2015年11月13日金曜日

上杉公園をデザインしよう~公園について調べよう~


20151027日(火)
上杉山通小学校5年生148名の子どもたちは総合学習「考えよう未来のまち~上杉公園デザインプロジェクト~」に取り組んでいます。この学習は、子どもたちの身近な遊び場でもある上杉公園をデザインすることを通して、新たな視点でまちを見たり地域の一員としての自覚を高めたりしてもらおうというねらいのもと行われています。今回は、623日の「上杉のまちをたんけんしよう」に引き続いて実施されたもので、仙台市、地域住民、公園デザインの専門家をお招きして上杉公園の現状や課題、公園デザインの考え方について学ぶとともに、公園を良く観察して「気に入ったもの」や「気になるもの」を探してスケッチする学習です。

会場の上杉コミュニティセンター1階の大広間に集まった子どもたち。事前学習ですでに、スギ、イチョウ、プラタナス、サクラ、モクレンなど上杉公園にある樹木の名前をつけた12グループにわかれていました。そして、それぞれのグループのメンバーは、子ども(小学生~高校生)、高齢者、障がい者、小動物、鳥、植物、親子、その他(外国人、昆虫、スポーツマン、大人)といった公園を利用する様々な立場の人や生き物で構成されていました。

 はじめに、仙台市青葉区公園課から、市内には1665の公園があり、上杉公園は昭和58年につくられたことや、公園には、レクリエーションの場、環境を良くする場、防災の場としての目的があることなど、仙台市の公園の概要・目的・取組みなどについての話がありました。

 上杉地区連合町内会副会長の池田文彦さんは、街なかの貴重なオープンスペースなので子どもからお年寄りまでいろいろな人が利用していること、地域と行政が連携して公園を守り維持する活動をしていること、今回の学習で子どもたちがいろいろなアイデアを出してくれることへの期待などについて話されました。

「デザインをするうえで大切なのは・・」と話す森山先生
 ランドスケープアーキテクトの森山雅幸先生(宮城大学名誉教授)からは、公園の役割と機能をエリアに分けて考えるなど、公園デザインでの大切な考え方について様々なアドバイスがありました。そして、南吉成小学校では子どもたちが地域住民や大学生と一緒に校庭に「学校の森」をつくったことや、東四郎丸公園では小学5年生がデザインしたタイルが使われたことを紹介しながら、「みんなのアイデアは現実にすることができるんだよ」と子どもたちを励ましました。
役割と機能の異なるエリアを線で囲んで表そう
「学校の森」に囲まれて遊ぶ南吉成小の子どもたち
東四郎丸公園に自分たちがデザインしたタイルを張る
お話の後はいよいよ公園の探検です。6月の「まちたんけん」から4ヵ月、青々としていた木々はすっかり色づき、公園のあちこちに落ち葉の山ができていました。探検に出かける前に確認した、「気に入ったもの(好きなもの、大事にしたいもの)」「気になるもの(ないほうが良いと思うもの、不思議に思うもの)」を探してスケッチすることと、「五感を使って」「いつもと違う目で」「なりきっている立場の目で」見ることを頭に入れながら公園内を観察しました。昆虫(セミ)になった子は、木がいっぱいあるから棲みやすいと満足そうです。お年寄りになった子は、大きな木の下にあるベンチを見て、夏は涼しくて良いが、高さが低すぎるのでもう少し高くしたいねとベンチをスケッチしていました。
いろいろな目で見てみよう
気に入ったものと気になるものをスケッチ

子どもたちは学校に戻ってから「気に入ったもの」「気になるもの」のスケッチを報告書にまとめることになっています。どんな報告書が出来上がるのか楽しみです。

<公園をデザインするときに大切にしたいこと~森山先生のお話から~>
●公園がある町・地域の自然的・社会的環境や景観を知る
●公園を利用する人達は、何をしたいのか、どんな時間を過ごしたいのか理解する
●どんな人たちが公園を利用するのかを考え、その人たちの視点や立場になって考える
●今ある公園は、どうすると、どうなると、何を直すと良くなるか公園を見て使って調べる
●公園は、誰もが楽しく遊んだり、軽い運動をしたり、緑・花・水を眺めたり、広い場所を活用できる場所なので、自分のためではなく利用者のことを考えながらデザインする
●公園の敷地内だけではなく、敷地外の環境―上杉、仙台、東北―も考える。
●公園にどんな植物があるのか調べ、良く育っている植物や、そうでない植物を見分ける。公園に適した植物か、そうでないものかを判断する
●自然がデザインのヒントとなるのでよく植物などを観察する
●木を植えるところ、自由に使えるところなど公園の役割と機能をエリア(空間)に分けて考える
●人や自転車など公園内の動きや、周辺の地域への影響と関連性を考える

2015年11月11日水曜日

<開催報告> 堤町まちかど博物館 干支人形絵付けワークショップ


20151017日(土) 
毎年恒例である、干支の堤人形の絵付けをつつみのおひなっこやさんを会場に開催しました。来年の干支は「さる」。大人7名、子ども2名が参加し、堤人形作家の佐藤吉夫師匠が手ほどきしてくれました。

まずは「さる」の胴体から塗り進めますが、同じ茶でも、濃い茶と薄い茶から好きな方を選びます。胴体から顔、帽子、その上に白や金で柄を書き足すなど、例年に増して塗る手順が多く感じました。会話のなかで吉夫師匠が「今日くらい晴れているからまだ顔料が早く乾いている。これが雨の日では乾くまでもっと時間がかかる。晴れている方が色も鮮やかに出る。」ということを話してくれ、参加者はなるほどーと納得。
筆を握り続けていた子が最後に「集中しすぎて疲れたー」とつぶやいているほど、細やかな作業に集中した1時間半となりました。


真剣になって筆を握ります

色々な表情のおさるさん


絵付けが終わった後、登り窯の前で、まちかど博物館が開設された経緯、東日本大震災で壊れてしまった登り窯の再生、窯内の様子などを写真でご紹介しました。参加された方のお一人が台原小学校出身で、小さい頃遊んでいた堤町には、窯や土管があちこちにあったという記憶を教えていただきました。

6連の登り窯を見学



2015年11月10日火曜日

音から絵へ 絵から詩へ 詩から曲へ2~吉成小復興応援プロジェクト


2015929日(火)
子どもたちが作った手作り楽器
吉成小復興応援プロジェクト5回目は「音から絵へ 絵から詩へ 詩から曲へ」と題した授業の後半部分「詩から曲へ」を吉成小学校の音楽室で行いました。子どもたちは98日の授業の後、グループ毎にマインドマップを作成、そこから言葉を選び短い詩を作成しています。また今回の授業のために、空き缶、ペットボトル、小石、小枝等、77日のバスツアーで探してきた音の出る素材や身の回りのものを使って作られた手作り楽器を持参して授業に臨みました。
今回は、作曲家の酒井知子さんをお招きし、ご自身の作曲活動の中から実際のCMや作曲の仕事を通して曲がどのようにして作られるのか、曲作りで大切なこと等をお話して頂いた後、作業の手順について説明して頂き、その後グループに分かれて曲を作るというという流れで授業が進められました。

●曲がどのようにして作られるのか、曲作りで大切なこと
最初にスクリーンに現れたのはCMキャラクターが楽しそうに鼻歌を歌っている映像です。企業のキャラクターからイメージを膨らませCMの曲を作ったそうです。ほほえましいキャラクターに子ども達の緊張も解けていきました。
声質の変化で全体の雰囲気を表現した例としては、温水器のCMを紹介して頂きました。CMの中では「お湯~。お湯~。」という少し震えたような面白い声で合唱しています。子ども達からも思わず笑い声があふれ「お湯~!」と真似し始める子どもいました。全体のイメージは、水の透明感や水輪のプルプル感からイメージしたそうです。
詩「雪だるまの一生」からイメージした曲では、背景のイメージ(真っ白、静けさ等)と感情イメージ(生命を受けた喜び、消えていく寂しさ等)を考えて曲を制作したそうです。曲はピアノだけで表現されていましたが、ひとつの楽器でも音の高低や音の厚み、リズム、響きなどで表現の変化がつけられるということを教えて頂きました。
他にも、イントロ(前奏)は曲を聴く準備、アウトロ(後奏)は余韻として曲にどのような印象を残すかということで重要だという話や、擬態語や擬声語を効果的に使うことで、歌と音楽に一体感をつくることができるなど貴重な話をして頂きました。
コロちゃんコロッケに変身!!
 作業の説明に入る前に突然酒井さんから子どもたちに重大発表がありました。吉成小学校の先生がコロッケ屋さんをオープンするという話です。もちろんフィクションですが。突然の話に先生も驚いていましたがコロッケの顔のお面をかぶってコロッケ屋さんになりきります。先生のためにCMをつくろうという設定で、「楽しい」「転がる」「キャッチーな音楽」というキーワードが掲げられ、酒井さんの指導のもと、メロディー、ベース、リズムの3つのチームに分かれて演奏しました。

●活動の進め方について
言葉をどのような音にするか記号や絵で表現してみよう
今回の作業の手順は、以下の4つです。
1.  音楽のイメージづくり
2.  詩の言葉の表現を決める
3.  効果的に音を加える
4.  イントロ・アウトロをつける
「涙をふいて 空見上げれば うろこ雲の道が 続いている」という詩を例に、どのように作曲して行ったらよいか説明して頂きました。1では言葉から曲のテーマや全体のイメージ、流れの変化を考えます。2では詩の言葉を分解し、キーワードになる言葉、1音1音の動き、強弱、表情、声質、誰が、どのようにというようなことを決めていきます。表現方法は自分たちがわかる記号や絵で記入していきます。3ではコーラスのみで演奏したものを聴いた後、効果音や楽器が少しずつ増えていく過程を聴かせて頂きました。徐々にダイナミックな表現になっていくのを子どもたちは感じていたと思います。最後にピアノでイントロ・アウトロを加えたものを聴かせて頂きました。

●曲をつくろう
グループで曲作り
曲を作る際、手作り楽器以外にも音楽室にある楽器を自由に使っても良いとの説明がありました。音楽室の広さと楽器の数量が限られているため、1組、2組の順番で作業を行うことになりました。作業は一緒に詩を作成した56人のグループに分かれて行います。あらかじめ配られた紙にはグループで作った詩がひらがなで上段に書かれ、下6段には担当する人の名前、声や楽器の種類、強弱や表現方法など自由に記入できるようになっています。
はじめ子どもたちは何をしてよいのかわからない様子でしたが、詩の内容を話し合いながら詩のキーワードが何なのか話し始め、好きな楽器を持ち寄りどんな音がでるか奏でてみたり、誰が担当するかどのように表現したらいいか決めていくと少しずつ全体の形が見えてきました。
できた曲を発表
最後にそれぞれの班で作ったものを発表し録音する場が設けられました。表現方法がほぼ決まっているグループ、ほとんど何も決まっていないグループなど様々で心配でしたが、ほとんど決まっていないグループも最後に力を発揮し全グループが発表することができました。今回は限られた時間の中での発表でしたが、別途時間を設け曲を完成させることになっています。他のグループの演奏を聴いてさらに意欲が増している様子もみられたので完成した曲がどのようになるのかとても楽しみです。