建築と子供たちオンラインワークショップの開催
2021年7月~10月
建築と子供たち提唱者のアン・テイラー博士(ニューメキシコ大学名誉教授)が主宰するNPOスクールゾーンインスティテュート(School Zone Institute:SZI)では、コロナ禍においてオンラインで建築と子供たちのデザインを体験できる動画を制作しました。
動画は、建築と子供たち定番の8本のプログラムにより構成され、各動画にはその目的や教育的効果、具体的な手法等が掲載されています。
ネットワーク仙台と建築と子どもたちデザインLABO関西は、多くの日本の人たちにこの動画を見てもらおうと、動画に日本語字幕を入れることになりました。制作にあたっては、SZIメンバーの、酒井敦子さん(南フロリダ大学ジュディゲンシャフトオーナーズカレッジ専任インストラクター)、メリンダ・ワルシュさん、カタリーナ・サリナスさんと、ネットワーク仙台の永野ますみさん(ニューヨーク州登録建築家)に多大なご協力をいただき、英語の文字起しからはじまり、日本語への翻訳、そして字幕入れを行うまで1年がかりで完成にこぎつけました。日本語字幕入り動画の公開予定は未定ですが、ネットワーク仙台とデザインLABO関西が共催して、字幕完成を記念したオンラインワークショップを2021年7月から10月まで4回にわたって実施いたしました。その概要について報告いたします。
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建築と子供たちデザイン体験動画プログラムリスト
- 視覚言語と概略図
- ポジティブフォームとネガティブスペース
- デザインの構成的原理
- 建築公園-動機づけと筋書き
- 植物の断面図と抽象化
- 紙で作る自分の部屋
- ネズミの家
- 地域や小さな町のプランニングと模型作り
*英語版動画はhttp://architectureandchildren.com/で視聴可能です
*版権はスクールゾーンインスティテュートが所有しています
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<ポジティブフォームとネガティブスペース>
2021年7月25日(日)10:30~12:00
2021年8月22日(日)10:30~12:00
7月と8月の2回にわたり、デザイン体験動画のうちポジティブフォームとネガティブスペースを実施しました。
参加者は、7月25日が大人8名(仙台、大阪)、8月22日が大人11名、小学2年生1名(仙台、大阪、名古屋)の計12名、指導はいずれも永野ますみさんです。
ポジティブフォームは、建築で言えば壁や床や天井などの固体で、手で触れるものです。
ネガティブスペースは、ポジティブフォームに囲まれた何もない空間で、建物の外にもあります。壁の一部を窓にすると、建物の内外のネガティブスペースがつながります。
このワークショップでは、ポジティブフォームとネガティブスペースを2次元で表現してみようというもので、円と三角と四角の黒い紙を刻んで、白い紙の上に、拡張したようにあるいは爆発したように隙間をあけて並べて貼り付けます。ここでは黒い紙がポジティブフォーム、背景の白い紙がネガティブスペースになります。
説明のあと取り組みはじめましたが、さてどのように切ろうかハサミを持った手が止まります。あれこれ悩みながらも思い切ってハサミを入れていくと思いがけない形に変化。皆さん顔も上げずに夢中で手を動かしていました。最後に全員で作品を披露。はじめはみんな同じ形だったのに、それぞれ全く違うユニークな作品の数々が出来上がっていました。
三角の拡張 |
四角の拡張 |
準備物
円、三角、四角の黒い紙各1枚(各辺15㎝の正方形と正三角形、直径15㎝の円形)、A3サイズの白い1枚、ハサミ、スティックノリ、黒マーカー(細目)orサインペン
参加者のアンケートから(抜粋)
- 小学2年生の息子と参加いたしました。お話を聞くだけではなく、実際に手を動かして作品を作るのが面白いと感じました。作業自体が難しくないので、デザインをするという体験が手軽にできる点が良いと思います。子どもは、ゼロから絵を描いたり創造するのが難しいです。特に手先が不器用な子は、描画などのテクニックが無いので、アイデアを作品にまで仕上げるのが難しい。そういった子どもも、今回のような手法であれば、【切る】【並べる】【貼る】などの単純作業により、デザインを体感できます。材料も情報も少ないので、デザインに集中して取り組み易かったと思います。色々な子どもが、それぞれの個性を持って取り組めば、面白い作品ができそうですね。
- 自由に考えられること、偶然にできる形の面白さがよかったです!疲れた大人の脳みそのストレッチになると思います。
- 丸、三角、四角の紙を切って貼るだけで、二次元の紙の上で、立体と空間の関係を想像することができる、優れた教育方法だとあらためて思った。また、子どもだけでなく、大人にも大変役に立つと思った。
- 決まった形を好きなように切って、貼るだけで出来上がる作品はこんなに違うんだ!と、びっくりでした。そしてそれが建築デザインに繋がっていることにも。
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