2016年3月2日水曜日

LAST INABAR~稲葉先生の思い出を語る会~

2016221日(日)
201614日、建築と子供たちネットワークジャパン代表幹事の稲葉武司先生が永眠されました。四十九日にあたる221日、東京上野の精養軒に稲葉先生にゆかりのある90名を超える方々(ネットワーク仙台から3名参加)が集まりました。会場には、ビール片手ににこやかにほほ笑んでいる先生の遺影があり、白いカーネーションを献花してご冥福を祈りました。

会場では、ネットワーク新潟の木原さん、共立女子大学稲葉ゼミ助手の皆さんなど懐かしい方々にもお会いでき、建築と子供たちに情熱を注いだ先生の思い出話しを語り合いました。

仙台で建築と子供たちの活動がはじまったのは、199011月、ある新聞記事が目にとまったことがきっかけでした。その記事には、先生が横浜市立新治小学校でアン・テーラー先生の建築と子供たちを使った実験授業をされたということと、これから日本に建築と子供たちを普及させていきたいという先生のコメントが紹介されていました。そこで是非活動に参加させてほしいと先生にお手紙を差し上げたことから私たちの活動がスタートしたのです。

それから稲葉先生にはアメリカの研修旅行に連れて行っていただいたり、シンポジウムで講演していただいたりと、様々なご指導をいただきながら今日まで活動を続けることができました。

今、建築と子供たちの活動は、東京、新潟、上越、仙台にネットワークの拠点ができています。そして、全国各地でこども建築教育が盛んに行われています。長年、先生が思い描いてきた夢がやっと現実のものになってきたばかりで、そんなときに先生がお亡くなりになったのは本当に残念で仕方ありません。
稲葉先生、今まで本当にありがとうございました。私たちは先生のご遺志をついでこれからもこの運動を未来につないでいきたいと思います。

<テーラー先生のメッセージ>
For Tak:
I will never forget Tak pacing back and forth at my office in Seattle patiently waiting to invite
me to Japan to talk to the AIJ in Tokyo about Architecture and Children. He was a gifted man,
architect and humanitarian who loved good works and we in the American Design Education
business will never forget his tireless efforts to spread this program and link us to Japanese
architects and educators who are now are dear friends. We love you Tak!!!
Anne Taylor !
Tak(愛称)へ
稲葉先生との最初の出会いは忘れがたいものです。稲葉先生が私のシアトルの事務所のあたりを何度も行ったり来たりするので、(気になっていると)実は、私を日本に招待したいとのこと。建築と子供たちについて東京AIJ(日本建築学会)で講演をお願いするのに辛抱強くお待ちになっていらっしゃったのですね。
稲葉先生は素晴らしい才能を持ち、よい仕事を愛した建築家でも人道主義者でもあります。
私たちアメリカのデザイン教育関係者は、その教育を普及するために稲葉先生の費やしたたゆみない努力を決して忘れないでしょう。そうしてつながった日本の建築家や教育者の皆さんは、今や貴重な友と言えるでしょう。
私たちの親愛なるTak、稲葉先生へ! 
稲葉先生、アン先生、酒井敦子さん、ブラストスさん


<酒井敦子さんのメッセージ>
日本の皆様
2009年、アン先生の本出版のお祝いに、アン先生に内緒で稲葉先生がひょっこりニューメキシコにいらっしゃいました。サプライズは大成功で、さらに懐かしのジョージ・ブラストスさん(建築と子供たちポスターのイラストを担当)もワイオミング州から参加され、アン先生は大喜び。かけがえのない思い出となりました。その時の写真を記念に送ります。稲葉先生のおかげで、日本の子ども建築教育はアジアの中で最もはやくスタートしました。寂しいですが、今後も稲葉先生の意思を継ぎ、ともに団結を固めましょう。

<稲葉先生プロフィール>
19382月 中国生まれ
東京芸術大学卒業・米国 ワシントン州立大学卒業
東京芸術大学講師、法政大学講師、共立女子大学助教授などを経て19942005年まで共立女子大学教授
1991年より 建築と子供たちネットワークジャパン代表幹事
退官後も国際会議などで建築と子供たち普及や空間認知と脳科学についての研究などをライフワークとして精力的に活動

INABARとは>
仕事仲間や卒業生やゼミ生が稲葉邸にうかがって奥様の美味しい手料理と、とっておきのお酒をいただきながら楽しいひとときを過ごす場。マスターのおすすめは、庭先で採れたフレッシュミントでつくるモヒートでした。

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