2014年7月24日木曜日

〈デザインで励ますために〉


201471日(火)9401130


吉成小学校6年生2クラス63人の授業。最初の1時限は、デザインとは何か、デザインで被災地の人を励ますためにこれまでどんなことを行ってきたか又これからどんなことを考えていったらよいかの話をしました。過去の事例として2011年度に吉成小学校で図書箱を作成し本と一緒に東六郷小学校に贈った話をしました。図書箱は広げればいつでもどこでも本を選べる空間ができるようになっています。又、図書箱のデザインは東六郷小学校で行われていた「くろしお太鼓」の音から子どもたちがデザインしました。贈られた方だけでなく贈った方も嬉しい気持ちなったこと、デザインは、形、色だけでなくどういう形で贈るかというのが重要という話をしました。又、贈り方の例としてアルバカーキのカレンダープロジェクトを紹介しカレンダーにみんなのデザインを入れて贈れば一年中飾って見てもらえる、どういう形で贈るのがいいかみんなにも考えてほしいという話をしました。



風船の大レース
次の1時限は視覚言語の練習。7月3日に実際に被災地を訪問し、被災地で気に入った音、気になる音をさがしてスケッチします。現地へ行く前に視覚言語を使ったスケッチの練習を行うというものです。A4の紙4枚にそれぞれ①~④のスケッチをマーカーで行いました。①シャボン玉の一生②風船の大レース③クラップ・クラップ(手拍子使った音のスケッチ)④ウィンドチャイムの音のスケッチ





  •  ① シャボン玉を飛ばし、シャボン玉ができてからなくなるまでの軌跡を追い線や矢印を使って描きます。
  •  ② 3つの風船を膨らました後、3つ同時に手から放しそれぞれの風船の動きを追います。①よりも動きが早く、見失いやすいので難しいですが、記憶も頼りにしながら描きます。
  •  ③: 手拍子を聞いてリズムの変化や音の強弱を線や矢印などを使って描きます。
  •  ④: ウィンドチャイムという楽器を使い、音色や音の流れなどを線や矢印を使って描きます。

→④に進むにつれて描き方にも独自性が見えてきたようでした。

<子どもたちの感想の一部>
「デザインするだけでなく贈り方が大事だということがわかった。」「目に見えないものをデザインするのは難しかったけど楽しかった。」


風船の動きを見てスケッチ

2014年7月23日水曜日

〈被災地を知ろう〉

2014年7月3日(水)8:40〜15:20

視覚言語のスケッチを練習した子どもたちは、さっそく被災した仙台市の沿岸地域にある東六郷小学校、萱場さんの畑、被災した方々が住む仮設住宅に、気になる音、気に入った音は見つけに出かけました。
 クラス別にバスに乗り東六郷小学校、仮設住宅(1組はニッペリア仮設住宅、2組は「みんなの家」もある福田町南1丁目公園仮設住宅)、農業園芸センター(昼食)、萱場さんの畑を訪れます。
 実は東日本大震災が起こったそのとき、1組担任の千葉先生は東六郷小学校、2組担任の阿部先生は岡田小学校という沿岸部の小学校に勤めていました。1階天井まで津波が押し寄せ、現在は使われていない東六郷小学校の校舎を前に、千葉先生は被災当時の話、今回久しぶりに校舎に来て感じたことを話してくれました。そしてツバメの声が青空の下響くなか、「ツバメは元のとおりまた校舎に来てくれたんだなあと今感じます」と子どもたちに伝えてくれました。

東六郷小学校での出来事を千葉先生から聞きました
東六郷小学校の前の水路で音のスケッチ

 先生方から当時の話を聞いた後は東六郷小学校前の田んぼや水路で音のハンティング。その次に訪れた仮設住宅では住民の方から震災当時の話を聞き、また子どもたちが交流会を催しました。この日のために子どもたちは一緒に行うゲームや披露する歌、ダンスを練習してきましたので、一緒に体を動かしながら笑い、交流しました。終わった後は忘れないうちに、そのときの音もメモしていきます。
 農業園芸センターでお昼を食べた後は、被災した荒浜地区の畑で伝統野菜を栽培している萱場哲男さんの畑を訪れました。代表の子どもの挨拶のなかで「五感を使って学びたいです」という言葉があったからか、萱場さんはハウスで育てているミニトマトを収穫して食べても良いよと言ってくれ、子どもたちは大喜び。黄色、赤のあざやかなミニトマトは「あいこ」という品種なんだよ。同じ野菜でもその料理によってぴったりな品種があるから、スーパーで買い物するとき気をつけて見てみてねと教えてもらいました。
 萱場さんに育てている野菜のこと、畑を再開したときの想いなどを質問しながら、五感をフル活用して子どもたちは一生懸命気になる音、気になった音を見つけ、メモしていました。
トマトを収穫し、美味しくいただきました!
復活した萱場さんの畑の前で、お話を聞きます
 

○子どもたちが見つけた音
<気に入った音>
•「ツバメたちのがんばりの音」人間も動物も震災を乗り越えるために 
 頑張っている
•「風と稲のハーモニー」田んぼの稲が風で吹かれた時のさらさらとい
 う音が気に入った
•「みんなで笑っているときの音」
•「トマトの音」口の中でトマトの汁がはれつした音と、トマトのパリ
 ッとした音

<気になる音>
•「素敵な拍手」ダンスをおどりおわった時の拍手
•「葉と葉が重なる音」仮設住宅の気の葉が重なる音
•「トマトの収穫」トマトの収穫の時に、ブチッととった時の音

2014年7月21日月曜日

〈紋をデザインする〉


 2014715日(火)9001215

被災地で気になる音、気に入った音をスケッチしてきた子どもたち。今度はそれをデザインにしていく作業です。1時限~4時限の授業で行いました。
はじめにこれから紋をデザインする上で知っておくべきこととして、「うず」や「対称」など9種類のパターンを自然界でみられるパターンの写真を見せながら紹介しました。
パターンの種類を紹介


黒い紙を使って音をデザインしました

パターンの種類を学習したところで練習を兼ねて画用紙の上に5cm角の黒い紙を置き「気に入った音のスケッチ」+「好きなパターン」の組合せでデザインすることを行いました。注意事項として黒い紙は折ったり切ったりして立体的に使ってほしいこと、切る場合は切り離さないで使うこと、どうしても切り離す場合はすべて使うことを説明しました。初めて行う作業でありながら写真のように素晴らしい作品が数多くみられました。





クレヨンを使って音をデザインしました
次に「気に入った音のスケッチ」+「好きなパターン」の組み合わせは同じですが今度は黒い紙ではなくクレヨンを使って表現します。好きな色を使って画用紙に下書きなしで描いていきます。それぞれのカラフルな絵が出来上がったところで用意された窓紙を絵の中の気に入った部分にあてました。








窓紙は気に入った部分に!
この後、窓紙の中の絵をみながら別な紙にマーカーを使って紋のデザインを描いていく作業がありますが、時間の都合上やり方の説明のみ行い、新たに授業時間を取って頂き紋を完成させることとなりました。
子どもたちの中には、まるで遊んでいるかのように楽しくデザインを学べたという感想もあり、楽しく授業を行えたようです。4時限の長時間の授業でたくさんの行程がありましたが、子どもたちの集中力と飲み込みの早さは素晴らしかったです。





2014年7月1日火曜日

シンポジウム「子ども教育支援のプラットホームを考えるー子どものための建築・まちづくり教育のこれからー」参加報告


2014610日(水)

建築会館ホール(東京都港区)にて標記のシンポジウムが開催されました。このシンポジウムは、子どもの住まい・まちづくり教育に関わる、教師・教育関係者、公的機関、NPO、個人の活動を支援することを通して、住まい・まちづくりに対する社会的認識を育み、建築と都市の環境向上に寄与することを目的に、日本建築学会が設立した子ども教育支援建築会議の1周年記念事業として実施され、ネットワーク仙台も事例報告に参加しました。
基調講演では、田口純子氏(東京大学大学院)による、フィンランドのヘルシンキにある建築スクール“アルッキ”の20年にわたる教育活動の紹介がありました。その後、「行政による子どもの住意識向上のための取り組み」(馬場麻衣/北海道立総合研究機構)、「“建築たんけんガイドブック”を使った震災復興学習の取組み」(渋谷セツコ/ネットワーク仙台)、「JIAゴールデンキューブ賞20132014」(鈴木賢一/日本建築家協会東海支部・名古屋市立大学)、「なにわ出前塾・未来を担う世代へ」(畑中哲夫/竹中工務店大阪支店)の4事例の活動報告があり、吉野博氏(子ども教育支援建築会議会長)のコーディネートのもと、田口氏、馬場氏、鈴木氏、畑中氏、中村雅子氏(南池袋小学校長)をパネリストに迎えたディスカッションに続き、約80名ほどの会場参加者も交えて、子どものための建築・まちづくり教育の内容や課題などについて熱心な話し合いが行われました。
会場では各地の活動を紹介するパネル展示も開催されており、建築と子どもの教育活動の広がりを実感することができました。このシンポジウムを通して、各地で活動する方々と直接お話しできたことは何よりの収穫であり、こうした交流の機会が今後も続いていくことを願っています。
震災復興の取り組みについて発表する渋谷さん