2021年9月28日(火)
台原小学校3年生は、毎年、学校で土鈴をつくり、堤町まちかど博物館での見学と土鈴の窯出しを行ってきましたが、今年はコロナ禍のため土鈴づくりが取りやめとなり、博物館の見学のみが実施されました。
今年の3年生は3クラス95名。密を避けるため、クラスごとに時間をずらして堤町にやってきました。各クラスは3グループに分かれ、登り窯、つつみのおひなっこや、堤焼展示室(佐大ギャラリー)を順に巡りました。
<登り窯にはどんなひみつがあるのかな?>
登り窯では、佐藤吉夫師匠やネットワーク仙台から登り窯の歴史や構造などについて話を聞きました。
- 窯は、大正7年にできて今年で103才になる。昭和40年代までこの窯で堤焼が作られていた
- 6つの窯が連なって階段状に登る形なので、六連の登り窯と呼んでいる
- 焚き口が下にあり、熱い火は上に登っていく仕組みになっていて、一度に6つの窯全部に火がつく。たくさんの焼き物を作るのに効率のよい形をしている
- レンガをアーチ状に組み立てトンネル状にしたボールトという形をしている
- 東日本大震災で、上から3つの窯が壊れ、大勢の人が協力して復興した。古いレンガと新しいレンガが混ざっている
- 窯の下に開いている穴は火が登るための空気穴
- 焼き物を窯に入れたあと、火が外に漏れないように窯の入口をレンガや土で塞いだ
- 窯の上にのっている木の型はレンガのアーチを作るために使った
- 窯の温度は1200度まであがる
- 台原小学校の校庭の下にも焼き物を作る良い土がある
- 壊れた焼き物は土に戻して作り直しができるのでゴミが出ない
登り窯の歴史や仕組みを聞きました |
「焼くときは、入り口をレンガや土で塞いだんだよ」と吉夫師匠 |
古いレンガはツルツルしているね |
<堤人形やダルマはどう作るの?>
つつみのおひなっこやでは、佐藤明彦師匠から堤人形とダルマの作り方について教えていただきました。
- 堤人形は江戸時代から伝えられてきた型を使って作る
- 表と裏の2つの型を使う
- 2つの型のそれぞれに粘土を押し付けてから、2つを合わせて両方の粘土をくっつける
- しばらく置いてから型をはずすと人形が現れる。中は空洞になっている
- 人形を乾かしてから窯で焼き、そのあと人形に胡粉という白い粉を塗り、その上に色をつけると堤人形が出来上がる
次に、明彦師匠から「ダルマに使われている材料は何だろう」というクイズが出されました。
「木」「プラスチック」「石」などいろいろな答えがでましたが、師匠は「答えは紙です。ダルマも型を使って作りますが、型は木でできていて、その上に紙を何枚も張って作ります。底になる土台だけは乾燥させた土で作ります」。最後に胡粉を塗り、色を付ける工程は堤人形と同じだそうです。
「型をはずすと堤人形が出てくるんだよ」と明彦師匠 |
<堤焼クイズに挑戦しよう!>
最後に回ったのは堤焼の展示室です。子どもたちはクイズの紙を手に張り切って入ってきました。台の上に乗っている堤焼の数々を見て、クイズの堤焼がどこにあるのかを探し、その使い方を当てるのです。
クイズは次の3つです。
A:鬼瓦は家のどこに置かれましたか
- キッチンのかべ
- 屋根の上
- トイレのかべ
B:大がめは何をいれて使いましたか
- 水
- お酒
- お風呂のお湯
C:これは何に使うものですか
- 植木ばち
- 花びん
- 冷たいごはんをあたためる
鬼瓦はすぐに発見。おかれた場所は、屋根の上が一番多くて、キッチンのかべという答えもありました。大がめは、「お風呂のお湯」が多かったのですが、「水」と正解を答えた子もいました。
そこで、「水道がなかった昔は、井戸から水を汲んできてかめに溜めて料理や洗い物に使った。水汲みは子どもの仕事だったんだよ」と話すと「えーっ、重いよ」。Cでは、「花びん」と言う子に、友だちが「でも底に穴が開いているので水が漏れるよ」。結局植木鉢と答えていました。そんなやりとりのなかで、「冷たいごはんを温めるもの」と本当の使い方を当てた子もいました。
この中に冷たいご飯を入れ、湯を張った器のなかにざぶざぶとつけて、引き上げるとご飯が温まる「湯通し」という道具であることを話すと、電気も電子レンジもない時代に暮らした人々の知恵に、子どもたちは「昔の人は頭がいいね」と感心しきりでした。
クイズの堤焼を見つけよう |
大きいカメはお風呂のお湯を入れたのかな? 隣で鬼瓦が「わかるかな?」 |
「湯通し」は昔の電子レンジだね |
どの場所でも熱心に話を聞きメモを取っていた子どもたち。
見学を終えると笑顔で手を振りながら元気に学校に戻っていきました。
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