<台原小学校5年生総合学習「国際宇宙ステーションをデザインしよう」5月16日(木)>
台原小学校5年生とUSF大学生は、2018年11月と2019年2月にスカイプでゲームをするなどして交流してきましたが、今回初めて直接顔を合わせて、一緒にデザイン活動をすることになりました。
会場の丘の子広場には、5年生100名、大学生20名、講師の酒井さんとアーニーさん、佐藤由美校長先生はじめ台原小の先生方、ネットワーク仙台・JIA(日本建築家協会)東北支部宮城地域会・建築と子供たちデザインLABO関西のメンバー計11名が集まりました。
9時35分から活動開始。はじめに、酒井さんから、フロリダはどんなところなのかについて説明がありました。「フロリダにはビーチがたくさんあって海水浴で賑わっています。フロリダのビーチに行ってみたいですか」との質問に、多くの子どもたちが手を挙げました。「フロリダはアメリカの南にあって、日本からとても遠いです。実家のあるカナダから15時間かけてきた人もいます」「フロリダには鳥などたくさんの動物がいて、私の家の庭にもワニが出てきます」という話を聞いて、遠く離れたフロリダに想いを馳せていました。
大学は、フロリダの西海岸にあるタンパという街にあり、その広大なキャンパスは、水辺や緑に恵まれた豊かな環境であることも知りました。
タンパから車で2時間ほど東に行ったところにあるNASAのケネディ宇宙センターには、これまでの数々のロケットや着陸船を見学することができる展示施設があり、ロケットの打ち上げも見られるそうです。また、宇宙に関する国際的な研究が行われていて、そのひとつにいろいろな国の人たちが協力して建設と運用をしている国際宇宙ステーション(ISS)があるそうです。スクリーンには、鳥が羽を広げたように宇宙に浮かぶISSの姿とISSから見た青い地球の写真が映し出されました。
ISSについて説明する酒井さん |
宇宙を身近に感じたところで、出された課題は“見たこともないようなISSをデザインしてみよう”。酒井さんからは、「ISSには何が必要か、それらをどうやってつなぐのかをグループのみんなで考えてください」との話がありました。そして、ISSに必要な機能として、次の3つを挙げました。
①研究Research Area : study
room, research lab
②住居
Living Area : dining room, living room, bedroom, gym &
health
③集合
Gathering Area : group meeting, large meeting
「ISSには3つの機能が必要です」 |
使う材料は、大小のマシュマロ、爪楊枝、スパゲッティ、アルミホイル。これらを使って以下のように作業を進めていくことを約束しました。
① 小さなマシュマロと爪楊枝で、各自、立体(部屋)パーツを作る
構造を考えて作る。三角形は強い形になるが、ひとつだけでは平面になってしまうので三角形をつないで立体を作る
② スパゲッティと大きなマシュマロを使ってみんなのパーツをつなぐ
③ 場所と機能を決める
④ 宇宙ステーションにはエネルギーが必要なので、アルミホイルを使って
ソーラーパネルを設置する
さっそく、子どもたち5名と学生1名が1グループになって、全部で20グループを構成し、各グループ活動開始。三角形を上手に組み合わせて立体にしている子もいましたが、なかには平面では三角形ができても、立体にしようとすると上のほうが四角形になり、倒れてしまい困っている子も。斜材で補強しようとすると、楊枝の長さが足りず、スパゲッティを折って筋交いのように使うアイデアをスタッフからもらって、自立させることができました。
学生たちも、子どもたちのサポート役を担いました。構造的な問題を一緒に考えるだけではなく、「COMMON ROOM 共同部屋」「OBSERVATORY 天文台」など必要な部屋名を英語と日本語で書き出したポストイットカードを持参。子どもたちにカードを見せながら声掛けしていました。なかには、部屋名ではなく「EAT食べる」といった行為を書いてきた学生もいました。また、「PASS ME
THIS/THAT これ/それをわたしてください」「DON’T DO THAT それはやめよう」といった子どもたちに指示する言葉をたくさん考えてきていました。おもしろかったのは、子どもがマシュマロを食べてしまうことを想定したのか、「マシュマロを食べないでください」。各パーツが出来上がると、大きいサイズのマシュマロとスパゲッティを使って合体しました。
ポストイットカードには、部屋名、材料、指示、その他の項目ごとに、 子どもとのコミュニケーションに必要な言葉が書き出されている |
三角形を組み合わせて立体を作る |
大きいマシュマロとスパゲッティでつないで合体 |
ソーラーパネルを取り付けよう |
最後に、各グループがそれぞれの宇宙ステーションのテーマと特徴を発表しました。
「“マシュマロスペースハウス”:ダブルスペースパネルと船のような帆がついて動くことができる」
「“ワンダフルにこにこステーション”:遊び場がいっぱいあって、ソーラーパネルでエネルギーを送っている。ブランコと宇宙へ行く動物の居場所もある」
「“台原ワールド”:日本とアメリカの旗がある。一番上にジムがあり、大きなリビングもある」
「“南フロリダ日本ステーション”:コントロールセンターに旗があって星が描いてある。星の形のカフェテリアや、日本の人工衛星つばめから送られたカプセルもある」
等々、子どもたちと学生のコラボレーションによるアイデアいっぱいの宇宙ステーションが披露されました。
テーマと特徴を発表 |
マシュマロスペースハウス |
子どもたちの感想:
「スパゲティと爪楊枝を使ってマシュマロをつなげるのが難しかった」
「マシュマロがもったいなかったけど、良い作品がたくさんできてよかった」
「マシュマロを倒れないようにするのが難しかったけど、南フロリダの学生と交流できてよかった」
「爪楊枝でマシュマロをくっつけるのが難しかったけど宇宙ステーションは楽しくて、大学生がアイデアをくれた。南フロリダの学生のみなさんありがとう!!」
11時50分からは、すずめ踊りです。
はじめに子どもたちが演技して学生たちに踊り方を見てもらったあと、ワークショップのグループごとに集まり、学生たちも入って一緒に踊りました。学生たちは、最初は戸惑ったようすでしたが、すぐに慣れて、「ソレ、ソレ」の掛け声に合わせて、手作りの扇子をひらひらと振りながら踊っていました。
みんなで楽しくすずめ踊り |
12時20分からは、お待ちかねの給食タイムです。丘の子広場にテーブルを並べて8つの島をつくり、そこに学生とスタッフ合わせて33名と、子どもたちの代表30名が分散して座りました。
メニューは、ごはん、牛乳、豚肉オイスターソース炒め、春巻き、ワカメスープ。食べながら片言の日本語と英語でコミュニケーション。前日の15日は、るーぷる仙台に乗って自由行動、仙台城や大崎八幡宮などを訪ねてきたそうです。なかには作並温泉まで行ってきたという学生もいました。
<ワークショップ「七夕土鈴に絵付けしよう」/5月16日(木)>
給食終了後、学生たちは図工室に移動して七夕飾りの土鈴に絵付けをするワークショップに挑戦しました。指導は、堤人形作家の佐藤吉夫師匠です。白く塗られた土鈴に、吹き流しは赤、青、黄の3色、竹は緑、吹き流しの上に白や黄で模様を描いていくと、吹き流しが揺れる七夕飾りが浮かびあがり、みなさん笑顔になりました。絵付けが終わると、堤町からいただいてきた笹竹に、願い事を書いた短冊を吊るして実際に七夕飾りを体験。短冊には、ドクターになりたいなど自分の将来の希望や、家族の健康や、台原小のみんなの幸せなど、思い思いの願いを書いていました。
吉夫師匠から絵付けの手ほどきを受ける |
願い事を書いた短冊を飾る |
3時過ぎ、台原小でのすべての活動を終えた学生たち。玄関前に見送りに集まってきた5年生とハイタッチをして別れました。
<堤町まちかど博物館見学/5月16日(木)>
学校から15分ほど歩いて堤町まちかど博物館へ。登り窯の前では、震災で壊れた窯の復興のために、アン・テーラー博士や酒井さんなどアメリカの建築と子供たちの方々からたくさん寄付をいただいたことが記された復興記念板をじっと見つめていました。また、堤焼の大きなカメが並ぶ展示室では、買えるのかどうかという質問があり、今では作られていないので買えないと答えると残念そうに首を振っていました。
見学を終えると、登り窯の持ち主である佐藤家に招かれました。手入れが行き届いた庭には、山野草や木々が植えられ、山に見立てた石や池もあり、心が落ち着く異空間になっています。学生たちは、植物などを熱心に写真におさめていました。
そして、促されるように家の中へ。二間続きの和室に座って、佐藤さんからお茶とお菓子をご馳走になりました。お世話役には、さきほどまで一緒に活動していた5年生のお孫さんも加わり、和気あいあいの雰囲気に。アメリカから到着したばかりの日本で、くつろいだ時間を過ごすことができたようです。
登り窯の復興記念板に見入る |
USF一行は、佐藤家の皆さん、吉夫師匠、私たちスタッフに、「ドウモアリガトウゴザイマシタ!」と元気よく挨拶して、堤町をあとにしていきました。
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