『人間は失敗からしか学べない』と言いました。みんなも楽しくない公園という失敗から学んで、では楽しくするためにはどうしたらよいかを考えてひとり一人がバブルダイアグラムを描いてください。それをもとにグループのバブルダイアグラムを見直します」と今日の目標を伝えました。

さらに東長町小の6年生(2001年)が描いた長町中央公園のバブルダイアグラムを見せて「公園の真ん中に川の流れをつくる」「山のように土を盛り上げてその上に溜池をつくる」「遊具の代わりにヒミツ基地をつくる」など楽しそうなアイデアを紹介すると子どもたちの目がきらり。こうして個人バブルダイアグラムの活動がはじまりました。

子どもたちは公園の平面図(A4紙)の上に黒マーカーとクレヨンを使ってどんどんバブルダイアグラムを描いていきます。直したいときやもっと別のアイデアが出てきたときのために用意したトレーシングペーパーも次々に無くなっていき、「新しい遊具で公園を取り囲む」「土を盛り上げて洞窟をつくる」「ひまわり迷路をつくる」「水路と田んぼをつくる」「ツリーハウスをつくる」などおもしろいアイデアが続々と出てきました。



みんなが楽しめる公園にしよう
ツリーハウスのある公園
次はグループバブルダイアグラムです。どのグループでも話し合いの前に隣同士でバブルダイアグラムを見せ合ったり、グループ全体で回して読んだりしている様子が見られました。視覚言語としての図がお互いの考えを理解するのに役立つことを自然に身に付けることができたのではないかと思います。

グループ全員のバブルダイアグラムを見てみよう
グループバブルダイアグラムを見直そう
話し合いはなかなか前に進めない状況が生まれてきました。たとえば「水路をつくりたい」と主張した子に対して「小さい子が溺れる」といって対立していたグループがありました。ほかでも同様の議論になっていたグループがあり、「排除するのではなく、生かしていく方法はないのか考えるように」とアドバイスしましたが、議論は平行線をたどっているうちに時間切れに。次回の模型作りまでに学校でさらなるグループ活動を行うことで今日の授業は終了となりました。

課題が見つかりましたが、これもひとり一人のアイデアが具体的になってきたことによるもの。これから模型作りに入りますが、異なる意見を調整してより良いアイデアを積み上げて公園をデザインしていくように子どもたちの活動を見守っていきたいと思います。

 子どもたちの変化を見てひとり一人が目当てを持つことがどのくらい大切なことなのかがわかり、私たちこそ失敗から学んだのだと思いました。

2015年11月30日月曜日

上杉公園をデザインしよう~視覚言語の練習&グループバブルダイアグラム~


 20151124日(火)
上杉山通小学校5年生4クラス148名の総合学習「考えよう未来のまち~上杉公園デザインプロジェクト~」4回目の学習。建築家は視覚的に物事を考え、それを図に表現して考えたことを人に伝えます。こうした図は言葉の代わりに使われるので視覚言語と呼ばれています。子どもたちも前回の学習で考えた公園づくりの基準をもとにどんな公園にするかを図に表わしていくことになりました。その準備段階として視覚言語の基本練習「シャボン玉の一生」にチャレンジ。これはシャボン玉が生まれてからはじけて死んでしまうまでの動きを線と矢印で描いていく活動ですが、物の動きやその動きによる時間の流れを線で表わすことができることを体験してもらうことがねらいです。ゆらゆらと空中を散歩するシャボン玉、あっという間に沈んではじけてしまうシャボン玉など、子どもたちはシャボン玉が飛んでいく様子を丁寧に紙に描き取っていきました。

シャボン玉が生まれてから死ぬまでの動きを線で描く
練習が終わると、前回考えたデザイン基準をもとに公園に必要な空間をバブルダイアグラムという図に表わしていく活動です。はじめにバブルダイアグラムの描き方について、①空間をシャボン玉の泡「バブル」のように見立てること、②公園の平面図の上にバブルで必要な空間を描いていくこと、③バブルは、丸いもの、細長いもの、楕円形のものなどイメージする空間によっていろいろな形を考えること、④バブルは平面に描かれていても、泡と同じように立体になっていることをイメージする、⑤バブルとバブルの間のつながりを線と矢印で表わすこと(関係が強ければ太い線、弱ければ細い線など)、⑥バブルにはどんな空間なのかを言葉で書き入れることを伝えました。

バブルダイアグラムで考えよう

今日の教室は音楽室とその準備室、そして廊下の一部です。子どもたちはそれぞれのグループに分かれて公園の平面図を囲んでバブルダイアグラムに取組みました。あるグループでは公園にトイレをつけるかどうかで議論になり「コミュニティセンターの裏側(公園側)に新たに入り口を設けることでコミュニティセンターのトイレが利用しやすくなるので公園内にトイレを設けなくても良い」という結論を出していました。また、多くのグループでボール遊びなどの活動的なスペースが休憩スペースや遊具スペースなどと大きな木を挟んで隣り合っていて、ボールなどが飛んで危なくないようにどのような方法をとるかが議論になっていました。子どもたちは「木の根元を盛土する」や「高いフェンスで囲う」のように危険を回避する対策だけを考えていたようなので「盛土すると木が腐れてしまうのでは」「見え方(景観)も考えてみよう」など別の視点を与えて「他に方法がないか考えてみて」とアドバイス。さてどのようなアイデアが生まれてくるのか次回が楽しみです。
額を寄せあって話し合いの真っ最中