2015年11月30日月曜日

上杉公園をデザインしよう~視覚言語の練習&グループバブルダイアグラム~


 20151124日(火)
上杉山通小学校5年生4クラス148名の総合学習「考えよう未来のまち~上杉公園デザインプロジェクト~」4回目の学習。建築家は視覚的に物事を考え、それを図に表現して考えたことを人に伝えます。こうした図は言葉の代わりに使われるので視覚言語と呼ばれています。子どもたちも前回の学習で考えた公園づくりの基準をもとにどんな公園にするかを図に表わしていくことになりました。その準備段階として視覚言語の基本練習「シャボン玉の一生」にチャレンジ。これはシャボン玉が生まれてからはじけて死んでしまうまでの動きを線と矢印で描いていく活動ですが、物の動きやその動きによる時間の流れを線で表わすことができることを体験してもらうことがねらいです。ゆらゆらと空中を散歩するシャボン玉、あっという間に沈んではじけてしまうシャボン玉など、子どもたちはシャボン玉が飛んでいく様子を丁寧に紙に描き取っていきました。

シャボン玉が生まれてから死ぬまでの動きを線で描く
練習が終わると、前回考えたデザイン基準をもとに公園に必要な空間をバブルダイアグラムという図に表わしていく活動です。はじめにバブルダイアグラムの描き方について、①空間をシャボン玉の泡「バブル」のように見立てること、②公園の平面図の上にバブルで必要な空間を描いていくこと、③バブルは、丸いもの、細長いもの、楕円形のものなどイメージする空間によっていろいろな形を考えること、④バブルは平面に描かれていても、泡と同じように立体になっていることをイメージする、⑤バブルとバブルの間のつながりを線と矢印で表わすこと(関係が強ければ太い線、弱ければ細い線など)、⑥バブルにはどんな空間なのかを言葉で書き入れることを伝えました。

バブルダイアグラムで考えよう

今日の教室は音楽室とその準備室、そして廊下の一部です。子どもたちはそれぞれのグループに分かれて公園の平面図を囲んでバブルダイアグラムに取組みました。あるグループでは公園にトイレをつけるかどうかで議論になり「コミュニティセンターの裏側(公園側)に新たに入り口を設けることでコミュニティセンターのトイレが利用しやすくなるので公園内にトイレを設けなくても良い」という結論を出していました。また、多くのグループでボール遊びなどの活動的なスペースが休憩スペースや遊具スペースなどと大きな木を挟んで隣り合っていて、ボールなどが飛んで危なくないようにどのような方法をとるかが議論になっていました。子どもたちは「木の根元を盛土する」や「高いフェンスで囲う」のように危険を回避する対策だけを考えていたようなので「盛土すると木が腐れてしまうのでは」「見え方(景観)も考えてみよう」など別の視点を与えて「他に方法がないか考えてみて」とアドバイス。さてどのようなアイデアが生まれてくるのか次回が楽しみです。
額を寄せあって話し合いの真っ最中

2015年11月22日日曜日

上杉公園をデザインしよう~公園に“いるもの”“いらないもの”を考えよう~


20151117日(火)
今日は、上杉山通小学校5年生4クラス148名の総合学習「考えよう未来のまち~上杉公園デザインプロジェクト~」3回目として、公園にどんなものが必要なのか、どんなものがいらないのかを考え、今後デザインを進める上での基準をつくる学習です。

はじめにネットワーク仙台から、まち探検をしたり、地域の方や専門家の話をきいたり、公園で気に入ったものや気になるものを調べた今までの学習はデザインサーベイといってデザインの大切な仕事のひとつであること、今日からはそのデザインサーベイをもとに具体的な形に落とし込んでいく活動をやることを伝えました。

“いるもの”“いらないもの”を考えよう
視聴覚室と準備室を目いっぱいに使って、12グループに分かれて活動開始。各グループの子どもたちは、すでに子ども(小学生~高校生)、高齢者、障がい者、小動物、鳥、植物、親子、その他(外国人、昆虫、スポーツマン、大人)などの立場になりきっています。子どもたちはあらかじめそれぞれの立場で “いるもの”“いらないもの”を考えてポストイットカードに書き出していました。それを模造紙に貼りつけていくのですが、グループで話し合っているうちに別のアイデアも湧いてきて次々に新しいカードが加えられていきました。そしてそれらの共通点を見つけてグルーピングし、それぞれにタイトルをつけていきました。そのタイトルがデザインの基準となります。たとえば“いるもの”として挙げられた「ハンモック」「日かげ」「ベンチ」は<休める場所>、「砂場」「ターザンロープ」は<みんなが遊べるスペース>、「木」「花」「植物」は<緑を増やす>、“いらないもの”としての「段差」「入口の階段」は<段差をなくす>といった具合です。そのほか、“いるもの”には、「芝生」「音がなる時計」「トイレ」「外灯」「点字ブロック」「緑のカーテン」「背もたれのあるベンチ」「水遊び場」「動物のための池」「ボール遊びができるスペース」など、様々なものが挙げられていました。“いらないもの”では「ゴミ」が圧倒的に多く出されていました。そして、「ゴミ」をなくすにはどうしたらよいかということも話し合われ、「家に持ち帰るようにする」「公園にゴミ箱を置く」「お菓子などを売った店にゴミ箱を置く」「町の人と協力してゴミを減らす」「清掃活動をする」などが提案され、子どもたちの関心の高さを感じることができました。

興味深かったのはあるグループの遊具についての議論です。子どもの立場は“いるもの”、それ以外の立場では“いらないもの”と意見がわかれ、話し合った結果<公園では遊具が必要な人と必要でない人がいる>という基準をつくりました。
いるもの”“いらないものの仲間を集めよう
活動の最後にグループごとに成果を発表。どのグループの発表も、模造紙いっぱいに書かれた“いるもの”“いらないもの”とデザイン基準を前に、どういう理由でそれを選んだのか、立場によってどのような違いがあったのか、いらないものをどう減らしたりなくしたりしていけるのかなど大人が気づかないようなことが多く提案されていて、聴いていた私たちをうならせました。
みんなの考えを発表
次回はこれらの基準をもとにバブルダイアグラムを使って公園空間をゾーニングする予定です。

2015年11月13日金曜日

上杉公園をデザインしよう~公園について調べよう~


20151027日(火)
上杉山通小学校5年生148名の子どもたちは総合学習「考えよう未来のまち~上杉公園デザインプロジェクト~」に取り組んでいます。この学習は、子どもたちの身近な遊び場でもある上杉公園をデザインすることを通して、新たな視点でまちを見たり地域の一員としての自覚を高めたりしてもらおうというねらいのもと行われています。今回は、623日の「上杉のまちをたんけんしよう」に引き続いて実施されたもので、仙台市、地域住民、公園デザインの専門家をお招きして上杉公園の現状や課題、公園デザインの考え方について学ぶとともに、公園を良く観察して「気に入ったもの」や「気になるもの」を探してスケッチする学習です。

会場の上杉コミュニティセンター1階の大広間に集まった子どもたち。事前学習ですでに、スギ、イチョウ、プラタナス、サクラ、モクレンなど上杉公園にある樹木の名前をつけた12グループにわかれていました。そして、それぞれのグループのメンバーは、子ども(小学生~高校生)、高齢者、障がい者、小動物、鳥、植物、親子、その他(外国人、昆虫、スポーツマン、大人)といった公園を利用する様々な立場の人や生き物で構成されていました。

 はじめに、仙台市青葉区公園課から、市内には1665の公園があり、上杉公園は昭和58年につくられたことや、公園には、レクリエーションの場、環境を良くする場、防災の場としての目的があることなど、仙台市の公園の概要・目的・取組みなどについての話がありました。

 上杉地区連合町内会副会長の池田文彦さんは、街なかの貴重なオープンスペースなので子どもからお年寄りまでいろいろな人が利用していること、地域と行政が連携して公園を守り維持する活動をしていること、今回の学習で子どもたちがいろいろなアイデアを出してくれることへの期待などについて話されました。

「デザインをするうえで大切なのは・・」と話す森山先生
 ランドスケープアーキテクトの森山雅幸先生(宮城大学名誉教授)からは、公園の役割と機能をエリアに分けて考えるなど、公園デザインでの大切な考え方について様々なアドバイスがありました。そして、南吉成小学校では子どもたちが地域住民や大学生と一緒に校庭に「学校の森」をつくったことや、東四郎丸公園では小学5年生がデザインしたタイルが使われたことを紹介しながら、「みんなのアイデアは現実にすることができるんだよ」と子どもたちを励ましました。
役割と機能の異なるエリアを線で囲んで表そう
「学校の森」に囲まれて遊ぶ南吉成小の子どもたち
東四郎丸公園に自分たちがデザインしたタイルを張る
お話の後はいよいよ公園の探検です。6月の「まちたんけん」から4ヵ月、青々としていた木々はすっかり色づき、公園のあちこちに落ち葉の山ができていました。探検に出かける前に確認した、「気に入ったもの(好きなもの、大事にしたいもの)」「気になるもの(ないほうが良いと思うもの、不思議に思うもの)」を探してスケッチすることと、「五感を使って」「いつもと違う目で」「なりきっている立場の目で」見ることを頭に入れながら公園内を観察しました。昆虫(セミ)になった子は、木がいっぱいあるから棲みやすいと満足そうです。お年寄りになった子は、大きな木の下にあるベンチを見て、夏は涼しくて良いが、高さが低すぎるのでもう少し高くしたいねとベンチをスケッチしていました。
いろいろな目で見てみよう
気に入ったものと気になるものをスケッチ

子どもたちは学校に戻ってから「気に入ったもの」「気になるもの」のスケッチを報告書にまとめることになっています。どんな報告書が出来上がるのか楽しみです。

<公園をデザインするときに大切にしたいこと~森山先生のお話から~>
●公園がある町・地域の自然的・社会的環境や景観を知る
●公園を利用する人達は、何をしたいのか、どんな時間を過ごしたいのか理解する
●どんな人たちが公園を利用するのかを考え、その人たちの視点や立場になって考える
●今ある公園は、どうすると、どうなると、何を直すと良くなるか公園を見て使って調べる
●公園は、誰もが楽しく遊んだり、軽い運動をしたり、緑・花・水を眺めたり、広い場所を活用できる場所なので、自分のためではなく利用者のことを考えながらデザインする
●公園の敷地内だけではなく、敷地外の環境―上杉、仙台、東北―も考える。
●公園にどんな植物があるのか調べ、良く育っている植物や、そうでない植物を見分ける。公園に適した植物か、そうでないものかを判断する
●自然がデザインのヒントとなるのでよく植物などを観察する
●木を植えるところ、自由に使えるところなど公園の役割と機能をエリア(空間)に分けて考える
●人や自転車など公園内の動きや、周辺の地域への影響と関連性を考える

2015年11月11日水曜日

<開催報告> 堤町まちかど博物館 干支人形絵付けワークショップ


20151017日(土) 
毎年恒例である、干支の堤人形の絵付けをつつみのおひなっこやさんを会場に開催しました。来年の干支は「さる」。大人7名、子ども2名が参加し、堤人形作家の佐藤吉夫師匠が手ほどきしてくれました。

まずは「さる」の胴体から塗り進めますが、同じ茶でも、濃い茶と薄い茶から好きな方を選びます。胴体から顔、帽子、その上に白や金で柄を書き足すなど、例年に増して塗る手順が多く感じました。会話のなかで吉夫師匠が「今日くらい晴れているからまだ顔料が早く乾いている。これが雨の日では乾くまでもっと時間がかかる。晴れている方が色も鮮やかに出る。」ということを話してくれ、参加者はなるほどーと納得。
筆を握り続けていた子が最後に「集中しすぎて疲れたー」とつぶやいているほど、細やかな作業に集中した1時間半となりました。


真剣になって筆を握ります

色々な表情のおさるさん


絵付けが終わった後、登り窯の前で、まちかど博物館が開設された経緯、東日本大震災で壊れてしまった登り窯の再生、窯内の様子などを写真でご紹介しました。参加された方のお一人が台原小学校出身で、小さい頃遊んでいた堤町には、窯や土管があちこちにあったという記憶を教えていただきました。

6連の登り窯を見学