2016年3月1日火曜日

アーキテクツウィーク2015<市民講座2>建築と子どもワークショップ 「復興を応援しよう!《だれでもできる》視覚デザイン/空間デザイン~禅タングルからミニスタディモデルへ~」

2015126日(日)
このワークショップは、JIA(日本建築家協会)東北支部宮城地域会主催の“アーキテクツウィーク2015<市民講座2>”にネットワーク仙台が協力する形で行われました。

 仙台の冬の風物詩―光のページェントが始まる日の午前中、せんだいメディアテーク1Fオープンスクエアには2歳~12歳の子ども達14名と大人8名が集まりました。JIA正会員でもあるメンバーの指導のもと、復興応援をデザインコンセプトに、ケント紙やカラーマーカー、はさみ、のり等の簡単な材料を使って、二次元での視覚デザインを“禅タングル”の手法で行った後、それをもとに“ポジティブシェイプ/ネガティブスペース”で構成される三次元空間デザインに立ち上げて行きました。

禅タングルで楽しくデザイン
こう言うととても難しそうに聞こえますが、最初にみんなが耳にしたのは、震災前から東六郷小の子どもたちが取り組んでいた"黒潮太鼓"の映像から流れる太鼓の音でした。その音からイメージを膨らませ、ガイドブックを見ながら教えてもらったパターンを応用して、自分が決めた好きな形を自由に描いていきます。描いた線や白い部分を、違う線や点で好きなように装飾していくと、白と黒の芸術的な世界が現れました。最後はそれをもとにケント紙でドーム状の立体を思いおもいに作り上げて行きました。そして、出来上がったものを暗いところに持って行き、光をあてて、その白く見えるところと陰になるところを他の参加者に見てもらい、どんなところを工夫したかを発表しました。

会場には大パネル4枚分のスペースに、吉成小学校6年生64名が総合的な学習の時間で「復興応援プロジェクト」として、1年間取り組んで創作した絵をコラージュしたパネルや詩、そして「復興の音楽」を奏でた手作りの楽器が展示されていました。

きょうのワークショップに参加した皆さんは、出来上がった“復興を応援するドームの模型”を、会場の入り口近くの吉成小の子どもたちの作品が飾られている場所に、一緒に飾って楽しみました。
復興を応援するドームができあがりました


吉成小の作品が展示されました

2016年2月8日月曜日

応援ソング完成報告会~吉成小復興応援プロジェクト~

201624日(木)

吉成小学校6年生は、総合的な学習の時間で「復興応援プロジェクト」として1年間取り組んで学んできたことを、ゲストを招いて感謝の気持ちを込めて発表しました。学習の成果として創作した「復興の音楽」を演奏し、創作した絵や詩を披露しながらのクイズで楽しませてくれたあと、お世話になった方たちに楽しげな写真に飾られたCDを手渡しました。
ゲストとして招かれた明成高校の月本先生、ニッペリア仮設住宅の阿部さんや地域の方々、そしてネットワーク仙台のメンバーは、迎えに来た子どもたちに案内されて3階の視聴覚室に行きました。
始めはこれまでの道のりを活動の画像を使いながら交代で発表しました。
(※A&C)はネットワーク仙台が指導した授業と活動です。
6月「元気になる励まし方を考えよう」(A&C)
  「畑の復旧、そして仙台白菜と復興」(A&C)
7月「交流会①」
「応援ソングワークショップ①」(A&C)
  「仙台白菜について知ろう」
8月 白菜の種まき
9月「応援ソングワークショップ②」(A&C)
  「仙台白菜の苗を萱場さんの畑に定植」
  「応援ソングワークショップ③」(A&C)

11月「学芸会」で発表
12月「交流会②」
  「“アーキテクツウィーク2015”でメディアテークに展示発表」(A&C)
1月「“宮城教育大教育復興支援センター 総括フォーラム”で発表」
2月「応援ソング完成報告会」
  「交流会③」予定

その後クイズをしながら、復興の工事が進む海辺で拾った波や風の音や、仮設住宅で交流した時の笑い声などをデザインしコラージュした絵や、思いを込めた詩、そしてそれらを音でデザインした「復興の音楽」を披露すると、ゲスト席からは「おーっ・・・」という歓声が漏れました。音楽の伴奏には被災地や仮設住宅から拾ってきた砂や石ころ、小枝などで音が出るように工夫した“楽器”が使われました。
最後はみんなで集合写真を撮って、今日の日の記念にしました。


復興の音楽を披露
発表後みんなでパチリ


2015年12月16日水曜日

上杉公園をデザインしよう~模型をつくろう~


2015128日(火)
上杉山通小学校5年生4クラス148名は、総合学習「考えよう未来のまち~上杉公園デザインプロジェクト~」6回目の学習として、前回までに描いたバブルダイアグラムをもとに模型づくりに取り組みました。

模型は、縮尺1/80の上杉公園の模型土台(スタイロフォーム40mm)の上に作っていきます。この土台は学校の先生たちとネットワーク仙台が夏休み中に製作しておいたもので、全体をシーナリーパウダーで色づけし、その上に花紙で作った樹木を植えてあります。公園の隣には宮城県建築士会まちづくり部会の皆さんが製作した上杉コミュニティセンターも建っています。

今回は1時限目が音楽室、23時限目は各教室にわかれての活動となりました。
1時限目、音楽室には土台12セットのほかに、花紙と針金でつくった大小様々な樹木、紙粘土、バルサ、楊枝、色紙、シーナリーパウダー、スチレンのりなどの模型材料が用意されています。
はじめに、グループバブルダイアグラムをもとに作ること、縮尺1/80の人型を縮尺の目安として使うこと、少数意見も大事にすること、いろいろな材料を分け合いながら使うこと、自分で集めてきた材料も使ってよいことなど模型の作り方について説明しました。子どもたちははじめて見る土台と模型材料を前に目を輝かせていました。
説明が終ると土台と各種材料を持って3階と4階の各教室に移動。床の上や机の上に土台や材料を広げてさっそく模型づくりにとりかかりました。
みんなで協力して模型をつくろう
右上:遊具スペースを仕切る丘
まずは模型のパーツづくりから。何ができるのかなとしばらく眺めているとやがて子どもたちのアイデアが形になってあらわれてきました。遊具スペースをスポーツ広場や休憩スペースと分けている土手のようなものは丘で、上に登ると公園を眺められるのだそうです。別のグループでは川と噴水で遊具スペースと他のスペースを分けていました。遊具スペースはどのグループもかなりつくりこんでいておもしろいものがたくさんありました。公園を取り囲むように長いローラーボードすべり台あり、遊具スペースの真ん中に屋上緑化の足湯の建物等々。
遊具スペースとスポーツ広場を区切る川と噴水
左端:ローラーボードすべり台
中央:屋上緑化された足湯
奮闘すること90分、だいぶ公園の姿が見えてきました。でももうしばらく時間がかかりそうです。今後は学校独自で今月中に模型を完成させ、来年119日に発表会を行うことになりました。

2015年12月4日金曜日

上杉公園をデザインしよう~バブルダイアグラムを見直そう~


2015121日(火)
今日は、上杉山通小学校5年生4クラス148名の総合学習「考えよう未来のまち~上杉公園デザインプロジェクト~」5回目の学習です。前回1124日にグループバブルダイアグラムを描きましたが、出来上がった図を見るとボール遊びスペース、遊具スペース、休憩スペースなどの大きな空間の配置や、安全柵・ゴミ箱・トイレの設置が主になっていて、学校の先生も私たちもワクワクするようなアイデアが足りないと感じていました。また、活動中にはどのグループにも23人ぐらい話し合いに入れない子がいたことも気になっていました。これは個人で考える時間をとらずにいきなりグループ活動に入ったためではないかと反省。この日グループバブルの発表と模型作りに入る予定をとりやめ、まずは個人でバブルダイアグラムを描き、それを持ち寄ってグループバブルダイアグラムを見直そうということになりました。

授業のはじめに「前回のバブルダイアグラムは楽しさに欠けています。このままでは模型作りに入れません」と駄目だし。そして「ノーベル賞を受賞した山中伸弥先生は『人間は失敗からしか学べない』と言いました。みんなも楽しくない公園という失敗から学んで、では楽しくするためにはどうしたらよいかを考えてひとり一人がバブルダイアグラムを描いてください。それをもとにグループのバブルダイアグラムを見直します」と今日の目標を伝えました。

さらに東長町小の6年生(2001年)が描いた長町中央公園のバブルダイアグラムを見せて「公園の真ん中に川の流れをつくる」「山のように土を盛り上げてその上に溜池をつくる」「遊具の代わりにヒミツ基地をつくる」など楽しそうなアイデアを紹介すると子どもたちの目がきらり。こうして個人バブルダイアグラムの活動がはじまりました。

子どもたちは公園の平面図(A4紙)の上に黒マーカーとクレヨンを使ってどんどんバブルダイアグラムを描いていきます。直したいときやもっと別のアイデアが出てきたときのために用意したトレーシングペーパーも次々に無くなっていき、「新しい遊具で公園を取り囲む」「土を盛り上げて洞窟をつくる」「ひまわり迷路をつくる」「水路と田んぼをつくる」「ツリーハウスをつくる」などおもしろいアイデアが続々と出てきました。



みんなが楽しめる公園にしよう
ツリーハウスのある公園
次はグループバブルダイアグラムです。どのグループでも話し合いの前に隣同士でバブルダイアグラムを見せ合ったり、グループ全体で回して読んだりしている様子が見られました。視覚言語としての図がお互いの考えを理解するのに役立つことを自然に身に付けることができたのではないかと思います。

グループ全員のバブルダイアグラムを見てみよう
グループバブルダイアグラムを見直そう
話し合いはなかなか前に進めない状況が生まれてきました。たとえば「水路をつくりたい」と主張した子に対して「小さい子が溺れる」といって対立していたグループがありました。ほかでも同様の議論になっていたグループがあり、「排除するのではなく、生かしていく方法はないのか考えるように」とアドバイスしましたが、議論は平行線をたどっているうちに時間切れに。次回の模型作りまでに学校でさらなるグループ活動を行うことで今日の授業は終了となりました。

課題が見つかりましたが、これもひとり一人のアイデアが具体的になってきたことによるもの。これから模型作りに入りますが、異なる意見を調整してより良いアイデアを積み上げて公園をデザインしていくように子どもたちの活動を見守っていきたいと思います。

 子どもたちの変化を見てひとり一人が目当てを持つことがどのくらい大切なことなのかがわかり、私たちこそ失敗から学んだのだと思いました。