2019年6月26日水曜日

台原小学校3年生総合学習「台原の達人になろう〜土鈴づくり窯出しワークショップ〜」

79日(火)
 きょうは堤町まちかど博物館の体験窯で焼いてもらった土鈴を窯から出す日です。佐藤吉夫、明彦両師匠にお世話になりました。
 曇り空の肌寒い中、子どもたちが水筒と生活科バッグを持って堤町まちかど博物館にやってきました。
 はじめにネットワーク仙台より、博物館前の通りは奥州街道といって江戸日本橋から青森三厩まで続く大きな道だったことや、堤町では江戸の昔からここに住んでいた足軽たちが焼物を作っていたこと、2011年の大震災で登り窯の半分が壊れたけれどたくさんの人の力で直したことなど話しました。
震災で壊れた登り窯をみんなで直した話などを聞く
その後、3クラスに分かれ、登り窯、2階展示室、堤人形工房「つつみのおひなっこや」を順番にまわりました。
登り窯では、窯にどのような力が働いてトンネルのような形を保っているのか、体を使って確かめました。二人一組になってアーチをつくり、お互いの手で支え合っていることや足で踏ん張っていることを体で感じてみました。また、窯は坂を利用して造られていて、坂の下にある焚口に火を入れると、窯の中にある穴を伝って上のほうに火がのぼっていく仕組みになっていること、窯の壁に使われているレンガのうち古いものは、焼物の釉薬が飛び散り溶けて表面がツルツルになっていることを聞いたあと、窯のなかに入り探検。火が通る穴や古いレンガを見つけては歓声をあげていました。
窯に働く力を感じてみよう
「火が通る穴を見つけたよ!」
 2階の堤焼展示室では、大きい水ガメの前で何に使われたかを聞くと、「米や味噌を入れるもの」や「風呂」との返事。昔は水道がなかったので、井戸から水を汲んで溜めておき、料理や洗い物に使ったものであることを話すと、「今は便利でよかった」とほっとしたような顔をしていました。
 ここにあるカメなどの堤焼は、堤町だけではなく、台原小学校で採れた粘土も使って作られていたことを話すと、自分たちの学校と堤焼に関係があったことをはじめて知った子どもたちは、「えーっ」と驚いていました。
水道がなかったころに使われていた水ガメの前で
 堤人形の展示室では、たくさんの人形がぐるりと囲んでいるようすを見て、「わー、すごい」「こわーい」などと声があがりました。それらの人形のなかに、「谷風」の人形が飾ってあるのを見つけました。この人形は仙台出身で江戸時代の名横綱であることや、250年前に作られたものであることをはじめて教えてもらった子どもたち。じっと顔を覗き込んでいました。
子どもたちは、谷風の後ろの壁にある黒い手形を発見。この部屋を使っていた職人さんたちがイタズラでつけたものであることを聞いてくすっと笑っていました。

谷風の人形と手形に見入る
おひなっこやでは佐藤吉夫師匠がお話をしてくれました。
堤人形は、堤町で作るので堤人形といわれるようになったこと、はじめは、お稲荷さんや恵比寿さんなどの宗教的なものや金太郎、天神様(菅原道真公)などを作っていたこと、お店にあるのは今150種類、人形の型は1759点もあるということなどを聞きました。
 子どもたちは、持ち帰った土鈴を学校で絵付けすることになっています。そのことを聞いた師匠は、絵の具を少し濃く溶いて塗るようにアドバイスしていました。
 
堤人形の歴史や特徴についてのお話を聞く
最後は窯出しです。一つひとつ両手で大切に受け取りました。ユニークな形のものもたくさんありましたが、ほとんど割れずみんなで胸をなでおろしました。
焼き上がった土鈴を大切そうに受け取る

堤焼の歴史をたくさん学んだ子どもたち。最後に大きな声で、「ありがとうございました!!」と言って、学校に戻っていきました。

2019年6月25日火曜日

台原小学校3年生総合学習「台原の達人になろう!~土鈴づくりワークショップ~」

2019618日(火)

毎年恒例となっている台原小学校3年生の土鈴づくりワークショップを、日本建築家協会東北支部宮城地域会と連携してお手伝いしました。
今年の3年生は99名、指導は堤人形作家の佐藤吉夫師匠と佐藤明彦師匠です。ネットワーク仙台から台原の地域と堤焼や堤人形について話したあと、明彦師匠から土鈴の作り方の説明を受けました。
「半分に切った新聞紙で土の玉を包んできっちりと握ったものを作ること。粘土を手のひらで3回叩いてからひっくり返して3回叩く、を繰り返し厚さ8mm程度に平らにした粘土の中に、先に作った新聞玉を包んで、上の方をつまんで形をつくり、ヒモを通す穴を開け、底辺に細長く四角く切り込みをあけます。」
体育館を使ってグループごとに活動する
3回たたいてひっくり返し、3回たたいてひっくり返し、を繰り返して粘土を伸ばす
のばした粘土で新聞玉を包む
イメージ画を見ながら模様を描く
今年の3年生は、ダルマ、動物の顔、野球ボールなど、自分なりの土鈴の絵を描いてきていて、何を作るのかのイメージがはっきりしていたこともあり、作業は速かったです。
明彦師匠の手仕事も学べました。始めの説明が聞き取れなかったらしく “まん丸泥団子”になってしまい途方に暮れていた数人の子どもたちには、師匠が手に持って全体をコロコロ転がしつつ握って、紐を通すための突起を作ってくれました。師匠は触った感触で粘土の厚みがわかるのでした。「すごい。やっぱり師匠だ!!」子どもたちは感嘆の声をあげていました。
長い時間コロコロ転がし続けてひび割れしてしまった子、粘土の厚みが均等にならず新聞紙が見えてしまった子も少々いましたが、諦めず最後までちゃんと作りたかった絵に基づいて形を整え、模様を描いて完成させていました。
各自名前を書いてから、師匠のところへ持っていって、最終チェックを受けて完成しました。
みんなの土鈴は2週間ほど乾燥させて、堤町まちかど博物館の窯で焼いてもらいます。
子どもたちの感想は、
「目を作るのが難しいが楽しかった。」
「作ったことがないから楽しかった。」「始める前はかんたんだと思ったが難しかったけど楽しかった。」
「始めは難しかったがいろんな人に教えてもらって楽しかった。」等々。
次回79日、堤町まちかど博物館での窯出しを約束して活動を終了しました。
明彦師匠(手前)と吉夫師匠(奥)のチェックを受ける
完成した作品

2019年5月27日月曜日

2019建築と子供たちコラボレーション in 仙台:国際交流プロジェクト with 南フロリダ大学オーナーズカレッジ 2019 Architecture and Children Collaboration in Sendai: International Exchange Project with USF Honors College①

2019514日(火)~516日(木)
南フロリダ大学(USF)オーナーズカレッジの大学生20名と、同カレッジ講師の酒井敦子さんとアーニー・メヒアスさんが台原小学校を訪問し、5年生100名とデザインワークショップで交流しました。
また、抹茶の点前・堤人形の土鈴絵付けや、堤町まちかど博物館の見学などの活動を通して、仙台の人たちとの心温まる触れあいを楽しみました。


<ウエルカムティーセレモニー/514日(火)>
USFオーナーズカレッジ一行が午後仙台に到着。宿泊先の道中庵ユースホステルをお借りしてお茶会を催しました。
お点前の指導は、煎茶道の教授でもある、ネットワーク仙台の渋谷セツコさんによって行われ、抹茶と干菓子でおもてなしをしました。
21組になり、交互に抹茶をたてました。抹茶を茶杓で2さじすくい、お湯を入れ、左手で茶碗を抑え、右手に茶筅を持ち手首を使って前後に細かい泡が立つまで動かします。最後に茶筅で「の」の字を書いて泡を切ります。ひらがなの「の」を紙に書いて説明したところ、学生たちは面白がって聞いていました。抹茶の泡立てもうまくいったようです。お茶を頂いたあとのご挨拶「結構なお服加減でございます。」は、うまく言うのは難しいため、何度か挑戦していました。
 短い時間でしたが、日本の文化に触れて楽しんでもらえたようです。
まずはお手本

抹茶を泡立てます
おいしそうにできました




2019年5月26日日曜日

2019建築と子供たちコラボレーション in 仙台:国際交流プロジェクト with 南フロリダ大学オーナーズカレッジ 2019 Architecture and Children Collaboration in Sendai: International Exchange Project with USF Honors College②


台原小学校5年生総合学習「国際宇宙ステーションをデザインしよう」516日(木)>
台原小学校5年生とUSF大学生は、201811月と20192月にスカイプでゲームをするなどして交流してきましたが、今回初めて直接顔を合わせて、一緒にデザイン活動をすることになりました。
会場の丘の子広場には、5年生100名、大学生20名、講師の酒井さんとアーニーさん、佐藤由美校長先生はじめ台原小の先生方、ネットワーク仙台・JIA(日本建築家協会)東北支部宮城地域会・建築と子供たちデザインLABO関西のメンバー計11名が集まりました。
935分から活動開始。はじめに、酒井さんから、フロリダはどんなところなのかについて説明がありました。「フロリダにはビーチがたくさんあって海水浴で賑わっています。フロリダのビーチに行ってみたいですか」との質問に、多くの子どもたちが手を挙げました。「フロリダはアメリカの南にあって、日本からとても遠いです。実家のあるカナダから15時間かけてきた人もいます」「フロリダには鳥などたくさんの動物がいて、私の家の庭にもワニが出てきます」という話を聞いて、遠く離れたフロリダに想いを馳せていました。
大学は、フロリダの西海岸にあるタンパという街にあり、その広大なキャンパスは、水辺や緑に恵まれた豊かな環境であることも知りました。 
タンパから車で2時間ほど東に行ったところにあるNASAのケネディ宇宙センターには、これまでの数々のロケットや着陸船を見学することができる展示施設があり、ロケットの打ち上げも見られるそうです。また、宇宙に関する国際的な研究が行われていて、そのひとつにいろいろな国の人たちが協力して建設と運用をしている国際宇宙ステーション(ISS)があるそうです。スクリーンには、鳥が羽を広げたように宇宙に浮かぶISSの姿とISSから見た青い地球の写真が映し出されました。
ISSについて説明する酒井さん
宇宙を身近に感じたところで、出された課題は“見たこともないようなISSをデザインしてみよう”。酒井さんからは、「ISSには何が必要か、それらをどうやってつなぐのかをグループのみんなで考えてください」との話がありました。そして、ISSに必要な機能として、次の3つを挙げました。
①研究Research Area : study room, research lab
②住居 Living Area : dining room, living room, bedroom, gym & health
③集合 Gathering Area : group meeting, large meeting
「ISSには3つの機能が必要です」
使う材料は、大小のマシュマロ、爪楊枝、スパゲッティ、アルミホイル。これらを使って以下のように作業を進めていくことを約束しました。
  小さなマシュマロと爪楊枝で、各自、立体(部屋)パーツを作る
構造を考えて作る。三角形は強い形になるが、ひとつだけでは平面になってしまうので三角形をつないで立体を作る
  スパゲッティと大きなマシュマロを使ってみんなのパーツをつなぐ
   場所と機能を決める
  宇宙ステーションにはエネルギーが必要なので、アルミホイルを使って
ソーラーパネルを設置する

さっそく、子どもたち5名と学生1名が1グループになって、全部で20グループを構成し、各グループ活動開始。三角形を上手に組み合わせて立体にしている子もいましたが、なかには平面では三角形ができても、立体にしようとすると上のほうが四角形になり、倒れてしまい困っている子も。斜材で補強しようとすると、楊枝の長さが足りず、スパゲッティを折って筋交いのように使うアイデアをスタッフからもらって、自立させることができました。
学生たちも、子どもたちのサポート役を担いました。構造的な問題を一緒に考えるだけではなく、「COMMON ROOM 共同部屋」「OBSERVATORY 天文台」など必要な部屋名を英語と日本語で書き出したポストイットカードを持参。子どもたちにカードを見せながら声掛けしていました。なかには、部屋名ではなく「EAT食べる」といった行為を書いてきた学生もいました。また、「PASS ME THIS/THAT これ/それをわたしてください」「DON’T DO THAT それはやめよう」といった子どもたちに指示する言葉をたくさん考えてきていました。おもしろかったのは、子どもがマシュマロを食べてしまうことを想定したのか、「マシュマロを食べないでください」。各パーツが出来上がると、大きいサイズのマシュマロとスパゲッティを使って合体しました。
ポストイットカードには、部屋名、材料、指示、その他の項目ごとに、
子どもとのコミュニケーションに必要な言葉が書き出されている
三角形を組み合わせて立体を作る
大きいマシュマロとスパゲッティでつないで合体
ソーラーパネルを取り付けよう 
最後に、各グループがそれぞれの宇宙ステーションのテーマと特徴を発表しました。
「“マシュマロスペースハウス”:ダブルスペースパネルと船のような帆がついて動くことができる」
「“ワンダフルにこにこステーション”:遊び場がいっぱいあって、ソーラーパネルでエネルギーを送っている。ブランコと宇宙へ行く動物の居場所もある」
「“台原ワールド”:日本とアメリカの旗がある。一番上にジムがあり、大きなリビングもある」
「“南フロリダ日本ステーション”:コントロールセンターに旗があって星が描いてある。星の形のカフェテリアや、日本の人工衛星つばめから送られたカプセルもある」
等々、子どもたちと学生のコラボレーションによるアイデアいっぱいの宇宙ステーションが披露されました。
テーマと特徴を発表
マシュマロスペースハウス
子どもたちの感想:
「スパゲティと爪楊枝を使ってマシュマロをつなげるのが難しかった」
「マシュマロがもったいなかったけど、良い作品がたくさんできてよかった」
「マシュマロを倒れないようにするのが難しかったけど、南フロリダの学生と交流できてよかった」
「爪楊枝でマシュマロをくっつけるのが難しかったけど宇宙ステーションは楽しくて、大学生がアイデアをくれた。南フロリダの学生のみなさんありがとう!!」

 1150分からは、すずめ踊りです。
はじめに子どもたちが演技して学生たちに踊り方を見てもらったあと、ワークショップのグループごとに集まり、学生たちも入って一緒に踊りました。学生たちは、最初は戸惑ったようすでしたが、すぐに慣れて、「ソレ、ソレ」の掛け声に合わせて、手作りの扇子をひらひらと振りながら踊っていました。
みんなで楽しくすずめ踊り

 1220分からは、お待ちかねの給食タイムです。丘の子広場にテーブルを並べて8つの島をつくり、そこに学生とスタッフ合わせて33名と、子どもたちの代表30名が分散して座りました。
メニューは、ごはん、牛乳、豚肉オイスターソース炒め、春巻き、ワカメスープ。食べながら片言の日本語と英語でコミュニケーション。前日の15日は、るーぷる仙台に乗って自由行動、仙台城や大崎八幡宮などを訪ねてきたそうです。なかには作並温泉まで行ってきたという学生もいました。

<ワークショップ「七夕土鈴に絵付けしよう」/516日(木)>
給食終了後、学生たちは図工室に移動して七夕飾りの土鈴に絵付けをするワークショップに挑戦しました。指導は、堤人形作家の佐藤吉夫師匠です。白く塗られた土鈴に、吹き流しは赤、青、黄の3色、竹は緑、吹き流しの上に白や黄で模様を描いていくと、吹き流しが揺れる七夕飾りが浮かびあがり、みなさん笑顔になりました。絵付けが終わると、堤町からいただいてきた笹竹に、願い事を書いた短冊を吊るして実際に七夕飾りを体験。短冊には、ドクターになりたいなど自分の将来の希望や、家族の健康や、台原小のみんなの幸せなど、思い思いの願いを書いていました。
吉夫師匠から絵付けの手ほどきを受ける

願い事を書いた短冊を飾る
3時過ぎ、台原小でのすべての活動を終えた学生たち。玄関前に見送りに集まってきた5年生とハイタッチをして別れました。

<堤町まちかど博物館見学/516日(木)>
学校から15分ほど歩いて堤町まちかど博物館へ。登り窯の前では、震災で壊れた窯の復興のために、アン・テーラー博士や酒井さんなどアメリカの建築と子供たちの方々からたくさん寄付をいただいたことが記された復興記念板をじっと見つめていました。また、堤焼の大きなカメが並ぶ展示室では、買えるのかどうかという質問があり、今では作られていないので買えないと答えると残念そうに首を振っていました。
見学を終えると、登り窯の持ち主である佐藤家に招かれました。手入れが行き届いた庭には、山野草や木々が植えられ、山に見立てた石や池もあり、心が落ち着く異空間になっています。学生たちは、植物などを熱心に写真におさめていました。
そして、促されるように家の中へ。二間続きの和室に座って、佐藤さんからお茶とお菓子をご馳走になりました。お世話役には、さきほどまで一緒に活動していた5年生のお孫さんも加わり、和気あいあいの雰囲気に。アメリカから到着したばかりの日本で、くつろいだ時間を過ごすことができたようです。
登り窯の復興記念板に見入る
佐藤家でおもてなしを受ける


USF一行は、佐藤家の皆さん、吉夫師匠、私たちスタッフに、「ドウモアリガトウゴザイマシタ!」と元気よく挨拶して、堤町をあとにしていきました。

登り窯の前で記念撮影