2024年6月30日日曜日

2024 JAPAN-USA建築と子供たち国際交流プログラム 船場まちあるき④「綿業会館」

 2024年5月17日(金)

 除痘館の川上さんのご紹介により、綿業会館を見学することができました。

綿業会館外観
正面玄関

 大学生と合流し、綿業会館の正面玄関から中へ。玄関ホールで、日本綿業倶楽部の槙島さん、津田さん、吉山さんが私たちを出迎えてくれました。ホールの隣の会員食堂でお話を聞きました。
  • 綿業会館は、昭和6年竣工の本館(平成15年国指定重要文化財)と昭和37年竣工の新館からなる日本綿業倶楽部(昭和3年設立の会員制の倶楽部)の建物である
  • 本館は、繊維業界の発展のために私財を利用してほしいという岡常夫氏(東洋紡の専務取締役)の意向により、岡氏逝去後に、遺族から100万円の寄付があり、関係業界からの50万の寄付と合わせて合計150万円(現在の金額で75億円)を建設費に、設計は建築家の渡邊節氏、チーフドラフトマンには若き日の村野藤吾氏があたった
  • 玄関ホールの中央にある銅像は岡常夫氏の像である
  • 各部屋は、世界各国の来賓や会員の好みによって部屋を選んでほしいという渡邊節氏の設計思想により、玄関ホールはイタリアルネッサンス様式、会員食堂は19世紀初頭アメリカのミューラルデコレーション様式(天井の梁型を覆う装飾)など、様々な建築様式を取り入れている
  • 外壁のガラス窓はフランス製鋼鉄ワイヤー入りの耐火ガラスが使用されていたため、大阪大空襲の戦火を免れた
イタリアルネッサンス様式の玄関ホール 中央に岡常夫氏の銅像がある 
写真提供:高橋海氏
会員食堂でお話を聞く 天井梁型の装飾はミューラルデコレーション様式
写真提供:高橋海氏

 続いて各部屋を見せていただきました。
 3階の談話室は17世紀イギリスのジャコビアン様式。暖炉の脇にある壁面のタイルタペストリーがひときわ目を引きます。これは京都の東山にあった泰山製陶所で焼かれたタイルだそうです。タイル壁面の下には綿花が飾られていて、その隣にリットン卿率いるリットン調査団(国際連盟日華紛争調査委員会)がここを訪れた時の記念写真がありました。
 会議室は19世紀フランスのアンピール様式。内装や調度品の装飾が抑えられているなか、壁面の大きな鏡が両脇のアップライトにほのぼのと照らされているのが印象的でした。大理石の床に見られたアンモナイトなどの化石も興味深かったです。
 特別室は18世紀イギリスのクイーンアン様式。椅子は全体が曲線形になっていることと、脚の形が猫の足のようになっていて、クイーンアン様式の特徴を見ることができました。
 様々な様式の内装と調度品の数々。さながら建築と美術の教科書を見るようでした。
 建物は、会員の会費とともに、結婚式や国内外の会議に貸し出すなどして、建物の維持・保存にかかる費用を賄っているそうです。貴重な文化財を民間の力で後世に残していこうとする取り組みに頭がさがりました。
談話室 奥は天井まで届くタイルタペストリー
写真提供:高橋海氏

タイルタペストリーの前に飾られた綿花とリットン調査団の写真

アンピール様式の会議室 正面奥は大鏡
写真提供:高橋海氏

クイーンアン様式の特別室


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