2015年8月27日木曜日

ウォーミングアップ授業(視覚/空間デザイン編)~吉成小復興応援プロジェクト〜


2015714日(火)
総合学習「吉成復興応援プロジェクト」として6年1組と2組の児童64名が取り組む授業の3回目は、前回被災地を訪れた際に集めた「音」をモチーフとしたデザイン学習に取り組みました。
今回は、米国ニューメキシコ大学講師の酒井敦子さんをお招きし、視覚・概念・空間デザインの学習を行いました。はじめに、子ども達からこれまでの学習を酒井さんに報告し、しっかり勉強して復興を応援したいとの思いが伝えられ、その姿勢に力強さが感じられました。
4年ぶりの帰国となった酒井さんから、少し英語も交えて授業を進めること、手拍手の合図で酒井さんに注目するなどのルールが伝えられ、授業がスタートしました。
酒井さんが住むニューメキシコは、乾燥地帯で茶色の土と青い空のコントラストが美しく、雨雲がやってくるところを眺めることもできるそうです。TVモニターでニューメキシコの芸術家ジョージア・オキーフの作品や、泥でできた建築物(アドビと呼ばれる)などを紹介してもらい、国によるデザインの違いを学び、イメージを膨らませていきました。

◆1時間目~視覚デザイン~
絵の始まりは点で、点→線→面→立体と変化していくこと、形を組み合わせると1つの空間が出来ることや、まわりの自然環境や人工環境に共通して見つかる「直線」「うず」「らせん」「格子」「対称」などのデザインパターンを復習し、日本のデザインはその中でもさらに自然な「非対称」や「ランダム」なものが多いということを教えてもらいました。そのあと、拾ってきた「音のスケッチ」をモチーフにして「禅タングル」というデザイン画に取り組みました。カンディンスキーの美しい抽象画の紹介のあと、「拾ってきた音で、不思議な世界をつくる」ことを目標に、いよいよ禅タングルのデザインへ挑戦。描く際には、紙や面の種類や質感の表現を心がけることが大切で、手順は次のように進めます。①10㎝四方の白用紙の四隅(端から少し離して)にマーカーで点を描き、それらを線でつないで四角形に囲む②そのなかに拾ってきた音をイメージしてマーカーでいろいろな線を描く③描いた線画の上に鉛筆で太線や影を加える③タイトルを付ける。
10分で23枚描いて!」という酒井さんの指示に、子ども達は、膨らんだイメージを一気に表現し、どんどん手を動かし点や線を描いていきます。例えば、海の音→ザーザー→切ない、稲の音→サー→さわやか、工事の音→ゴゴゴゴゴ→苦労している感じ、のように、どんどん展開していきます。最後に20センチ四方の色紙に23枚の禅タングルを貼り付けて完成となりました。
 子どもたちは線の太さや種類を使い分けて線に変化をつけるということ、それから、面の質感や立体感をだすために面の処理をして陰影をつけるということを学びました。
拾ってきた音を禅タングルで表現
◆2時間目~コンセプトデザイン-概念~
この時間は、言葉を使ってどのように励ましたいかを考えました。風をどのように伝える?何を伝える?デザインには明確な目的と機能がありその点が芸術とは大きく違う、ことなどをお聞きしました。目的があるので、伝わらない、または達成できないことは、もしかしたら「デザインの失敗」と言えるかもしれない、とのお話に姿勢をピリッと正す子ども達。この学習のポイントは、全体的に見る(何がどうつながっているか)、根本的にみる、抽象的にみること。デザインは「違いを楽しむ」からおもしろく、ダイアグラムやブレーンストーミングなども、アイディアを生み出すときに有効とのお話がありました。その際は、連想ゲームのように思いついた順にだしていくことがポイントとなることを教えていただきました。
次に、各自が「拾ってきた音」をテーマにしてマインドマップを作成しました。作成の手順は、A4判用紙の中央部分に「風」や「波」などの「音」を記入したあとその周囲を、①概念的なイメージ(説明、アイディア、お話し)、②視覚的なもの(色、パターン、形、材料)、③感覚的な物(さわった感じ、空間を体で感じる、材質の感触)、④伝えたい思い(元気、うれしい、清潔感)という4つのカテゴリーに区切って、それぞれのカテゴリーごとにイメージされる言葉を書きだしてマップに表現していきました。最後はグループ内でマインドマップを見せ合い、共通しているキーワードは赤色、最も自分が表現したい(伝えたい)部分は青色のマーカーで囲み、共通点や違いを確かめました。色を用いた言葉の地図はとても分かりやすく、学習を振り返る際にも楽しく活用できそうです。
マインドマップの4つのカテゴリー


マインドマップで「音」のイメージが膨らむよ!
禅タングルとマインドマップ

◆3時間目~空間デザイン~
最後の時間は、空間におけるポジティブとネガティブとは何か、というテーマに取り組みました。たとえば教室でいえば、壁や床や天井などの空間を作っている形はポジティブで、それらの間にある空間はネガティブ。机や椅子もポジティブで机や椅子の間はネガティブ。空間をデザインするということはポジティブとネガティブの両方のバランスを考えること、ということを教えてもらいました。また、音楽でも、音(ポジティブ)と音の間(ネガティブ)の両方をデザインするので空間デザインと共通点があるという話がありました。
空間を創造するために、study model(学ぶための、見極めるための、考えるための)模型づくりにチャレンジしました。酒井さんから「うまくできるかなー?15分くらいでやってみて!」との問いかけに「できるかな?」「やってみたい!」など子ども達の思いは様々です。

 この学習のために酒井さんは、不思議な穴が開いている30センチ四方の色画用紙を用意してくれました。穴は、数も形も一枚一枚違っています。これは、酒井さんがカッターを使って一つ一つ手作りしてくださった窓紙で、この穴を覆うような建物を考えるのが学習テーマでした。建物と言っても壁を立てるイメージではなく、ジャングルジムのような隙間のある構造物をイメージして作ります。これは、光と陰と影を分かりやすく視覚化することを目指した手法です。建物は、白い用紙を切り、のりで貼って仕上げます。切り方や折り方による建物デザインの違いを楽しむことや高さを出すことも大事なポイントです。出来上がった作品を1つ見本にして、建物に光が当たるイメージのデモンストレーションが行われました。懐中電灯を下から照らすと建物が美しく浮かび上がり、上から照らすと、街路灯に映し出された夜の建物イメージが表現され、ほんのり明るい室内と不思議な建物の影が地面にくっきり現れました。感嘆やため息があちこちから聞かれ、光と影の空間デザインの奥深さを体感した瞬間でした。建物は時間の経過により見え方が違うことや光源の色によってもwarmcoolでは違いがあることなどを教わったところで時間切れとなり、各自の作品への光あては後日楽しむことになりました。
光を当てると建物が美しく浮かび上がりました
授業の終わりに子ども達から酒井さんへ吹奏楽とハミングのサプライズプレゼントがありました。酒井さんに贈られた曲は「ふるさと」。会場がほっこり優しい雰囲気に包まれました。

最後に担任の先生から「被災地の見学で拾ってきた物を使って楽器をつくってくる」という宿題が出されました。夏休み明けの継続学習では、酒井敦子さんの妹さんで作曲家の酒井知子さんをお招きして作曲活動に取り組む予定です。どんな楽器でどのようなメロディーが奏でられるのでしょうか。期待に胸を膨らませながら、授業が終了しました。
幾度も水分補給が必要となった暑さと熱気の中での授業でしたが、最後まで集中力を切らさず取り組んだ子ども達のがんばりに拍手を送ります。そして、終始子ども達のやる気を引き出して導いてくださった酒井さんにメンバー一同感謝いたします。


2015年8月26日水曜日

<仙台奥州街道沿い>堤町まちかど博物館 干支人形絵付けワークショップに集まれ~!


昔むかしの江戸時代からついこのごろまで、堤町ではみんなのくらしに使うほとんどの食器や道具がやきもので作られていて、とてもにぎやかでした。今はふつうのまちになってしまいましたが、1つだけ残されている堤町まちかど博物館の登り窯や堤焼を見ると、昔のくらしをしることができます。

この町で堤焼きはもうつくられていませんが、堤焼きがむずかしかった冬の間につくられた堤人形という土人形は、今でもつくり続けられています。
このワークショップでは、堤人形作家の手ほどきを受けながら、来年の干支「さる」の堤人形に絵付けをしていきます。



■日時:平成271017日(土)10時~11時半(集合:950分まで)
 ※雨が降っても行います

■場所: つつみのおひなっこや体験工房:仙台市青葉区堤町2-10-10

■指導:佐藤明彦さん(堤人形作家)
   
■参加費:1500


■準備するもの:汚れてもよい服装、タオル

■募集人数:小学生以上15名(下記に1010日まで先着順)

■申込受付:つつみのおひなっこや
     TELFAX 022-233-6409

■主催:建築と子供たちネットワーク仙台 
■協力:つつみのおひなっこや、佐大商店

    駐車場がありませんので公共交通機関をご利用ください。

2015年8月18日火曜日

上杉のまちを探検しよう!


2015623日(火)

上杉山通小学校5年生148名。今回の授業では、まちづくり学習の一環として、自分達の住んでいる上杉の環境を実際に探検して考えました。

探検の前に、5年生全員が体育館に集まり、探検のポイントをネットワーク仙台から説明しました。気に入ったもの5枚、気になるもの5枚をデジタルカメラに収めること、どこで何を撮ったかできるだけくわしく報告書に書いてくるようにということを伝えました。又、五感を使って探検すること、いつもと違った視点で見ることが重要という話もしました。
人数が多いためAコース(1組と4組)とBコース(2組と3組)に分かれて探検をしました。Aコースの経路は、学校→東北大学農学部→勝山公園→上杉公園→学校となり、Bコースは逆回りです。

報告書とデジタルカメラを持ち、暑さ対策として帽子をかぶり水筒を手にした子供達。
Bコースでは学校から上杉公園に向かう途中に、左手にかんぽ生命保険仙台サービスセンターがあります。約80年前の建物と説明すると、信じられないといった様子で驚いていました。北六番丁と愛宕上杉通の角には、四谷用水の上に架けられていたという上杉山橋の記念碑がありました。四谷用水は広瀬川の水を利用して城下を潤していた昔の用水路です。子どもたちはその一部が暗渠となってここを流れていることを知りました。
かんぽ生命保険仙台サービスセンター前を歩く。80歳で現役です!

いまブームの四ツ谷用水。地面の下を広瀬川の水が流れています。

上杉公園へ到着すると公園の中を調査する時間が設けられ、それぞれ興味のあるところを調査したりカメラに収めたりしました。上杉公園には多種多様な木があり、中央にプラタナスの大きな木が立っています。太い幹の回りを数名で手をつないで大きさを計っている様子も見られました。
街の中心地と思えないほど緑豊かで静かな公園
東北大学農学部の校内では、珍しい木や木の実を観察したり、大きな石碑の感触を確かめたりと楽しそうでした。又、正門にある守衛所は大正時代に建てられた木造平屋建の建物で子供達にも人気でした。
守衛所は旧制二高時代のものだそうです。そばの塀のレンガと一緒に移設されました。

天気予報で心配された雨にも降られずに無事探検が終わりました。

2015年8月17日月曜日

博物館の見学と焼物ワークショップ


201566日(土)
博物館の大きなカメにびっくり
震災で大破した堤町まちかど博物館の登り窯の修復にはたくさんの方々から協力が寄せられましたが、JIA東北支部宮城地域会の皆様のお力もそのひとつでした。この日、宮城地域会の保存再生研究部会・建築と子ども教育部会の主催により、博物館の見学と焼物づくりのワークショップが行われ、建築と子供たちネットワーク仙台・佐大商店・つつみのおひなやっこやが協力しました。おひなやっこやの堤人形体験工房には小学生4名と大人11名が集まりました。

はじめに堤町まちかど博物館を紹介してもらい、初代館長の佐藤達夫さん、建築と子供たちネットワーク仙台やたくさんの人たちの力で作られたことを聞きました。
そして、昭和50年代までは火が入っていた現在96歳の登り窯のお話やエピソードなど、佐藤吉夫さんからこぼれ話を伺ったあと、ネットワーク仙台から登り窯修復の取組を聞きました。

その後、震災を生き延びた昔からの大瓶や壷などが飾られている展示室をみんなで見学しましたが、窓から見える大きな道路がここを飲み込んで伸びてくる計画があったことを聞いて、小学生の女の子は「あの道路がここまで伸びていたら、ここはなくなっていたんだね」と感想を話してくれました。
体験工房で焼き物づくり

最後は堤人形体験工房で、粘土と格闘しながら、思い思いの作品を作って楽しみました。

後日釉薬をかけて焼かれた作品。どれもユニークで味わい深い焼物になっていました。
ユニークな作品ばかりです